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アカンサスはなぜ洋館を飾るのか

長楽館を歩いていると、ゆるやかに波打つ葉の装飾が、ふと目に留まります。どこかで見たことがありそうなこの植物のモチーフは「アカンサス(葉アザミ)」と呼ばれるものです。

アカンサス文様とは

地中海沿岸地方に野生するとげのある多年草の植物アカンサスAcanthusを図様化した装飾文。紀元前5世紀、アテネの彫刻家カリマコスKallimachosがコリント式建築の柱頭装飾に用いたのが始まりとされている。

『日本大百科全書(ニッポニカ)』「アカンサス文様」
コトバンク「アカンサス文様」

アカンサスはギリシャの国花に指定されています。その長い歴史を持つ古典的な意匠は、以来、格式や教養を感じさせるものとして、建築や家具、工芸品などを彩ってきました(ウィリアム・モリスのテキスタイルも有名です)。
こうした西洋の建築や装飾の文化が日本に取り入れられるようになったのが、明治の時代です。

明治42年(1909)に迎賓館として建てられた長楽館にも、このアカンサスが随所に使われています。
階段や暖炉、シャンデリアの装飾など、ひとつひとつがさりげなく、けれど空間全体の品格と美しさを形づくる大切な役割を担っています。格式を感じさせながらも、どこか生命感ややわらかさを感じさせる姿もまた、長く愛されてきた理由かもしれません。

階段の柱
貴婦人の間シャンデリア
迎賓の間の柱

当時この彫刻を施した職人さんたちは、果たして「アカンサス」という植物を知っていたのかしら。そんなことをふと思いながら装飾を見るたびに「美しさは細部に宿る」という言葉を思い出します。

何気なく目にする葉の一枚にも、古代ギリシア時代から受け継がれてきた西洋の美意識が息づいています。

長楽館を訪れる機会がありましたら、ぜひアカンサスを探してみてください。
一度その存在に気づくと、これまで何気なく眺めていた館内の装飾が、少し違って見えてくるかもしれません。

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