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ms_kohn
『コンビニで「温めますか?」って聞かれた時、人生出る』
『コンビニで「温めますか?」って聞かれた時、人生出る』
夜。
コンビニ。
青年は弁当をレジへ置く。
唐揚げ弁当。
あと、 プリン。
完璧な夜ではない。
店員がバーコードを通す。
ピッ。
ピッ。
そして聞く。
「温めますか?」
この瞬間、
人間ちょっと出る。
「お願いします」
の日もある。
今日はちゃんと温かいもの食べたい日。
まだ自分を雑に扱いたくない日。
でも、
「大丈夫です」
って言う日もある。
早く帰りたい。
何も待ちたくない。
その三十秒すら、
妙に長く感じる夜。
青年は少し考える。
今日どっちだ。
レジ横では、
肉まんが湯気出してる。
なんか腹立つくらい平和。
外は寒い。
仕事も微妙だった。
LINEも返ってこない。
しかもイヤホン片方なくした。
終わってる。
店員がもう一回聞く。
「温めますか?」
青年は言う。
「……お願いします」
数十秒。
レンジの回る音。
その間だけ、
世界がちょっと止まる。
青年はぼんやり揚げ物コーナーを見る。
誰が買うんだよ、 この深夜のアメリカンドッグ。
いや、 明日買うかもしれん。
レンジが鳴る。
「お待たせしましたー」
温かい弁当を受け取る。
ビニール越しに熱がある。
それだけで少し安心する。
人間って、
たぶん大きな幸せより、
「ちゃんと温かいものを持って帰ってる」
時のほうが、
ギリ救われたりする。
