サイレントリーダーの経営戦略ノート(第24回)1on1で部下を“自責に導く”― サイレントリーダーの質問設計 ―
叱っても、諭しても、部下が変わらない理由
1on1を重ねているのに、
同じ愚痴が繰り返される
環境や他人の話ばかりになる
話した直後は「分かりました」と言うが、行動が変わらない
そんな違和感を感じたことはありませんか。
多くの管理職は、ここでこう考えます。
「もっとちゃんと伝えなければ」
「考えが甘いから指摘しないと」
ですが、ここに大きな落とし穴があります。
人は「説得」されると、必ず反発する
これは心理学でも、現場でも、何度も確認されている事実です。
正論であればあるほど
ロジックが正しければ正しいほど
人は無意識に“防御”に入ります。
なぜなら、説得されている時、人はこう感じているからです。
「自分が否定されている」
「責任を押し付けられている」
結果として起きるのは、
表面上の同意 × 内面での他責 です。
自責は「説得」では生まれない
― 自分で気づいた時だけ、引き取られる ―
前回(第23回)で扱ったように、
自責/他責は感情ではなく
配置(ゾーン)で決まる
という前提に立つと、1on1の役割は変わります。
1on1の目的は、
❌ 正しい答えを教えること
❌ 他責を叩き潰すこと
ではありません。
✅ 本人の焦点を「自責ゾーン」に戻すこと
これだけです。
NG例:他責を叩き潰す1on1
よくある失敗例を挙げます。
❌ NGな問い
「でも、それって君の責任だよね?」
「環境のせいにしても仕方ないよ」
「できる人はみんなやってるよ?」
一見、正しい。
しかし、部下の頭の中ではこうなります。
「また否定された」
「分かってないのは上司の方だ」
自責ゾーンから、さらに遠ざかるのです。
OK例:自責ゾーンに戻す質問設計
サイレントリーダーは、叱りません。
正論も言いません。
代わりに、焦点だけを静かに動かします。
有効な問いの型①
「それ、君が動かせるとしたらどこ?」
この問いのポイントは、
他責を否定しない
いきなり答えを求めない
という点です。
「動かせる/動かせない」の境界線を
本人に探させる問いです。
有効な問いの型②
「もし条件が整っていたら、何ができそう?」
一度、防御を外すための問いです。
今は無理
条件が悪い
という前提をいったん脇に置き、
可能性ゾーンに意識を移します。
すると部下は、こう考え始めます。
「あ、これなら自分でもできるかも」
ここで初めて、
自責ゾーンが立ち上がるのです。
Pace & Lead との接続
― 叱らずに導く技術 ―
この1on1設計は、
これまでのシリーズで扱ってきた Pace & Lead と完全に一致します。
Pace(まず受け取る)
「そう感じるのは自然だよね」
「そこが一番引っかかってるんだね」
👉 感情を“処理しない”。ただ受け取る。
Lead(焦点だけを未来に戻す)
「じゃあ、次に一歩動かせるとしたら?」
「今週できそうなことは?」
👉 解決策を渡さない。
👉 未来への焦点だけを置く。
サイレントリーダーは「問い」で設計する
1on1とは、
話を聞く場でも
指導する場でもなく
「責任の位置」を再配置する場です。
サイレントリーダーは、
大声で引っ張らない
正論で押さえ込まない
代わりに、
「その人が、自分で引き取れる場所」
に、そっと焦点を合わせ続ける
それだけで、
1on1の質は驚くほど変わります。
👉 読後に残してほしい問い
次の1on1で、
ぜひこの問いを一つだけ使ってみてください。
「それ、君が動かせるとしたらどこだと思う?」
部下の答えが変わらなくても大丈夫です。
問いを置いた瞬間から、設計は変わっています。
<参考>1 on 1質問テンプレ
実際の1on1で使うことができる参考テンプレを用意いたしました。
シートの中の質問は全部使う必要はありません。
1on1の際に手元に置いて2~3問使ってみてください。
