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あとがき

※こちらは小説「情熱」のあとがきです。
小説を読んでいただいた方へ向けた文章になります。
ご了承くださいませ。
また、小説を書いた時期(2025.10)とこの記事の公開時期にタイムラグがありますが、内容には支障ありません。


 本って高いですよね。ましてやプロでもない人間の作品です。売れないだろうと思いながらこれを書いています。
 それでもこの作品をお迎えしてくださったあなた!
 本当にありがとうございます!
 苦節四ヶ月、これは間に合わないのでは? こんなに頑張っても意味がないよ……と本気で絶望しましたが、何とか形にできました。
 稚拙で未熟ではありますが、一番心血注いだのはこの小説です。しかし冒頭でお話しした通り、きっと売れないだろうとも思っています。それでも何としてもやりたかったことでしたので、頑張りました。
 何か響くものがあったのなら、これほど嬉しいことはありません。
 以降、各話おまけ話です。

 一話 君だけが知る真実

「君だけが知る真実」「恋心に関する考察」「愛されたい症候群」の三つは、元々は全く別の短編作品のタイトルでした。猫視点で進む人間の伝言ゲームの話です。結局ボツにしたのですが、この小説の内容に合いそうなタイトルはそのまま使うことにしました。伝言ゲームの話では「君だけが知る真実」がラストを飾っていたのですが、こちらではトップバッターになってもらいました。
 このお話では青葉は小学生。また、青葉と翠雨の一人称視点で話が進むため、小学生と大人の感じ方や語彙力の違いなどをかなり意識しました。掴みのインパクトや続きが気になる締め方など、色々と研究して頑張った一話です。
 この話は実際に妄想、幻覚の症状が出ていた方とお話ししていた際に「やはり自分が言っていることはおかしいのか」という旨の質問を受けたことをきっかけに生まれました。今でも、きっとこの先も、忘れられない問いかけです。

 二話 別れの交渉戦略

 このお話、経験則だけでは足りなかったので、こういう事例や映像を漁って改めて勉強しました。精神がすり減りました。
 一話は色々意識しましたが、この話は好き勝手やらせていただきました。なので、伝えたいことが一番詰まっています。感じたまま受け取っていただけたらと思います。
 と、簡潔に終わらせるのももったいないので、ここで主要人物の名前の由来を、名付けた順にご紹介します。
 一番最初に決めたのは時雨です。完全に思いつきで深い意味はないですが、他二人の名前のベースになってくれました。
 次に翠雨。時雨の兄弟なので雨つながり、小難しい、あだ名をつけやすい名前にしたかったので採用しました。小難しい名前にしたかった理由は後ほど。
 最後に青葉。翠雨の別名である青葉雨から取っています。青葉は成長するキャラクターなので、彼女に深い関わりがある人物は青葉を育むものを連想させる名前をつけています。
 苗字は名前に合うように適当に。
 この三人、試しに姓名判断をしたら全員大凶でした。あながち間違ってはいないです。

 三話 恋心に関する考察

 箸休め回です。ゆえにあっさり感が強いかもしれません。一話は青葉メイン、二話は翠雨メインときて、三話は二人をメインにしたかったので、患者さんにも続投してもらいました。
 このご時世、セクシャルマイノリティなどは多様性として割と理解が進んでいる気もしますが、本当に色々な形があるので、気になった方は調べてみてください。
 ちなみにコスモスの話は実話です。翠雨が季節ごとにプランターの花を植え替えている、というエピソードだけ入れようと思っていたのですが、味気なかったので具体性を持たせました。結果的に色々と繋げることができて良かったです。あの時枯れたコスモスもきっと浮かばれることでしょう。
 作中で花を咲かせなかったコスモスの色は決めてあるのですが、みなさまのご想像に委ねたいと思います。

