DaVinci Resolve 21 史上最大級のアップデート!
DaVinci Resolve 21は、全く新しいページの追加、革新的なローカルAIツール、そしてユーザーの長年の要望に応えるUIや操作性の改善など、大規模なアップデートです。
まず大前提として、このバージョンは現在パブリックベータ版であるため、バグや予期せぬ動作が発生する可能性があります。アップデート前には必ずプロジェクトライブラリのバックアップを取ることが強く推奨されており、一度バージョン21で開いたプロジェクトはバージョン20にロールバックできなくなる点に注意が必要です。
今回のアップデートの大きな特徴は、Blackmagic Designが実装した強力なAIツール群が「すべてローカルのオフライン環境で動作する」という点で、個人のクリエイティブな作品を企業の利益のためにクラウド上で勝手に学習・盗用するようなオンラインAIサービスとは異なり、ユーザー自身のPC上でアシスタントのように機能するため、プライバシーと著作権が保護されるという設計思想を持っています。
【1. 全く新しいワークフロー「Photo(写真)ページ」の登場】
動画編集ソフトでありながら、なんとAdobe Lightroomの代替になり得る本格的な「Photo(写真)ページ」が新設されました。動画クリエイターがサムネイルやスチル写真を同じソフト内で現像・カラーコレクションできる環境がついに整いました。
■ 写真の管理とRAW現像
メディアプールから写真を読み込み、「Photo Album(写真アルバム)」として下部のストリップ(タイムラインのような場所)に配置して作業します。
このアルバムはEditページ等で開くことはできず、グレーの再生ヘッドが表示される写真専用の場所として機能します。 現時点でCanon(CR2)、Sony(ARW)、Nikon、FujifilmのRAWフォーマットや、iPhoneのRAW DNG、一般的なJPEGに対応しています。
ただし、一部のクリエイターからはLumixのRAWファイルがまだサポートされていないという報告もあります。 インスペクタのRAW設定では、カメラのデフォルト設定を上書きしてLogフォーマットで作業したり、ホワイトバランス、ティント、コントラスト、ハイライト、シャドウなどを詳細に調整できます。
※RAW読み込み時に「Auto Normalization」がオンになっていると画面が明るすぎる場合があり、これを外すことで元の見え方に近くなるとのことです。
■ 非破壊編集と動画タイムラインへのシームレスな連携
このPhotoページでの調整は完全に非破壊(Non-destructive)であり、
メディアプールのソースファイルに直接リンクされます。
つまり、ここで現像した写真をEditページの動画タイムラインに配置した場合、後からPhotoページで色を変えるとタイムライン上の写真の色も自動で更新されます。
カラーページに移動してノードベースでさらに高度なグレーディングを行ったり、Fusionページに飛んで不要なオブジェクト(雪の中の木の枝など)をクローンツールで消し去ったりすることも、すべてシームレスに完結します。
■ 写真の整理とAIタグ付け、バッチエクスポート
星によるレーティング、カラータグ、フラグの付与が可能で、左側のパネルから「お気に入りのみ」を抽出するフィルタリングができます。
さらに後述する「AI IntelliSearch」を使えば、「犬」と検索するだけでAIが全写真をスキャンして該当画像だけを集めたアルバムを自動生成してくれます。 ワンクリックでアスペクト比(1:1など)を変更できるクロップツールや、微細な角度調整ツールも画面上に備わっています。作業が終われば、メタデータを保持したままJPEGやTIFF等でアルバム全体や選択した画像をワンクリックで高速バッチエクスポートできます。
Lightroomのカタログファイルもそのままインポートできるという報告もあり、本格的な写真管理ツールとして期待されています。
【2. 創造性を爆発させる強力なAIツール群(Studio版限定)】
■ AI Speech Generator(テキスト読み上げ&音声生成)
驚異的な性能を持つのがこのAI音声ジェネレーターです。タイムラインメニューの「AIツール」から開くことができ、テキストを入力するだけで数分(あるいは数秒)のうちに音声を生成します。 デフォルトの音声モデルだけでなく、自分に権利がある15秒程度の短い音声クリップを「カスタムボイス」として読み込ませると、その声質、リズム、イントネーションを模倣した音声を生成してくれます。
