2026年のマーケット大局展望『歴史的にどんな年?』
1.はじめに
2026年はどんな1年になるのか?
今回は、2026年という年が、どんな年になるのかを様々な角度から取り上げた。また、2026年のイベント・カレンダーも作成したので、ご活用ください。
2.2026年は歴史的にどんな年?
マーケットでは、よく「アニバーサリー」という言葉を使う。大きな出来事が起こってから何周年という意味で使うことが多い。そんな観点から、10年刻みで、ざっくりと振り返ると以下のような特徴が浮かんでくる。
(次の10年の転換点の年)
2016年・・・トランプ氏がまさかの米国大統領選に勝利し、今の米国ファーストを形成していく。英国がBREXITを国民投票で決定し、EUから初の離脱国が登場する。英国は大きな混乱の道を歩むことになる。ポピュリズム政治という点でも、大きな転換点となった。
2006年・・・住宅バブルが進行し、2007年にはサブプライム危機が顕在化、2008年にはリーマンショック(金融危機)に発展し、米国社会の住宅神話が崩壊する。米国で投資銀行が消滅し、金融システムの大転換へと移行していく。
1996年・・・ITバブルが進行。ナスダック100は1991年から1999年まで9年連続で上昇。S&P500は1995年~1999年まで5年連続で上昇。その後、ITバブル崩壊により、大きな調整局面に突入する。
1986年・・・プラザ合意後のドル安進行、逆オイルショックによるOPECの転換。そして新自由主義の道へ。1985年9月のプラザ合意を経て、ドル安が進行。OPECの協調体制が崩れて急激な原油安が進行し、その後、OPECは価格を決める組織体から生産の枠組みを決める体制へ移行していく。原油も金融商品化していく。また経済では新自由主義、グローバリズムの流れが決定的となり、現在に繋がる貧富の格差が不可逆的な流れを作る。
1976年・・・スタグフレーションにより、ケインズ型の経済学の問題点が露呈。そして、この年にマネタリズムを提唱するミルトン・フリードマンがノーベル経済学賞を受賞する。この後、1979年よりボルカーFRB議長のもとで、フリードマンのマネタリズムが金融政策の中心に据えられていく。
1966年・・・債券市場の死。戦後、約20年間継続した米国債券の安定的なブル相場が終わり、長期金利が持続的な上昇トレンドに転換。国債は保有していれば、どんどん価格が上昇するという神話が崩壊。高インフレの時代に突入していく。米国の黄金期が終了。
1956年・・・スエズ危機により、名実ともに世界の覇権国が英国から米国にシフトしたことを世界が認識したと評価されている。1956年~1966年は、米国の黄金期(ゴールデン・エイジ)と呼ばれ、完成された戦後体制が最も安定的に機能した10年となる。
1946年・・・言うまでもなく第二次世界大戦後の国際秩序が形成されていく年。あらゆる意味で、米国が覇権国として世界の新たなルールを作っていく転換点。
1936年・・・第二次世界大戦への道が「ポイント・オブ・ノーリターン」で引き返せない流れになった転換点。ナチスのヒトラーがラインラントへ軍を進駐させたが、英仏がこれを宥和的に対応して抑止しなかった。スペインで内戦が開始され、ドイツとイタリアが枢軸国形成の過程として反乱軍を支援し、第二次世界大戦の予行練習となった。
1926年・・・米国では「狂騒の20年代」の第4コーナー。株式市場がバブル化していく、後に1929年の大暴落、世界大恐慌に繋がっていく。
どうだろう?このように10年単位で振り返ってみると、下一桁が6年の過去100年間は、色々とその後の転換点になっていることが多いように思える。2026年はどんな転換点になるのだろうか?
