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【組織のリアル】正論で殴るな、握手をしろ—「改革」を邪魔されたくないなら、僕たちは「美しい根回し」を覚えなければならない。

皆様こんばんは!現役地方公務員兼キャリアコンサルタントであり、「Civireer(シビリア)」の松永です。

2月12日、木曜日。 もうすぐバレンタインですね。 世間では「チョコどうする?義理として渡してみる?」なんていう、高度な政治的駆け引き(?)が繰り広げられている頃でしょうか(笑)。

ちなみに僕の働いている職場では、慣習的なものについては廃止の方向が出ています(旅行・研修に行った時のお土産、年賀状等)。 そこにはバレンタインも含まれてまして、職場では見なくなった風景でもあります。

さて、今日はそんな甘い話ではなく、もっとドロドロした、でも仕事をする上では避けて通れない「組織のリアル」についてお話しします。

テーマは、ズバリ「根回し」です。

この言葉を聞いて、あなたはどう感じますか?

「うわ、なんか古臭い」 「ゴマすりみたいで嫌だ」 「コソコソ裏工作してるみたいで卑怯だ」

そう思ったあなた。 その気持ち、痛いほど分かります。

かつての僕もそうでした。 「良い企画なら、正々堂々と会議で提案して、議論で勝ち取ればいいじゃないか!」 そう信じて、「正論」という切れ味鋭いナイフを振り回していました。

でも、あえて言わせてください。 そのナイフを振り回しているうちは、組織は1ミリも動きません。 むしろ、あなた自身が傷だらけになって終わるだけです。

今日は、数々の「改革(広報誌改革、議会ICT化、有識者委員会設置)」の現場で失敗を重ねて泥水をすすってきた僕がたどり着いた、「美しい根回し」の技術についてシェアさせていただければと思います。

正論だけで改革できる世の中ではない…?

■ 「会議」で勝負をしてはいけない

若手時代の僕の失敗談を聞いてください。

20代の頃、僕は自信満々で「新しい広報戦略」の企画書を作りました。 それは長年手をつけていない広報誌を大胆に変えるというものでした。 データも揃えた。論理構成も完璧だ。 「これなら絶対に文句は出ないはずだ!」

そう意気込んで、部長や課長が並ぶ企画会議に臨みました。 プレゼンを終え、「どうだ!」とドヤ顔をした僕に返ってきたのは、予想外の反応でした。

「まあ、理屈は分かるけどさ、時期尚早じゃない?」 「前例がないから、もう少し慎重に検討すべきだね」 「そもそも、〇〇課には話を通したの?」

結果は、継続審議(事実上の却下)。 僕は悔しくて、「なんで分かってくれないんだ! 時代は進んでいるのに!」と心の中で叫びました。 余談ですが、継続審議で本当に継続されることは9割ないです。

当時の僕は、致命的な勘違いをしていたんです。 「会議は、物事を決める場所だ」と。

違います。 良いか悪いかは置いておいて、現状日本の組織の大半において、会議は「決まったことを、みんなで確認する儀式」です。 勝負は、会議室のドアが開く前に、すでに9割決まっているんです。


■ 根回しとは「相手へのリスペクト」である

「会議があるのに事前に決まってるなんて、デキレースじゃないか」 そう思うかもしれません。

でも、視点を変えてみましょう。 もしあなたが、何の前触れもなく、会議の場でいきなり「あなたの仕事のやり方を根本から変える提案」を突きつけられたらどう思いますか?

