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【映画音楽作曲講座31】逆再生したら自動作曲できちゃうのよ!/フィルきぃの映画音楽作曲講座[全50回]

※今回の講義では、曲の演奏が多めにあります。

こんにちは!映画(フィルム)+ピアノの鍵盤(キーボード)で「フィルきぃ」です!

さて、この第31回から第33回までは、自動作曲について話していきますよ。

「自動作曲」というと、コンピューターを使ったり、AIを活用した作曲をイメージされる方も多いと思いますが、実は、それだけとは限りません。どんな自動作曲が登場するのでしょうか?乞うご期待!


【理論】自動作曲の種類

実は、コンピューターが発明されるずっと以前から、作曲を楽にしたいなあ…と考えて、工夫する作曲家は多くいたのです。

ここでは4つの方法、逆再生する・音を置き換える・プログラムでの作曲・AIサービスでの作曲について、取り上げていきます。

最終的に、感情や作り手の思いを曲に乗せ、命を吹き込むのは、作曲家の仕事です。

自動での作曲には完全に依存せず、自動作曲のおかげで得られたヒントや、浮いた時間を使って、作曲家自身が積極的に関わりたい部分は、いっそう手作業にこだわったり、映画全体の曲の配置の調整に注力できるようになる。

自動作曲は、いわば、そのための補助ツールと言えるでしょう。

【理論】①逆再生する

自動作曲の方法①、「逆再生を使った自動作曲」について説明しますね。

これは、自分が過去に作った曲や、著作権の保護期間が切れた楽曲を逆再生して、曲作りのヒントを得る、という方法です。

手近な例として、映像編集ソフトや音楽制作ソフトには、逆再生が行える機能(エフェクト)を持つソフトも多いので、それらを活用するとよいでしょう。

なお、音だけでなくリズム感も含めて単に逆に再生されてしまうだけなので、楽曲としてそのまま活用するには違和感があり、多くの場合、アレンジが必要になります。

ただし、その違和感を映画の演出に用いたり、最初からわざと逆に演奏した曲を逆再生することで、本来の旋律の音運びだが違和感を演出する、という特殊な手法もあります。

逆再生は、数字譜を使えば、簡単に行うこともできます。
数字譜は文字のため、そのまま逆から書き直すだけで、逆再生の楽譜を作れてしまうのです。

なお、表計算ソフトを用いて、数式や関数を使えば、長い数字譜の曲を逆再生の楽譜に変換することもできますが、全くお勧めはしません。

その理由ですが、逆再生によって作曲のヒントを得ようとする場合、むしろ短いほうがシンプルにヒントを得られやすく、そこまで長い曲を逆再生する必要は、まずないためです。

さて、逆再生してみますと、どうしても違和感が生まれます。
それは「まだ、自分の曲ではない」という違和感です。
また、著作権保護期間切れの曲であっても、逆再生したものを自分の曲と言い張るのは、倫理的にもよろしくありません。
この違和感を、様々なプロセスを通じて消していき、自分の曲にしていきましょう。

【実践】♪①逆再生する

まずは原曲をそのまま逆再生

それでは、逆再生を用いた自動作曲を、実践してみます。
まずは、逆再生する前の原曲を用意しました。

そしてこれを、映像編集ソフトを使ってそのまま逆再生してみると、どうなるでしょうか?

おそらく、非常に聴きづらい感じがするのではと思います。

それもそのはず、この画面では説明のために分かりやすく主旋律だけを数字譜に書き起こしていますが、通常の曲には多くの場合、伴奏がついていますよね。

伴奏が付いたままの曲を逆再生すれば、主旋律だけでなく、伴奏も一緒に逆再生されてしまいます。

主旋律だけの逆再生でも違和感を感じるのに、伴奏も一緒に逆再生されてしまえば、違和感が倍増してしまいかねないのです。

数字譜にしてから逆再生してみる

もちろん、このまま強引に作曲を進めていっても構わないのですが、せっかくですので、伴奏はあらかじめ消しておき、原曲はまず、主旋律だけの状態にしてみましょう。

そのうえで、映像編集ソフトの逆再生機能も使わずに、シンプルな主旋律を、数字譜で逆から書き直してみましょう。

ここまでを仕込んだら、自分で逆から書き直したシンプルな主旋律(の逆再生バージョン)を、自分で演奏しなおしてみましょう。

いかがでしょうか。自分で演奏しなおすと、映像編集ソフトの逆再生機能を使ったときに発生していた、音のフワフワした感じの違和感はなくなると思います。

ところでなぜ、映像編集ソフトの逆再生機能を使うと、フワフワした感じになるのでしょうか?それは、私たちが言葉を発するときの母音と子音の関係を思い出してみるとよいです。

例えば「さっきょく」は、ローマ字で母音と子音に分解して書くと「SAKKYOKU」となり、これを逆から書くと「UKOYKKAS」となります。

これを強引に発音すると「うくおよっかす」という感じになるのでしょうが、実際に映像編集ソフトで逆再生した時の聴こえ方はそのようにはならず、おそらく「うKキャS」のように聞こえます。
母音と子音を完全に反転させるのは困難なためです。

文字として表記できる言葉ですら、このように一筋縄ではいかない状態ですので、本来は文字として表記できないはずの楽器音の場合、どうしても違和感は残ってしまうというわけです。

リズム調整

というわけで、自分で逆から演奏しなおしたことにより、曲のフワフワ感は解消できたのですが、まだ、音の伸ばし方が本来と逆になっているという違和感があります。

そこで、聴きやすい形にリズムを調整して、アレンジしてみましょう。
これで、だいぶ聴きやすくなってくるはずです。

音階調整

そうしましたら今度は、メリハリをつけるために、いくつかの音の音階を1オクターブ下げて、調整してみましょう。

小節の入れ替え

次に、これまでの4つの小節のうち、そのまま全部を無理に使う必要はないので、気に入った部分だけを選んでみます。

私は、前半の1小節目と2小節目が気に入りましたので、この2つの小節だけを使うことにしました。

そして、この2つの小節の前後を入れ替えると聴きやすくなりそうなので、小節を入れ替え、さらに、それを2回繰り替えして演奏してみることにしました。

音色の変更

そして、このままでは音が少し重いと感じましたので、音色を軽めに変更してみました。

音の変更

今度は、全体から音のエッセンスを抽出し、強調して、いくつかの音自体を入れ替えてみます。

旋律が形になってきましたので、伴奏も追加してみました。

続きを探す

気に入った旋律ができましたので、あとは通常の作曲の要領で、続きの音を探してみます。

というわけで、元の曲を逆再生したところから始めて、試行錯誤の末、全く別の新たな曲が完成しました。


今回の講義はここまでです。ご受講ありがとうございました。

次回は、第32回です。ご受講をお待ちしています!


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