ある日 急にSnow Manの穴に落ちた話
いつもの日常だった。
夕飯を食べ終えて洗い物はまだシンクの中。
スマホをいじりながらリビングのラグに寝転んでいた。
少しめんどくさくて、少し贅沢な金曜日の夜。
テレビには普段見ないチャンネルが映っていた。
『それ Snow Manにやらせてください』
略して『それスノ』
“Snow Man”
以前、20年来の親友が好きだと言っていた。
あの子がジャニーズ好きになったなんて初めてだったから、妙に印象に残っていた。
あ、今はジャニーズじゃないんだっけ。
まあいいや。
そういえば前の職場の後輩も好きだと言っていた。
私はその子が嫌いだったけど。
まあとりあえず、なんか最近人気のグループらしい。
デビューした時にニュースになっていたから何となく名前は知っていた。
たしか目黒蓮とラウールって子がいる。
あとピンクの頭の子もいるよね。
あの明るい子。
そのグループの番組で今日はダンス対決をやるらしい。
へー、チーム戦なんだ。
え、LDHも出るのか。
ちょっと観たいな。
そんなわけでいつもなら替えられていたチャンネルはそのまま『それスノ』だった。
9人一組で争われるダンスバトル。
色々なチームが出場していた。
高校ダンス部、キッズダンサー、ダンスが得意な芸能人チーム、さらにはあのLDHも。
ダンスの曲目は課題曲2曲、自由選択1曲、最後にまた課題曲を1曲で、どのチームも同じ条件で戦っていた。
次々と披露される素晴らしいダンス。
最終から2番目はLDH。
圧巻だった。プロの仕事を見せつけられた。
ちなみにダンスの順番はくじ引き。
一番最後にSnow Manが残された時、番組構成に疑念が生じたが、まあ大人の事情もあるのだろうと飲み込んだ。
Snow Manの順番が来た。
縦一列になってフォーメーションの準備に入りながらも、観客を煽っている。
LDHのあれだけ圧巻のパフォーマンスの後にアイドルではさすがに分が悪い。
それでも番組のために盛り上げている。
そう見えた。
曲が始まった。
目を奪われた。
息を飲んだ。
なんなんだ彼らは。
アイドルではない。
いやアイドルなのか。
画面の前で固まっている私の気持ちとは関係なくダンスは進み、3曲目の自由曲が始まった。
嵐の『Happiness』
この界隈に詳しくない私でも知っている、王道中の王道のアイドルソング。
先ほどまでのアーティスト然とした彼らはそこにはおらず、『キラキラ』という言葉を最上級に具現化したアイドル集団がそこにいた。
そして最終曲が穏やかに流れる。
私の世界には、もう私と Snow Manしかいなかった。
気づけば私は泣いていた。
穴に落ちた瞬間だった。