下にはちょっと範囲を拡大し、色々なアニバーサリーを集めた。
国家という点では、何と言っても米国建国250周年である。来年は「1776」という建国年の数字が色々と登場することだろう。中国では建国の父である毛沢東と周恩来の死去から50年の節目となる。各地でイベントが開催されるだろう。また、トランプ大統領、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領が揃って80歳になる年だ。

文学・エンタメではアダムスミスの国富論から250周年だ。ロッキーの公開から50周年でもある。エイドリアーン!が懐かしい。Mission Impossibleの人気シリーズも公開30年だ。トム・クルーズはずっとアクションしている。凄いですね。

技術面では、液体燃料ロケットの打ち上げ成功から100周年であり、この1926年は「ロケット元年」とも評されており、来年は宇宙関連イベントが注目される。ちなみに宇宙関連では、来年は以下のような点が注目だ。もちろん、スペースXのIPOが実現すれば、それは凄いインパクトがあるだろう。

3.2026年の主要スケジュール
来年の主要なスケジュールを、ざっくりと頭に入れておきたい。もちろん不確定なイベントもあるので、その点はご注意願いたい。また、FOMCや日銀金融政策決定会合や主要な経済指標は省略してある。
1月はメローニ首相が来日する予定だ。高市総理と満面の笑みでツーショット映像が出ると思われる。華やかなムードになるため、高市人気が盛り上がる可能性がありそうだ。
年初から市場では、米国から目が離せない。次期FRB議長の指名、トランプ大統領が打ち出す「史上最大の住宅市場活性化策」、そして米国最高裁のトランプ相互関税と、クック理事の解任訴訟に対する判決が出てきそうだ。また1月末には暫定予算も期限切れとなる。共和党と民主党の対立が継続しており、再び政府閉鎖に逆戻りする可能性がある。せっかく1月の前半から、政府閉鎖の影響が抜けた経済指標が出る予定なのに、再び経済データが出てこなくなるリスクがあるということだ。そして1月中旬からは、米国は再び決算発表のシーズンとなる。
この年間の主要スケジュールは、それぞれについては、また日程が近づいたら、その注目点を取り上げる予定だ。

政治という点では、以下のあたりがポイントになりそうだ。

4.2026年の出走馬評価
さて、最後に2026年の世界各国の状況を、競馬の出走馬に喩えて、簡単に状況を整理しておきたい。

1.日本(バリュエーション・ホープ)
日本株の2026年のポイントは、業績が回復するなかで、どれだけ日本株への期待や評価が高まるかである。日本株については、有料版の「2026年日本株」を現在、作成中であるが、日本株を取り巻く環境は非常に良い。日本株はデフレ時代のバリュエーションから、インフレ時代のバリュエーションにモデルチェンジすると思われる。そのための材料は整っている。詳しくは、別レポートをご参照願いたいが、そういう意味で「バリュエーション・ホープ」というネーミングにした。もちろん、最近流行したドラマの「ロイヤル・ファミリー」から「ホープ」は拝借した。
2.米国(ミッドターム・キング)
米国株も、現在レポートを作成中であり、年末までには完成させる予定だが、何と言っても26年は中間選挙(ミッドターム・エレクション)が重要だ。市場にとっては、中間選挙はそれほど重要ではないのだが、トランプ大統領にとっては超重要だ。1期目と同じように下院を民主党に奪われて、「ねじれ議会」になってしまうと、再び「弾劾」決議リスクも再燃し得る。何より最後の2年間の大いなるレガシー作りの大きな障害になる。従って、かなり下院選挙では不利な状況ではあるが、様々な経済対策等により、巻き返しを図るだろう。私はトランプ大統領が経済をフル回転させることで、下院を死守する可能性はまだ残っていると考える。来年の米国株は、金融緩和、減税政策、景気刺激策、米国への投資加速、規制緩和が同時進行する年だ。もちろん、AIブームも引き続き盛り上がるだろう。そういう意味では、やはり本命と見込んでいる。詳しくは、メンバーシップ様向けのレポートを見てほしい。
