西伊豆ロマン~つげ義春の旅「長八美術館」から南へ③
長八の宿を後にして、長八記念館・美術館を見学して、2日目はさらに南へ。綺麗な砂浜に、青い海を見ながら、西伊豆の大自然の中を歩きます。
長八の育った浄感寺
こちら長八記念館は長八が幼少期に学んでいたお寺。寺子屋でここの住職にお世話になる。松崎町の大火で焼けた後に、再建をすることになり、その時に長八が一肌脱いで、本堂の部分に作品が何点か残されています。

入場料を払って入ると、解説が始まっていました。本堂の両脇の間には、天女の図。


そして、本堂正面の真上には、こちらの雲龍図。たたみ12畳分の大きさで、圧巻。見る位置によって、龍の表情が変わるということでいろいろな角度から見るように、教えてもらいます。



長八は、12歳の時に松崎の左官屋に弟子入り、その後、左官の技術を身につけながら、19歳の時に江戸に出て、22歳の時に狩野派の絵師に従事、絵を学ぶのでした。幼い頃から器用だったという事ですが、左官職人であるながら、絵と漆喰を結びつけるところを極めたいという思いは相当強かったのでしょう。



虫眼鏡が準備されて、「じっくりご覧になってください」とのこと。
長八美術館にはもっとすごいのがありますよ、と。


ちょうど左官屋さんのご一行が数名、スタッフの方に漆喰の技術的なことを根掘り葉掘り聞いていました。鮮やかな色があせないことについては、長八がどんな顔料を使っていたかは不明ということで、専門家が調べているらしいです。
彫刻家 石田半兵衛
このお寺にはもう一人石田半兵衛という彫刻家の作品があります。下の彫刻は左が長八作、右が石田半兵衛作ということで、二人の芸術家の合作。

本堂の外に出ると、何やら軒下には、豪華の彫刻群。けやきの木、一本から作っているという石田半兵衛の作品を数点みることができます。



二人とも松崎町出身ということで、石田半兵衛は、父も兄弟も彫刻で名を馳せました。このような芸術家を出している松崎町、不思議な街です。

顕彰碑がひっそりと境内にある
長八美術館
松崎町が建設を決めてから、全国から選りすぐりの左官職人が集い、建設に至ったという職人の心意気を感じさせる美術館。


館内の名作はほぼ撮影禁止ですが、それでも秀逸の作品はいくつか「撮影OK
」。

修善寺の旧あさば旅館の戸袋に施されていた龍。龍は雲を呼ぶところから、火災除けとして造られた。独鈷の湯から、この戸袋が見えたそうです。



国内版万博という博覧会で、長八の名前は知られるように、63歳の作品。

実際に長八が使用した鏝は保存されていないようで、弟子が使った鏝は記念館にありました。

長八の年表を見ると、30代から70代まで、絵に、漆喰に、仏像まで掘り、歌や三味線までできたというから恐れ入ります。左官の仕事を芸術の域まで高めた男と漫画を芸術まで昇華させた!?つげさんと、こんな街で出会うのが、これまた数奇な出会いでした。
さらに南へ、三浦の村々
松崎からバスで南へ、ここは三浦という小さな漁村が続く地域。三浦とは、岩地、石部、雲見という三つの小さな浦からなるため。



海岸まで歩く道は「三浦歩道」と言い、昔国道が通るまでに生活路として使われていた道。かつては、隣の村や松崎に出るには、この道を使い、さらに遠くに行く時や大きな荷物は船が交通手段でした。

岩地海岸




東洋のコートダジュール(南仏のリゾート地)と言われるらしく、昔は、オレンジ色の屋根の家がもっとあったそうです。

次の隣の浦、石部まで、歩きます。


静かな石部温泉





ということで、最近こういう外湯はどんどん閉鎖されているので、行く前に、観光協会に聞くしかないないですね。
堤防に登り、釣りの親子と団らん。

「まったり、日焼けタイムですよ」泣

ここから再びバスに乗り、いよいよ最終地点の雲見へ

つげさんも歩いた「雲見」
湯ヶ島に満足した私たちは、天城峠を越えもしないでもと来た道を少し戻り、ひどい悪路の土肥峠を越えて西伊豆海岸へ出た。土肥の浜辺は砂地ではなく石コロばかりだった。堂ヶ島に向かう途中の宇久須の黄金崎も見た。堂ヶ島は立派なホテルも建ち鄙びてはいなかった。堂ヶ島から松﨑を通過し、岩地の浜では少時泳いだりした。岩地は小さな入江の波静かな、その頃は鄙びていて好いところだった。さらに半島の先の方へ向かい雲見でも少し遊んだ。雲見から妻良への道はまだ出来ていなかった。やむなく松崎へ引き返すと日が暮れ、宿探しをすると何処も満員で、うろうろしていると「長八の宿・山光荘」が目にとまった。
ということで、つげさんは、湯ヶ島から当てもなく西伊豆の海岸を友人と旅して、雲見まで来て、引き返し、松崎の山光荘へたどり着くのでした。


チェックインまで時間あるので、先に雲見温泉を散策。
実はお昼を食べようとずっと探していましたが、三浦には一軒も見つからず。雲見でも、地元のおじさんに聞いたら、
「そうなんだよ、ちょっと前までは3軒あったけど、みんな潰れちまった、ほんとしょーがねぇよなぁ~。これじゃあ、客来ねえだろ、ごめんよ」ということで、小さな街のストア紹介してもらいました。






雲見の足湯
雲見温泉にも赤井浜というところに露天風呂があったのですが、こちらも2018年に閉鎖されていました…。伊豆もお手軽に入れる露天風呂はもうほとんどなくなってます。




足湯から少し山手側に雲見園という旅館。こちらは「日本秘湯の会」の宿でした。伊豆半島にもあったのかというところですが、簡単にたどり着けないという事ではやはり秘湯でしょう。


ということで、宿に向かい、最終日へ。(つづく)
