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3つのお題に空想のひらめきを

⏳お題③:「消えていった夏」

あの夏の終わり、好きだった同級生の娘が転校していった。
夏休み、毎朝のようにこの公園でラジオ体操の集まりがあって、あの娘に会えるのを楽しみにしてた。
学校の教室では会えなくなるこの期間、君と過ごせる朝のひとときが一日のピークだった。
過ごせるといっても、少し離れた場所から気付かれないように盗み見るだけだったが、それだけでも幸せだった。
というか、それ以上どうすることも出来なかった。

夏休み最後の日の夕刻、僕は一人、あの公園に足を向けた。
ラジカセを一台持って。
中のカセットには、ラジオ体操の音声が録音されている。
それを地面に置いて、再生ボタンを押した。

オレンジ色に染まる逢魔が時に、ほんの少しだけ、朝の空気が混じり込む。
君がそこにいた時間。
ほんの数分の、君と共有した時間。
でももう、そんな瞬間は来ない。
学校の教室で、机を並べる至福の時も。

地面に座り込んで、音声を聴き終えた。
君の面影も静かに消えていった。
どこかの家から、カレーライスの匂いが漂ってくる。
もうすぐ夕飯の時間なのだろう。
いつもと何ひとつ変わらない夕べ。
でも明日からの教室には、君がいない。
それは、僕にとってどれだけのインパクトとなるのだろう。

案外すぐに、他に好きな娘が出来たりして。
すぐに君のことなんか忘れちゃったりして。
思い出すのは君の笑顔ばかりで、話した記憶なんてほとんどない。
ホントに好きだったのかな。
勝手に妄想して、勝手に盛り上がってただけじゃないのかな。
だけど、こんなに涙が止まらないのはなんでなんだろう。

今はただ思う。
我が家の今夜の夕飯も、カレーライスだったらいいな。

消えていった君

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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