せりふ三題噺 『アイスコーヒーの効果なく、葉桜の季節に昼寝の休日』
桜も散り、葉桜の緑が目立ち始めた。
狂騒の季節が終わり、目に見える自然が落ち着いたものへと変貌してゆく。
そんな中、春眠暁を覚えず、朝が来ても起きられぬまま昼寝へとステータス更新される休日が続いている。
目覚めのアイスコーヒーもあまり効果なく、ともすれば眠りに落ちる昼下がり。
夜の眠りが浅いのだろうか。
そしてある日、妻からの一言。
「寝てる時、たまに呼吸が止まってるよ」
ああこれは……睡眠時無呼吸症候群ってやつか。
自覚はないが、知らぬ間に体に大きな負担をかけてしまっているらしい。
検査キットを使用して調べてみたら、一度に二分近くも息を止めていることが判明し、主治医からも、
「やるなら今だよ」
と言われる始末。
集中治療室に入れられた患者のように、自宅で酸素マスクを装着する日々が始まる。
CPAPってやつだ。
メンドイ。たまに呼吸が苦しい。
でも、芸能人でも使ってる人は多く、無呼吸症候群以外の人にもオススメするほど効果があるのだとか。
ホントかな。
今のところ、あんまりよく分からない。
それよりも、装着がメンドイ。鼻呼吸が苦しい。
そもそも、すべては眠っている時に起きている事象であり、本人としてはそんな自虐的な行為を毎晩繰り返している認識はなかった。
生きるために何より大切な呼吸を限界まで止めようとするなんて、何やってんだ、俺。
それを傍から見ている家族にとっては、もっと理解不能で不安になるんじゃないだろうか。
新手の自殺行為?みたいな。
なので、この重病人のようなスタイルも、家族にはすんなり受け入れられたようだ。
いびきもかかないし、静かに眠ってくれて嬉しいと。
そっか。まったく自覚はなかったが、私は眠ってるだけでそんなに周りに迷惑をかけていたんだな。
それを考えれば、装着の面倒も呼吸の苦しさも、毎月の通院も機器のリース代も、致し方ないと思えるか。
いや……そもそも自分が静かに、呼吸を止めずに眠ってくれれば済む話なんだが。
まあ、こればっかりは自制のしようがない。
ともすれば、酸素供給不足により重篤な疾病をもたらす可能性もあるということなので、きっとこれが賢明な選択なのだろう。
ひとつのセリフと三つのキーワードを早々に埋め込んで、自分の疾患について語ってしまったが、何よりこの無呼吸症候群、患っている人は多いものの、その性質上、気付かずに過ごしている人もかなりいると聞く。
そのくせ、死亡率を上げるほどの重大疾患とされてもいる。
もうすでに同じスタイルで就寝している同志には継続を誓い合うとして、日中耐えがたいほどの睡魔に襲われるとか、同居人にいびきや呼吸停止を指摘された方、是非とも一度、検査してみることをお勧めします。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