 四話 愛されたい症候群

 私は一話から順番に書いているわけではなく、物語の全貌を決めてから書きやすい話を先に書いています。
 完成した順で言うと、一話→二話→六話→三話→五話→四話でした。この話が最後だったんですね。
 重要な話なのに全然書けず、文字数も足りない、内容が薄い! と大変悩んだのですが、最終的にこの話が一番長くなりました。まとめるのも難しく、短編でやるものではなかったと反省しています。
 全ての悪行を背負ったとんでも男が登場していますが、彼の名前は付けていません。誰しもがそうなる可能性があると思うからです。ちなみに、この男は青葉の父の轢き逃げ犯という設定もあったのですが、扱いきれなかったのと、時雨があまりにも可哀想なのでやめました。今のままでも可哀想ですが、人間生きていればこういうこともあります。自分が助けた人間が何かをやらかしたり、あるいは何かをやらかした人間を助けたり。自分が何かをやらかしてしまうかも。
 特に人を助ける仕事に就いている方なら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
 自分がしていることは正しいのか、と。
 一緒に悩みましょう。

 五話 ガラスの鼓動

 ガラスのハートが実在したら面白いかも、と思ってこの架空の病気の設定を思いつきました。というわけで、当初はこの話が小説のタイトル候補でした。しかし、途中でタイトル候補その二(六話)が現れ、悩むことになりました。
 そんな中、この五話を書いている途中、これってつまり情熱なんじゃあないのと思い、タイトルが決まりました。これを教えてくれたのは翠雨です。彼には読者に考えるきっかけを与える役割も持たせています。なので、この人はどういう人なのか? 何が言いたいのか? という感じで描いており、私自身なんだこの人と掴みかねていたのですが、ここでようやく彼の人物像が決まりました。この話ではバーンアウトも書こうと思っていたのですが、翠雨が燃え尽きているところが想像できなかったのでやめました。
 翠雨の病気の原因が判明する場面は、元々は彼の口からあっさりと語らせていたのですが、何か違うなと思い直し、青葉に答えさせることにしました。
 この作品を書くにあたり、心臓移植の流れや実際に心臓が動いている映像を見ました。月並みな表現になってしまいますが、非常に力強く鼓動する心臓に生命の神秘を感じました。どくんどくん、なんてものではなく、ばいんばいんと跳ねていました。握り拳大の大きさで全身に血液を送ってますからね、そりゃあこれくらい動くか、と妙に説得力がありました。

 六話 あめとビードロ

 このお話、視点が変わる度に時系列も数ヶ月、数年経っていたりします。冒頭のお墓参りが一月末、青葉と時雨のやり取りが三月、その翌日が翠雨と翠雨の母の再会、そこから数年経ってラストです。分かりづらくて申し訳ございません。
 この話は五話でまとめてしまおうと思っていたのですが、長くなってしまうのでエピローグとしてわけた結果、小説のタイトル候補その二になりました。しかしどちらもイマイチしっくり来ず、悩んでいたところで前述したように「情熱」を思いついたんですね。
 翠雨という名前は現実ではあまり見ないでしょう。これは彼の母が彼女なりに息子のことを想っていた証として、小難しい名前にしました。
 ラストの青葉の合格報告は、高校受験か大学受験か決めていません。彼女が医学の道を選んだのか、別の職種なのかも決めていません。続編を書くつもりはないのでご想像にお任せします。
 補足ですが、移植手術において、ドナーとレシピエントは原則お互いの個人情報は知らされず、直接繋がらないようになっています。手紙のやり取りもコーディネーター等を通して行われます。この仕組みを知らないと翠雨と巡の母のやり取りの件がよく分からないので、説明を入れたかったのですが、違和感なく組む込む技量がなく……申し訳ございません。

 おわりに

 小説というものは、やはり伝えたいものがあるから書いているのですが、全てをそのまま説明することはしません。それはただの説明書です。
 これはどういうことだろう、自分だったらどう思うだろう、なぜこの人物はこう思ったのだろう、などなど、疑問に思ったことがありましたら、ぜひ考えて自分なりの答えを出してみてください。
 考えた過程、そしてその答えは、きっとあなたの芯を作り上げる大切なピースの一つになるでしょう。
 とはいえまだまだ私は未熟です。シンプルに訳の分からないところがありましたら、フォームやマシュマロからご質問ください……。
 遅筆ですが、書きたい物語はたくさんあります。もしご縁がありましたら、またお会いできたら嬉しいです。
 ありがとうございました。

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