見出し画像

ローリング・サラリーマン詩篇    poem: なりたいもの

自分がなりたいものが、やっと分かった

15年も社会をさまよって 遠回りして

なりたいものが今日分かった

僕は できるビジネスマンになりたいわけじゃない

鋼のキックボクサーになりたいわけでもない

完全な男になりたいわけじゃない

なりたいものが やっと分かった

ユニクロのブラトップになりたい

淡い存在の光を放つ ブラトップになりたい

白のブラトップになりたい

両肩に手を掛けて 手長猿のようにぶら下がり

浜辺を歩く朝には 鼻歌を歌いたい

波踏む足の水音にあわせて

黄色のブラトップになりたい

世界のすべてに背中を向けて

ミツバチ飛ぶ昼 芝生の匂いの中

はだけたシャツより先に 風を切って進む

紫のブラトップになりたい

ダンスフロアで踊る夜は 振り落とされないように遊びたい

胸元を転がり落ちる光の欠片に見とれながら

クーパー靭帯を想いながら

黒のブラトップになりたい

今日と明日の隙間の中で

意味ありげな輪郭線を描きたい

息づく肌をゆっくりと闇の中に引き込みたい

ユニクロのブラトップになりたい

水色でも ピンクでもいいさ

こんなにも浮き浮きと確信に満ちた気持ちはない

こんなにもホッとした気持ちはない

夕暮れ時、遊び終わった少年が、家に帰る時のよな

これはむしろこの都会に消えてしまいたいという

欲望だろうか

さまよい続けてやっと分かった

僕は ブラトップになりたい

いいなと思ったら応援しよう!