「えっ、聞いてないよ」 「俺のメンツはどうなるんだ」 「いきなり言われても判断できない」

人は、「知らないこと」や「急な変化」に対して、本能的に防御反応(反対)を示します。 中身が良いか悪いか以前に、「聞いてない」というだけで感情的な敵になってしまうんです。

つまり、「根回し」とは、卑怯な裏工作ではありません。 相手に対して、 「あなたはこの件に関係する重要な人ですよ」 「あなたの意見を尊重していますよ」 というメッセージを事前に伝える、「最大級のリスペクト(敬意)」なんです。

いきなりボールを投げつけるのではなく、 「これからボールを投げますよ。準備はいいですか?」 と声をかける。 これが、大人の優しさであり、仕事の流儀です。


■ 「反対しそうな人」ほど、最初に会いに行け

では、具体的にどうすればいいのか。 僕が議会のICT化(タブレット導入)を進めた時のテクニックを紹介します。 当時、紙文化に慣れ親しんだベテラン議員の中には、当然デジタル化に難色を示す方もいました。

普通の感覚なら、反対しそうな人には近づきたくないですよね? 会議でぶつかるまで、なるべく刺激したくない。

でも、僕は逆をやりました。 「一番反対しそうなボス」のところに、真っ先に相談に行ったんです。 しかも、企画書が完成する前の、メモ書きの段階で。

「〇〇先生、実は今、議会の効率化について考えているんです。先生は長年議会を見てこられて、どう思われますか? 知恵を貸してほしいんです」

ポイントは、「説得」ではなく「相談」をすることです。

人は、「教えてくれ」と頼られると悪い気はしません。 「うーん、まあ紙が無駄なのは確かだな。でも、俺は機械が苦手でな」 「なるほど、操作の不安があるんですね。じゃあ、もし専属のサポート員がついたらどうですか?」 「まあ、それなら……」

こうやって、相手の懸念点(地雷)を事前に処理しつつ、 「俺がアドバイスしてやった企画」 と思ってもらう。

つまり、「敵」を「共犯者」に変えてしまうんです。

このプロセスを経て会議に出した時、そのボスは反対するどころか、 「まあ、松永君とも話したんだけど、これからはデジタルの時代だよな」 と、援護射撃をしてくれました。

もちろん推進派の先生方にも事前に説明は済んでいたので、会議はトントン拍子に終了。こうして議会から紙は無くなり、今では先生方はタブレットを持って本会議に挑まれています。

これが、「美しい根回し」の威力です。


■ 正論というナイフを置こう

僕たち公務員は、真面目だからこそ「正しさ」にこだわります。 「法律ではこうなっている」 「効率化すべきだ」

その正論は、確かに正しい。 でも、「正論」は時として「刃物」になります。 相手を論破して、言い負かして、その場では勝てるかもしれません。 でも、傷つけられた相手は、次からあなたの協力者にはなってくれません。

改革とは、一人で突っ走ることではありません。 一人でも多くの「味方」を作って、みんなでゴールテープを切ることです。 公務員という職業においては、そもそも振り返れば誰も敵ではないはずです。

だから、ナイフを置いてください。 その手で、相手と握手をしてください。

「この街を良くしたい」 その目的が同じなら、手段の違いは話し合い(根回し)で埋められます。

面倒くさいと思いましたか? 僕の返答としては、「はい、死ぬほど面倒くさい」です(笑)。 何度も足を運び、頭を下げ、お茶を飲み、雑談をして…。両手を挙げての賛成までにはいかずとも、黙認してくれるレベルになるまで粘る。

でも、その泥臭いプロセスを経た企画だけが、 「よし、やってやろうじゃないか!」 という組織の熱量を生み出し、社会を動かすことができるんです。


■ 明日、あの人の席へ行こう

哀しいことに正論だけでは世の中は動かない。それは、言い換えれば人それぞれの価値観があることでもあります。その価値観同士を擦り合わせてより良い方向に変えていく。

もし今、あなたが通したい企画があって、壁にぶつかっているなら。 パソコンの前で完璧な資料を作るのを、一旦やめてみましょう。

そして、ちょっと苦手なあの課長や、キーマンの席まで歩いていってみてください。 「ちょっと相談があるんですけど……」

その一言から、巨大な歯車が動き出します。 根回しは、悪いことじゃない。 未来を作るための、「愛ある準備運動」です。時代の流れが早すぎる今、「愛ある準備運動」がより一層必要とされています。

それでは、2月も中盤戦に入りましたが、一緒に頑張っていきましょうね!また日曜日にお会いしましょう!



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