せりふ三題噺 『サンダル履いて日焼け止め塗ったら、藤棚は日本一』
春、地元のフラワーパークで君に出会った。
薄紫の屋根の下。
日本一の規模を誇る藤棚の下で。
君は和服に身を包み、品のある身のこなしで僕をエスコートしてくれた。
偶然の出会いだったが、出会うことは必然だったと思えるほど何の障壁も無く、僕達は付き合うことになった。
夏、二人で訪れた茨城の海で、ビキニとサンダルの君が眩しい。
春のかっちりした着こなしから、マーメイドのような露出の多い姿への変貌は、まったく違う魅力で僕を翻弄する。
ビーチに寝そべった君の背中に日焼け止めを塗ってあげたら、君は気持ち良さそうに眠りに落ちた。
夕暮れて、帰りの車の中、君が言う。
「ここだけの話だよ。私、和服もビキニも大っ嫌いなの。堅っ苦しいし無防備だし。だけどね、春から夏にかけて、何枚も重ね着した和服から、少しずつ薄着になっていくでしょ。フォーマルな衣装を脱ぎ捨てていく感じ。これがたまらないの。要するに脱皮だよね。この期間だけ味わえる感覚。そんでさ、もう今日なんて、胸と腰に布が一枚ずつ。もうこれ、脱皮完了でいいかな?それとも、もう少し先まで進めてみる?あなたの希望を聞きたいんだけど」
「ああ、僕の答えは分かってるだろ。寄り道していくよ」
僕はハンドルを切り、高速のインターを降りた。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