スピード、ピッチ、そして参照元の声のトーンにどれだけ近づけるかを調整する「バリエーション」スライダーが用意されています。クラウド上で巨大なデータセットを使って学習するツールに比べると長文の読み上げには限界があるかもしれませんが、「言い間違えた数単語の修正」や「短いボイスオーバーの追加」といった用途には完璧に機能します。
■ AI IntelliSearch(インテリサーチ)
メディアプール内の映像や写真をAIが解析し、目的のものを一瞬で探し出すスマート検索機能です。テキスト(文字起こしデータ)、メタデータに加え、ピクセルをスキャンしてオブジェクトや人物の顔を特定する「視覚検索(Visual Search)」が可能です。
使用する前に、メディアプールのAIツールから「AI Analysis(AI分析)」を実行し、クリップをインデックス化する必要があります。この時、スレート検出や顔認識をオフにして検索スピードを上げることも可能です。検索時は処理速度優先のFasterモードと、より高精度なBetterモードが選べます。
例えば「man(男性)」「car(車)」「dog(犬)」と検索すると該当クリップがリストアップされますが、最も便利なのは結果を「フルクリップ」ではなく「セグメント」で表示する機能です。長い素材の中から「犬が映っている数秒間だけ」をサブクリップのように切り出して表示してくれるため、素材探しの時間が劇的に短縮されます。さらに検索結果を「スマートビン」として保存しておけば、後から追加した素材も自動でそのビンに振り分けられます。
■ AI Cine Focus(シネフォーカス)
スマートフォンやパンフォーカスで撮影された映像に対し、写真のようにリアルで美しい被写界深度(レンズぼかし)を人工的に生成するエフェクトです。Colorページでノードに追加して使用します。 既存のぼかしツールよりもエッジの処理が優れており、ノイズ除去やリグレインツールも内蔵されています。動作が重いエフェクトですが、スムーズにプレビューするためのセットアップ方法があります。
ノードキャッシュとユーザーレンダーキャッシュをオンにし、外部ノードとして「AI Depth Map」を作成します。Cine Focusのデプスマップ設定を「Alpha Input」に変更し、Depth Mapノードの緑出力からCine Focusの青アルファ入力へ接続することで計算負荷を下げられます。これにより、自由にボケ感を演出できるため、フォーカスアニメーションをキーフレームで作ることもできます。
■ AI UltraSharpen(超解像シャープネス)
ピンボケしてしまった映像や写真を救済する驚くべきツールです。例えば、撮影時に重要な製品ロゴのピントを外してしまった場合などに、ウルトラシャーペンを少し適用するだけで、劇的かつ綺麗にくっきりとシャープになることが確認されております。
■ AI Motion Deblur(モーションブラー除去)
エディットページでクリップを右クリックして「AIツール」から適用します。180度シャッターなどで撮影された動画特有のモーションブラー(被写体ぶれ)を除去する機能です。動画からシャープな静止画(サムネイルなど)を切り出したい時などに非常に有用で、レンダーインプレイス形式で新しいクリップを生成します。
■ AI Slate Detector(カチンコ検出)
メディアプールのAI分析メニューから実行すると、映像内のカチンコ(スレート)が映っている箇所をAIが自動検出し、デュレーションマーカーを配置して整理を助けてくれる機能です。
【3. 強烈な顔補正・ビューティーAIツール群】
ColorページのResolve FXに、VFXの知識がなくても使える強力な顔補正ツールが複数追加されました。
AI Face Age Transformer(年齢変換): 対象の現在の年齢(例:36歳)を設定し、「オフセット」スライダーを調整することで、人物の顔を若返らせたり(マイナス)、老けさせたり(プラス)することができます。クリエイターからは「シワが消えて赤ん坊のようになる」「少し不気味だが非常に賢いツール」と評されており、キーフレームを打つことで時間経過とともに年齢が変化するアニメーションも作れます。適度に使用すればビューティー系の補正に重宝します。
AI Face Reshaper(顔の再形成): 顔を検出し、前後にトラッキングした上で、顔全体の輪郭、目、鼻、口などのサイズや位置を個別に調整できます。目を異常に大きくしたり、顎を細くしたりしても、マイクなどの周囲のオブジェクトを歪めることなく、顔のパーツだけを正確にワープさせる驚異的な精度を持っています。
