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【CINEMORE映画考察】『サンキュー、チャック』スティーヴン・キングが問う、人生の価値とは ※注!ネタバレ含みます

こんにちは、CINEMORE編集部です。スティーヴン・キングの新たなる傑作と名高い「The Life of Chuck」を映画化した『サンキュー、チャック』。ライターの小野寺系さんにレビューを書いていただきました。

『サンキュー、チャック』スティーヴン・キングが問う、人生の価値とは ※注!ネタバレ含みます


※本記事は物語の結末に触れているため、映画未見の方はご注意ください。

『サンキュー、チャック』あらすじ
カリフォルニアで大地震が発生、フランスは津波に襲われ、メキシコでは森林火災が都市まで広がり、トスカーナでは街が水没──。次々と起こる災害にすべてを破壊され、ついに世界は終わろうとしていた。ネットやSNSが繋がらなくなる中、街頭看板やラジオ放送に突如現れたのは、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という不可思議な広告。だが、カメラに向かって微笑む中年男性のチャック(トム・ヒドルストン)が何者なのか誰も知らない。ハイスクールの教師を務めるマーティー・アンダーソン(キウェテル・イジョフォー)は、別れた妻フェリシア・ゴードン(カレン・ギラン)からの電話に応える。看護師を務めるフェリシアは、絶望のあまり自殺を選ぶ人々への対処に疲れ切っていた。互いを思いやる会話を交わし、電話を切ったマーティーがテレビをつけると、まもなく全局がダウン、そこに突然、またしても“チャック”の広告が流れるのだった。翌朝、マーティーは隣人から近くの道路が陥没したと聞き、学校へ行くのを諦める。フェリシアに連絡しようとするが、“接続できません”と表示される電話を捨て、彼女の住む街へと歩き出すマーティー。乗り捨てられた車で埋め尽くされた、まさに終末の風景の道路にも、チャックの街頭広告だけは並んでいた。マーティーが道中で出会った、ある紳士はチャックのことを、「20人以上に尋ねたが、誰も知らなかった。世界の終わりの象徴かもしれんな」と語る。すっかり日が暮れて、ようやく目的地にたどり着くマーティー。すると、街灯が一斉に消えて、街が闇に包まれた直後、建ち並ぶ家々の窓に、チャックの広告が浮かび上がる。恐怖に駆られたマーティーはフェリシアの家へと駆け付ける。マーティーとの再会を喜びながらも、フェリシアは彼に「そろそろよ。その時が来たの」と厳かに告げるのだった。果たして、世界は本当に終わるのか?チャールズ・クランツ、通称チャックとは何者なのか?なぜ、感謝されているのか?39年間の意味とは?一つ、また一つ、謎が解き明かされた時、すべての悩める魂に語りかける、もう一つの物語が始まる──。

Index
スティーヴン・キング作品、ヒューマンドラマの系譜
世界が崩壊しかける中、突如現れた謎の広告
「主観的観念論」に基づく世界
世界はこの瞬間のためにこそ存在した
それぞれの人生が積み上げる無数の“世界”


スティーヴン・キング作品、ヒューマンドラマの系譜

 『ジェラルドのゲーム』(17)、『ドクター・スリープ』(19)と、スティーヴン・キング作品の映画化企画を手がけてきた、映画監督マイク・フラナガン。その新作となる『サンキュー、チャック』(24)は、『スタンド・バイ・ミー』(86)や『ショーシャンクの空に』(94)といった、キング作品におけるヒューマンドラマの系譜を映画化した一作である。

 しかも、その2作品に並べても遜色のない傑作に仕上がっているのだから、驚きだ。ここでは、そんな本作『サンキュー、チャック』がどのような要素で構成されているのか、その作品の持ち得た可能性も含め、内容の核となる部分を解説していきたい。

 モダン・ホラーの帝王スティーヴン・キングが、その円熟味を披露した中編小説「チャックの数奇な人生」を原作とした本作。大きく目立った特徴は、その変則的な構成にある。映画は三章立ての構造をとっているのだが、物語はいきなり「第三章」から幕を開けるのだ。

 そこから第二章、第一章と、内容が時系列を遡っていく。この遡上していくような語り口によって、観客はまず、終末の光景が広がる謎めいた光景を突きつけられる。その後に提示される過去のエピソードを通じて、そこに描かれた意味を解き明かしていくことになる。この結末から起源へと逆行する趣向が、ミステリーとして機能するのである。

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