唐鎌さんの寄稿レポート(2/14)『過去最大の黒字と「成熟した債権国」』
1.はじめに
唐鎌さんの寄稿です。2025年通年の国際収支統計が公表されたところで、この一次情報から、為替市場の需給の変化をしっかりと確認する作業です。これは、唐鎌さんのライフワークというか定点観測作業ですね。その分析結果を解説してくれました。1つ1つ確認すると、日本の構造がよく分かりますよ。その上で、唐鎌さんは「果たして日本経済に実体経済はあるのか」という国際収支構造の問題も指摘されています。
唐鎌さんの冷静な分析は、非常に参考になります。唐鎌さんは、本当にリスペクトできるエコノミストです。
唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト)
慶大経卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会などを経て現職。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』、『「強い円」はどこへ行ったのか』、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』。所属学会:日本EU学会。
※コメントは個人的見解であり所属組織とは無関係です
2.唐鎌さんの寄稿レポート
過去最大の黒字と「成熟した債権国」
村松さんのメンバーシップをご参加の方々、こんにちは。新しい論考をシェアさせて頂きたく、お邪魔しました。まとまった幅での円高が注目されているとはいえ、依然、実効ベースでの円安地合いは終息したとは言えなそうです。こうした中、2月9日には財務省から2025年通年の国際収支統計が公表されています。
結論から申し上げれば、少なくとも経常収支に限って言えば「需給構造の歪みが円安をけん引する」という近年の傾向はある程度、終息に向かっているように見えます。1次情報からしっかりと定点観測を行っておきたいと思います:
言い方を変えれば、「円安のけん引役は違う論点に移っている」という説明に目を向ける必要性が増しており、具体的には実質金利の論点などが重用される局面に入っているということかと見受けられます。
もっとも、需給に関しては「経常収支に限って言えば」というのが重要であり、経常収支と対をなす金融収支側の議論も追究していくと、やはり実際に為替市場で取引されている円需給はまだ円売り傾斜ではないかと感じさせる数字の仕上がりになっています。
暦年の数字が出揃ったところで年に1度の需給総括をやっておきたいと思います(金融収支側までやると長くなりますので今回は経常収支側の掘り下げを行います)。
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