AI Blemish Removal(シミ取り):ニキビや目の下の赤みなどの肌トラブルを、肌本来の質感をぼかすことなく自然に除去してくれるシンプルなエフェクトです。
【4. Edit(エディット)ページと全体的なQoL(操作性)の劇的向上】
■ 念願のEditページでのFusionキーフレーム対応
長年ユーザーから要望が絶えなかった機能がついに実装されました。Editページに配置したFusion製のタイトルやジェネレーター、マクロエフェクトに対し、Editページのキーフレームエディターで直接キーフレームを打てるようになりました。 現時点では位置(Position)データのアニメーションには未対応で、主にスライダーなど静的な数値のキーフレーム化に限られていますが、Fusionページに行かずともイージングやループの設定、リタイムコントロールのアニメーションなどがEditページ内でネイティブに調整できるようになり、大幅な作業効率化に繋がります。
■ テキスト機能(Text+ / MultiText)の進化
Text+の進化: ネイティブで絵文字がサポートされ、わざわざ別のテキストエフェクトを使う必要がなくなりました。また、フォントをリアルタイムでプレビューできる独立したフォントブラウザが実装され、お気に入りのフォントに星印をつけて即座に呼び出せるようになりました。さらに、Fusionオーバーレイをオンにすることで、スペルチェック機能(間違った単語に赤いアンダーラインを引き、右クリックで修正案を提示)が使えるようになっています。
MultiTextの進化: CSVファイルのインポート機能が強化され、スプレッドシートから読み込んだ大量のテキストデータを様々なスタイルで表示しやすくなりました。
■ タイムラインの「バックアップと検証(Compare)」
編集に行き詰まった時などに現在のタイムラインをバックアップとして保存し、後で「Compare with timeline backup(バックアップと比較)」を実行できるようになりました。これにより、クリップの増減やテキストの削除など、現在のタイムラインとバックアップとの差分がリストで表示され、さらにはバックアップ側のタイムラインをそのままプレビュー再生して見比べることも可能です。気に入ればバックアップを復元することもできます。
■ バックグラウンドレンダリングの搭載
エクスポート(クイックエクスポート含む)やAI処理などの重いタスクをバックグラウンドで実行できるようになりました。Preferencesの検索バー(これも新機能として追加され設定が探しやすくなりました)から「Background Render」をオンにするだけで、レンダリング中もEditページやMediaプール、Photoページで別の作業を続行できます。
■ Magic Maskのレンダーインプレイス対応
Colorページの「Magic Mask」がついに「Render Magic Mask in place」に対応しました。オプションからこれを選択すると、トラッキング済みのマスクがProResファイルのマットとしてレンダリング・アタッチされるため、作業のたびにトラッキングの再計算が発生してPCの動作が重くなるストレスから解放されます。
■ 新規フォーマット(Lottie, Affinity等)の直接サポート
AffinityのAAFサポート: グラフィックソフトのAffinityのファイルを、レイヤー構造を保持したままEditページに直接読み込めるようになりました。
Lottieファイルのサポート: ウェブサイトなどでよく使われる、軽量で滑らかなアニメーション形式「Lottie(ロッティー)」の読み込みに対応しました。EditページやFusionページに配置するとループ再生されるため、長さを自由に伸ばしてアニメーションとして活用できます。
その他、複雑な放送局向け環境で使われる「Ograph HTMLグラフィックス」などの形式もサポートされています。
■ UI・UXの細やかな改善
メディアプールのビンがタブ形式で表示できるようになり、複数のビン間を瞬時に切り替えられるようになりました。また、スタックタイムライン(複数のタイムラインを上下に並べる表示)をデフォルトのビューとして設定するボタンが追加され、新規プロジェクトのたびに設定する手間が省けました。Deliver(出力)ページでは、プリセットが横並びから見やすいドロップダウンリストに変更され、設定を変更するたびにエクスポート後の推定ファイルサイズがリアルタイムで表示されるようになっています。