3.中国(ディープ・スランプ)
中国の景気低迷は、かなり深刻である。マクロ的な経済統計は非常に厳しい一方で、局所的にはAIやバイオ関連でのブレイクスルーなど好調な分野があることも中国の面白さだ。但し、中国は習近平政権の共同富裕による社会主義的イデオロギーを前面に出したことの副作用が大きく、経済のアニマル・スピリットが枯渇している。そして不動産問題、過剰投資問題も簡単に解決できない。中国流の手法で長い時間をかけて処理している過程にある。中国経済が想定外に持ち直せば、世界経済にポジティブなサプライズとなるが、私はむしろリスク要因として捉えている。
4.ドイツ(インダストリアル・リバウンド)
ドイツは26年に国債を増発し、インフラ、軍事、最先端分野にお金をつぎ込み、製造業を中心とした復活を目指している。一定のリバウンドはあるだろう。しかし、インダストリアル・リカバリーとは名付けなかった。あくまでリバウンドである。ドイツ製造業も構造的な問題が多く、政治も不安定だ。来年はドイツの複数州で州議会選挙があり、極右政党の台頭も争点化し得る。ドイツもまだまだ安心できる状態ではなさそうだ。
5.フランス(コア・アンステーブル)
フランスの政治のレームダック化は極まっている。2027年はフランス大統領選だが、政治的な混乱はますます深まりそうだ。来年1月頃にはマリーヌ・ルペン氏の汚職疑惑の控訴審の審理もある。有罪が確定すれば、来年の大統領選には出れなくなる。フランス社会は揺れそうだ。また、26年は米国と欧州の対立も再びエスカレートする可能性もある。フランスは、ドイツとともに欧州のコア国であるのが、非常に不安定な状況が継続すると見込む。
6.スペイン(サグラダ・セレブレーション)
欧州経済を牽引している優等生が、近年のスペインだ。そのスペインでいよいよガウディのサグラダ・ファミリアが来年、ひとまず完成する予定だ。スペインを代表する観光スポットであるサグラダ・ファミリアは1882年より建造がスタートした民間プロジェクトだ。2026年はガウディの没後100年でもあり、なんとか2026年に完成させたいのだ。もちろん完全な完成は無理なのだが、イエスの塔などの主要構造部は完成予定である。スペインは2024年に約9400万人の観光客が訪問した世界第二位の観光立国であるが、来年はこの完成イベントを踏まえて、更に多くの観光客が押し寄せるだろう。
7.カナダ(ネイバー・ジレンマ)
現在のトランプ政権とカナダは相性が悪い。トランプ政権は、何かと隣国であるカナダにいちゃもんをつけている。カナダとしては、強烈な隣人に悩まされている状況だ。来年はUSMCAの見直しが実施される。米国の状況にもよるが、トランプ大統領は中間選挙アピールのためにも、より米国優位な交渉に修正を図るだろう。カナダは悩み深い状態が続きそうだ。
8.メキシコ(ニアショアリング・ダンサー)
そんな米国と、何となく上手く付き合っているのが、メキシコだ。メキシコ初の女性大統領であるシェインバウム氏は、トランプ大統領に対して宥和をしながらも、守るべきところは守っている様子だ。不法移民等の問題はあるものの、米国のニアショアリング国として、魅力ある立ち位置にあると思われる。
9.ブラジル(プレジデンシャル・ボラティリティ)
ブラジルは26年に大統領選がある。現職のルラ大統領が、右派の対抗馬に勝利して再選する見通しが強いものの、経済状態から国民の不満も強く、まだまだ不透明要因が大きい。そして、やはりトランプ大統領が何かと現政権にいちゃもんをつけてくる。ブラジルという国のお国柄、大統領選に向けてはボラティリティの高い展開となる可能性があるだろう。
10.インド(バランス・オブ・パワー)
