サイレントリーダーの経営戦略ノート(第25回) 自責とは“強さ”ではなく 未来を引き取る覚悟である
ここまで、自責と他責について
構造・ツール・1on1の実践という形で見てきました。
そして、おそらく今、
多くの方の中にこんな違和感が残っているのではないでしょうか。
「自責って、思っていたものと少し違うな」
その感覚は、とても健全だと思います。
なぜなら、私たちは長い間
自責・他責を“道徳”として扱いすぎてきたからです。
自責・他責は「善悪」ではない
「自責が大事だ」
「他責にするな」
こうした言葉は、どの組織でも当たり前のように使われています。
けれど、それが空回りする場面も
同じくらい見てきたのではないでしょうか。
それは、自責と他責を
良い・悪いの物差しで測ろうとするからです。
他責は、弱さではありません。
他責は、「今の自分を守るための自然な反応」です。
変えられないものに直面したとき、
人が外に理由を求めるのは、むしろ正常な行動です。
問題なのは、他責になることではありません。
そこに留まり続けることです。
他責は「今を守る」選択
自責は「未来を選ぶ」選択
ここで、自責を定義し直したいと思います。
自責とは、
自分を責めることでも
反省を深めることでもありません。
自責とは、
未来に対して、自分が引き取れるものを選び直す姿勢です。
他責は、今の自分を守る選択。
自責は、未来の自分を選び直す選択。
この二つは、強さと弱さの話ではありません。
時間軸の違いです。
現状維持は、中立ではない
多くのマネージャーが、無意識にこう考えています。
「今は大きな問題はない」
「とりあえず現状維持でいこう」
けれど、組織にも人にも
「止まったまま」という状態は存在しません。
進化しているか、
劣化しているか。
どちらかです。
現状維持は、実は中立ではありません。
緩やかな後退です。
だからこそ、自責が必要になります。
自責とは、
「うまくいかなかった理由を探すこと」ではなく、
これからの未来を、自分が引き取ると決めること。
その覚悟があるかどうかで、
チームの時間の流れは静かに変わっていきます。
サイレントリーダーという存在
ここで、このシリーズのタイトルに戻りましょう。
サイレントリーダーとは、
大声で引っ張る人ではありません。
正論で押し切る人でも、
感情で鼓舞する人でもありません。
サイレントリーダーがやっていることは、とても静かです。
・焦点を、未来に戻し続ける
・自責ゾーンに立ち戻る問いを置き続ける
・そして、自分自身もそこから逃げない
誰かを「正す」より先に、
自分が引き取るべき未来を引き受け続ける人。
それが、サイレントリーダーです。
あなたへの問い
ここで、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
あなたは今、
何を守るために他責を選んでいますか。
もし、未来を引き取るとしたら、
今日、何を一つ手放しますか。
答えを書く必要はありません。
ただ、問いとして持ち帰ってもらえたら十分です。
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自責は、思想です。
けれど、思想は設計に落とされて初めて機能します。
次のシリーズでは、
・評価
・目標設定
・任せ方
といった、より具体的なマネジメント設計の中で
自責が壊れない構造を扱っていきます。
静かな姿勢を、
現場で使える形にしていくフェーズです。
自責とは、強さではありません。
未来を引き取る覚悟です。
その覚悟を、
あなたはどんな形で示しますか。