さらに、モノラルのオーディオクリップをステレオトラックに配置した際、片耳からしか音が聞こえなくなる問題が解消され、自動的に左右両方から出力される仕様に改善されました。新規のエフェクトとして「Picture in Picture(ウェブカメラ風のワイプ)」や、Film Look Creatorのコア設定に「Aurora」などが追加されています。
【5. Fusionページへの驚異的な統合と機能強化】
■ 「Crocodile」ノードのネイティブ統合
Fusionページのツール内に新たに「Crocodile」というフォルダが追加されました。これは元々、コミュニティで開発・流通していたサードパーティ製の便利なノード群でしたが、これらが数十個の全く新しいノードとしてダビンチにネイティブに統合されました。これにより追加インストールなしで、モダンで複雑なモーショングラフィックス(押し出しによる3D風アニメーションなど)が誰でも簡単に作成できるようになりました。
■ 複数ノードの一括編集「Combine Selected Tools」
インスペクタに新設された、Fusionユーザー歓喜の画期的な時短機能です。例えば、別々のテキストが入った3つのText+ノードを同時に選択し、この「マルチインスペクター」機能をオンにすると、Resolveがそれらのノードが共有する共通のコントロール(フォントサイズや色など)を自動で抽出します。そして、1つの数値を変更するだけで、選択したすべてのノードの該当パラメータが一括で変更されます。異なる種類のノード間でも機能するため、一つ一つクリックして変更する手間が完全になくなりました。
■ マクロ作成機能(UI)の刷新
Fusionで構築したエフェクト群をEditページで使えるようにパッケージ化する「マクロ作成」のUIが一新されました。パラメータをドラッグ&ドロップで並べ替えたり、ネスト化されたグループを作成したりする作業が視覚的になり、以前のようなテキストエディタでの複雑な調整が不要になりました。作成したマクロはそのままEditページのテンプレートフォルダに直接保存できるなど、出力オプションも大幅に改善されています。
【6. FairlightページとColorページのその他の進化】
■ Fairlight Animator
Fusionページにおいて、テキストのサイズなどの任意のパラメータに対し、新しく追加された「Fairlight Animator」モディファイアを適用できるようになりました。これは、指定したオーディオトラックの音量(レベル)を解析し、音声の波形に合わせて自動的にパラメータを動かす(音声が大きくなるとテキストが大きくなる等)ことができる機能です。スケールやオフセットの調整により、オーディオ駆動型の本格的なエフェクトが簡単に作成できます。
■ ハイエンド向けColorページ機能
Colorページには、1つのタイムラインから異なる複数のフォーマット向けにグレーディングを効率的に準備できる「マルチマスタートリムマネージャー(Multi-master Trim Pass grading)」というハイエンド向けの専門的な機能も追加されています。
【まとめ】
DaVinci Resolve 21は、新設されたPhotoページによる本格的な写真管理・現像環境の構築、ローカルで完結し倫理面にも配慮された超強力なAIツール群の実装、そしてEditやFusionページにおけるかゆいところに手が届く無数の操作性改善により、動画クリエイターのワークフローを根底から効率化し、新たな次元へと引き上げる歴史的なアップデートと言えます。ベータ版ならではの不安定さを考慮しつつも、この圧倒的な機能群はすぐにでも試してみる価値はあるでしょう!
参考
Blackmagic Design 公式
ゾンビ縦型ショートムービーのご紹介
弊社Cinergiaの嶋田が脚本監督をしたゾンビの縦型ショートムービーを紹介させてください。4本制作しましたのでとりあえず予告動画をどうぞ!
「甘党ゾンビ」 2026.4/25 YouTubeにて公開
「リビング・オブ・ザ・リビングデッド」 2026.4/26 YouTubeにて公開
「虚偽の処方箋」 2026.4/27 YouTubeにて公開
「我が家の深刻な問題」 2026.4/28 YouTubeにて公開
グロい要素は全然ないのと3分以内に終わるのでサクッとゾンビを楽しんでくださいね!ではでは優雅なゾンビライフをお送りください!
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