インドは、「誰もがインドを愛するが、インドは誰も愛さない」という言葉で象徴されるように、極めて特殊な立ち位置で独自の外交を展開している国だ。BRICSに加盟しながら、クアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)にも参加している。中国とは対立しながらも、NATOなどには決して加盟しない。「同盟は組まない、敵も固定しない、依存を作らない、しかし孤立もしない」という多面的な外交を継続している。こうしたインドに、先進国の企業も次々に進出し、そのビジネス機会を得ようとしている。このAIブームにも乗っている。米国との通商協議が難航しているものの、そうした不透明要因も晴れる見通しであり、引き続き長期的に有望だろう。
11.イギリス(ブレグジット・スカー)
英国は、EUから離脱した後遺症が癒えない。政治も引き続き、極めて脆弱な状態だ。すっかり国際的な影響力もなくなってきた。まだ混乱は続きそうだ。
12.台湾(ワン・チャイナ・スパーク)
台湾問題が最近は何かと話題だ。2027年に中国は人民解放軍創立100周年を迎える。以前から、27年までに中国の習近平政権は、台湾統一に向けて動き出すのでは?というシナリオが囁かれてきた。私は、中国が台湾を武力で制圧する可能性は、その意義(戦争後は統治する)も難しさも含めて、現実的ではないと考えているが、軍事演習という名の海上封鎖等で台湾に圧力をかけるような展開は十分にあるだろう。中国にとって、台湾は「1つの中国」の内政問題であり、核心的利益の中の核心部分という位置づけだ。26年は台湾の統一地方選挙が11月に実施される。ここで台湾独立派と親中派の勢力がどうなるかは注目だろう。
13.イタリア(メローニ・リアリズム)
政治的に問題の多い欧州において、安定感を見せているのがメローニ首相が率いるイタリアだ。メローニ首相は、新しい時代のファシズムを主張してきた政治家であるが、気が付けば就任3年目を迎えた。近年のイタリアでは快挙だ。メローニ首相がこのように安定しているのは、そのリアリズムと評価されている。譲るところは妥協し、譲らないところは頑として突っ張る強さの両方があるということだ。引き続き、メローニ首相に注目しておきたい。
14.韓国(メモリ&キャノン)
今年、韓国株は主要国の中でも、圧倒的な株価上昇を記録した。私は、この流れは来年も継続すると見込んでいる。まず半導体メモリ分野が回復していることがサポートするだろう。更に韓国の軍事産業が引き続き、好調と目されるからだ。メモリとキャノン(軍事関連)の2つの柱で、韓国株は好調な1年になると見込む。
15.アルゼンチン(ショック&リバース)
アルゼンチンは未知数だ。何しろ、ミレイ大統領が型破りな経済政策を展開している。25年は米国からのサポートがあった。確かにインフレが抑制されいるが、経済へのダメージは大きい。中央銀行の廃止、自国通貨を廃止してドル化する等の政策も主張しているが、どうなることか・・・・正直、分かりませんね。
16.フィリピン(サウスシー・フロントライン)
台湾問題が注目されているが、実は中国の南シナ海進出のエスカレーション、フィリピンとの対立はその試金石となる可能性がある。南シナ海問題に、米国は関与するのか否かという点である。南シナ海問題は注視しておきたい。
17.ハンガリー(オルバン・ラストダンス)
2026年春に予定される総選挙は、オルバン首相にとって、2010年以来で最も権力喪失の可能性が高い選挙である。経済停滞、インフレ後遺症、EUとの対立、そして新興野党の台頭が重なり、与党フィデスの支配に構造的な亀裂が入っている。もちろん、得意の選挙操作・メディア支配・地方動員力という強固な統治装置は依然として健在で、選挙結果はどうなるか分からない。オルバン首相のハンガリーは、何かとEUに対抗する異分子であり、ハンガリーの動向はEU全体にとっても重要だろう。
今回は以上です。ざっくりと2026年のポイントをまとめました。
日本株、米国株の2026年見通しは、別途作成中ですので、今しばらくお待ちください。
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