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サイレントリーダーの経営戦略ノート(第28回)なぜ、その目標では人は動かないのか? ― 成果を止める“目標設計”の落とし穴 ―

評価も整えた。結果も見ている。

それでも、なぜ人は動かないのか?

結果視点を持ち、評価のズレにも気づき、
マネジメントとしては「正しいこと」をやっているはずなのに──

それでも、現場にこんな空気が残っていないでしょうか。

  • 指示待ちが減らない

  • 優先順位が人によって違う

  • 「結局、何を一番やればいいのか」が揃わない

このとき、多くの上司はこう考えます。

「目標はちゃんと伝えているのに」
「もっと当事者意識を持ってほしい」

ですが、サイレントリーダーは
人ではなく、目標そのものを疑います。


「良い目標を立てれば人は動く」という誤解

私たちは無意識のうちに、
目標を「やる気を引き出す言葉」だと考えがちです。

  • 数字が明確であること

  • 前向きで、意欲的な表現であること

  • 上司として“ちゃんと考えた”こと

もちろん、それらは大切です。
ですが、それだけでは 人は動きません。

なぜなら、人が日々の現場で必要としているのは
「気合」ではなく、判断基準だからです。

人はこういう場面で止まります。

  • AとB、どちらを優先すべきか

  • 想定外が起きた時、何を基準に決めればいいか

  • 結果が出なかった時、どこを修正すればいいのか

このとき、
目標が“行動に翻訳されていない”と、必ず迷いが生まれます。


成果を止める「目標設計」の3つの落とし穴

ここから、現場でよく起きている
目標設計のズレを整理します。

① 目標が「理想」で止まっている

  • 顧客満足度を高めよう

  • 主体性を持って行動しよう

  • チーム力を強化しよう

どれも間違っていません。
ですが、これらは 解釈の余地が大きすぎる 目標です。

結果として起きるのは、

  • 人によって行動がバラバラ

  • 「私はこれをやっています」という自己解釈の正当化

目標が抽象的なままだと、
行動は揃いません。


② 目標と評価・判断基準がつながっていない

目標では「挑戦しろ」と言われているのに、
評価では「ミスを減らせ」と測られる。

このズレが起きた瞬間、
部下の頭の中ではこうなります。

「じゃあ、結局どっちが正解なんですか?」

人は必ず
評価される方に行動を合わせます。

その結果、目標は「建前」になり、
現場は評価軸だけで動き始めます。


③ 目標が「自分ごと化」されていない

  • 誰が決めたのか分からない

  • なぜこの目標なのかが語られていない

  • 変更の背景が共有されていない

こうした目標は、
部下にとって「会社の話」で終わります。

すると起きるのは、

  • 条件が悪いとすぐ他責になる

  • 「それは自分の仕事じゃない」という線引き

目標が自分の外側にある限り、
人は責任を引き取りません。


サイレントリーダーにとって、目標とは何か

サイレントリーダーは、
目標を「気合のスイッチ」だとは考えません。

目標とは──
行動を揃えるための装置 です。

だから、こう問い続けます。

  • この目標で、判断は揃うか?

  • 迷った時、立ち戻れる基準になっているか?

  • 結果が出なかった時、修正点が見えるか?

良い目標とは、
人を無理に動かすものではありません。

人が迷わず動ける状態をつくるもの です。


目標を疑えるかどうかが、リーダーの分かれ道

部下が動かないとき、
感情的に叱ることは簡単です。

ですが、サイレントリーダーは一度立ち止まります。

「この目標は、本当に行動に変換されているだろうか?」

目標を疑うことは、
部下を信じていないという意味ではありません。

むしろ逆です。

人が動けない原因を、構造側で引き取ろうとする姿勢
それこそが、サイレントリーダーの在り方です。


次回予告|成果が出る目標には「共通点」がある

では、
人が迷わず動き、
結果につながる目標は
どのように設計すればいいのでしょうか。

次回は、
「成果が出る目標設計の3原則」をテーマに、
サイレントリーダーの視点で整理していきます。

目標は「立て方」ではなく、
「置き方」で決まる。

その意味を、次回で解き明かしていきましょう。


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