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[ショートショート:グロ注意] おせち風呂:我々は供物である

注意:グロいです

「勘違いしてはいけない」

 伊勢が言った。浮足立った生徒たちがピタリと動きを止めた。

「我々は供物である。着飾って並べられるだけで済むと思うな」

「だる…なにそれ」

 艶やかに光沢を放つ黒豆ココアが言った。

「伊勢は固いんだよ。マジでお前、堅物すぎ」

 ちょいワル金髪の金団が馴れ馴れしく伊勢の肩に腕を回して言った。

 ここ御節学園の3年C組が今年のメインとして選ばれた。

 メインとして選ばれると、歳神様へのご奉仕が許される。
 ご奉仕に参加するとすべての成績にAが付き、そのまま卒業となるのだ。

「卒業した者がどうなった聞いたことないのか」

「え、誰もこの学園から出たものがいないって話? 都市伝説っしょ」

 蒲鉾ピンクが伊勢に反論した。

「そうだよ伊勢。今は令和だよ。戦国時代じゃあるまいし…」

 ここで引率の教師が教室に入って来た。

「お前ら、時間だ。ついて来い」

 3年C組の生徒たちはおとなしく先生についていく。
 そして、学園内でもこの時しか入ることが許されない地下へと向かった。

 正面に豪華な扉のある場所へ来た。扉にはこう書かれている。

 “おせち風呂”

「なにこれ? 温泉?」

「黙って入れ」

 生徒たちは言われるがままに扉をあけて中に入る。そこには大きな湯船がある。

「全員服を脱いで風呂につかれ」

 先生が有無を言わさず命令する。

「え、無理。男子いるし」

「いいから脱げ! 選択肢はない」

 先生の恐ろしい声に生徒たちはびくっとなり黙って服を脱ぐ。

 そして恐怖におびえながら風呂につかる。

「いいか、お前たち。歳神様の神聖な御前だ。しっかり浸かれ。3分浸かったら前に出て衣装を着ろ」

 生徒たちは従順に先生の言うことに従う。誰も反抗できない。なぜなら彼らはそう作られているのだ。

 風呂から出た生徒たちは次々と自分のための衣装を見つけて身に着ける。

 伊勢は真っ赤な着物。黒豆は黒いドレス。金団は黄色いスーツ。蒲鉾はピンクと白の浴衣…といった具合だ。

 全員が衣装を着終わると、目の前に巨大な重箱がせりあがって来た。

「配置よーい!」

 先生が号令を叫ぶと、生徒たちは機敏な動きで重箱をよじ登り、それぞれの位置へと収まった。
 ぎゅうぎゅうである。

 生徒たちは恐怖におびえて重箱の中でくっつきあいながら震えている。

 幕があがる。

 拍手喝采で生徒たちは迎えられる。

「わー! 御節だ!」

 歳神様たちが大興奮で彼らを迎える。巨大な子供たち。それが歳神様である。

 歳神様たちはよだれを垂らしながら生徒たちを見下ろしている。

「あたしエビ!」

 歳神様の一人が手を伸ばし伊勢をつかみ取った。

 生徒たちは見てしまう。

 伊勢の恐怖に引きつった顔を。

 なすすべもなく持ち上げられる伊勢を。

 歳神様はあーんと口を開けると、伊勢の身体を口に運び、バリバリと音を立てて食べ始める。

「ぎゃーーっ」

 と伊勢の断末魔が響き渡る。

「おいしー!」

 歳神様が恍惚とした顔で叫ぶ。口の端から、伊勢の腕と足がボロボロとこぼれる。

 バリバリ、伊勢を噛み砕く音が聞こえる。

 これで生徒たちの硬直が溶けてみんなが叫び逃げ始める。重箱の中は大パニックだ。

 あちこちぶつかり、踏みつぶされ、ひどいありさまだ。

「あー!!御節が逃げる!」

「つかまえろ~」

 歳神様たちは、その巨大なぷっくりした手で逃げ惑う生徒たちを掴んでは口に運び、バリバリと噛み砕いた。

 そこら中に歳神様が食べこぼした腕やら頭やらが転がっていた。

 逃げ惑う生徒たち。散らばる死体。

 まさに地獄絵図だ。

「あらあら~こんなに食べ散らかして~」

 大人の歳神様がやってきて、落ちている生徒たちの部位を拾い集めると、ペロリペロリと食べてしまった。

 歳神様はご満悦だ。これで今年も五穀豊穣である。

 めでたしめでたし。



すみません。毎度ながら文字数オーバーです。

お正月にカニが出て来たときに、子供たちが「わーい! カニだ~!! おいしい~」とか言いながらムシャムシャ食べてて、カニの気持ちになってしまったのを思い出して書きました…。
グロくてすみません。

田原にかさんの『毎週ショートショートnote』に参加します。


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