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続・ニューヨークで暮らすということ



ちょうど3年前の今頃、木枯らし吹くニューヨークに片足を突っ込んだのだった。そして即、出発前まで舞い上がっていた気持ちを床に投げつけるような、最悪な日々が始まった。

金もなく、土地勘もなく、人脈もない。最安値の宿をめがけて突進した我々がまず泊まることになった部屋は、口を開けてられないほどに悪臭が漂い、バスルームは見知らぬ人と共用なのに鍵がかからない。Uberなんて使ったこともなかった当初は、移動だけでも恐ろしかった。どこかに連れて行こうとする違法ドライバー、地下鉄の通路で放尿する不審者。そして洗濯物の乾燥を待つ間に複数人から物乞いされ続けるコインランドリー、予定をすっぽかす不動産屋……。部屋の中にも外にも、これっぽっちも安全がない。

ようやくまともな不動産屋にたどり着き、なけなしの貯金でやたらと高いデポジットを払い、なんとか治安の良いエリアのシェアハウスに引っ越してやっと一安心…と安堵できるはずもなく、まったく掃除しないシェアメイト、リビング中に転がる犬猫の糞尿、糞尿、糞尿!注文したものを半年も届けてくれない上に謝らない家具屋、マイナス13度の極寒豪雪、深夜に除雪車が通れば轟音と共に揺さぶられる家、日本からとても大切なものを詰めて送ったのにパクられた荷物。どれもこれも全部、最悪!!!!

物価も高く、競争は厳しく、治安は悪く、冬なんて寒すぎて口が開かない。

アーティストになりたいからニューヨークに行くだなんて、バカの一つ覚えじゃないか馬鹿野郎! と、私は何度もこの冷たい大都市と夫を憎んで泣いた。大阪でも、東京でも、それなりに上手くやってこれたのに。ここでは友だちもいない、英語もわからない、美しく聳えるマンハッタンのビル群の中には入れず、まるで掃除婦のようにブルックリンのシェアハウスの掃除だけをする日々。クソ汚いトイレを掃除しながら「私は、東京では……」と泣きたくなってしまう。

恋しい故郷・東京の友人から紹介してもらい、日本人の友人が出来たと喜ぶも束の間、在米歴の長い日本人同士が集まれば自然と共通言語は英語になる。その瞬間からわからない。日本人同士で繰り広げられる話の内容がさっぱりわからない私と、努力を積み重ねてこの大都市でキャリアを築いてきた在米日本人の方々。30年間ちっともその種の努力をしてこなかった自分が恥ずかしいし、情けないし、なによりも、ニューヨーク楽しそう! だなんて、のこのこ着いて来た私こそ馬鹿野郎なのだ。愚痴でもこぼそうかとTwitterを開けば、「塩谷舞は自分の意志で渡米した訳じゃないから、やっぱり全然覚悟が足りない」だなんて書かれていて泣けてくる。なぜ泣けるのかって、図星だから泣けるのだ。


ただお陰様で、こうしてこの場で文章を売らせてもらい、得意のSNSで活路を見出し、苦手な英語を少しずつ克服し、徐々に世界が広がってきたぞ……という話は、ちょうど1年前の『視点』に書いている。


そこから、また1年。

うち半分は疫病によりStay at home、狭い部屋の中で夫婦大喧嘩ばかりしていたのはお察しの通りなのですけれども、それでも夏頃からは街が少しずつ営みを取り戻し、ずっと開催延期されていた夫の個展もようやく幕を開けられた。そして10月18日、1ヶ月以上に渡る会期を終えたところだ。

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個展を開催した場所は、SOHOにあるNowhereというギャラリーだ。ここは日本人のオーナーが、日本出身のアーティストやクリエイターが世界で勝負するための足がかりを作ろうと1年前に立ち上げた場所。ニューヨークのギャラリー街といえばチェルシーだけれども、SOHOは東京で言えば原宿や表参道のような場所で、とても賑わいのある街だ。

そんな一等地で、これほどの広い空間を1ヶ月以上(厳密には開催休止期間を含めれば半年以上!)も使わせてもらえるだなんて、本当に、本当にありがたい機会だった。

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via https://www.raykunimoto.com/rei-listeningtosilence 

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via https://www.raykunimoto.com/mon

そんなNowhereの運営方針としてユニークなのが、

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