お菓子の「水無月」だけじゃない、六月のもうひとつの名──「松風月」という季節のことば
六月のことを「水無月」と呼ぶのは広く知られていますが、
茶の湯の世界に触れるようになってから、
私はもうひとつの呼び名を知りました。
それが「松風月(しょうふうげつ)」
という美しい異名です。
表千家同門会誌『同門』六月号に掲載された、
先代家元・千宗旦宗匠のおことばの中に、
さらりと添えられていたこの表現──
「庭の松の緑がひときわ瑞々しく感じられるこの頃」
という一文に、思わず立ち止まりました。
静かに耳を澄ませたくなるようなこの言葉の響きに、
少しだけ背景を添えてみたいと思います。

誌面にある「松風月」のことばが心に残りました。
「松風月(しょうふうげつ)」という言葉を
初めて耳にしました。
季節の移ろいに寄り添うようにして、
月ごとにさまざまな異名があることは知っていましたが、
この「松風月」は特に美しく、
音の響きだけでも涼を呼ぶように感じます。
もともとこの言葉は、古代中国で月に風雅な別名をつけていた慣習に由来し、日本でも平安時代頃から和歌や随筆に見られるようになったそうです。六月の異名としては「水無月(みなづき)」がよく知られていますが、その他にも「風待月(かぜまちづき)」「常夏月(とこなつづき)」など、風や草花にちなんだ美しい名前が多くあります。
その中でも「松風月」は、
特に茶の湯に親しむ人々のあいだで大切にされてきた
響きのように思います。
六月のことを水無月、また松風月などとも申しますが、庭の松の緑がひときわ瑞々しく感じられるこの頃です
先代のお家元、千宗旦宗匠が『同門』誌の中で記しておられるように、梅雨の合間の澄んだ光に照らされた松葉の艶やかさ、そしてその枝を撫でる風に耳を澄ませば、たしかに六月は「松風月」なのだと感じられます。
お菓子の「水無月」が和菓子屋さんに並ぶこの季節。
あわせて「松風月」という名前にも、
少しだけ思いを寄せてみると..…
それは、
なんだか日々のなかにふわりと風が通るような、
そんな心の余白のような言葉かもしれません。
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