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3つのお題に空想のひらめきを 『海まで走った夏休み』

新しいお題が出ていますが、このイラストが気に入って書いちゃったので……ゴメンなさい!


海は青く、世界は優しかった。
何も考えず、ただ真っすぐ走れば良かったんだ。
下り坂で上がり続けるスピードにも怯えず、ただ、海を目指して。
海までは近く、海から先は遠かった。

父さんは海の向こうへ行ったまま、もう何年も帰ってこない。
母さんは「仕事が忙しいんだよ」とか言うけど、きっと父さんは海の向こうに僕達より大切なものを見つけたんだ。
だから、もう会えないんだって思ってる。
でも、それでもいいんだ。
母さんは僕が守るから。

小学校の運動会で、リレーの走者に選ばれた。
運動会のいわゆる大トリで、たくさんの観客から注目されて、きっと母さんも見に来てくれる。
父さんは……きっといないだろうけど、僕は全速力で走るんだ。
いつも、海に向かって走る時と同じように。
まっすぐな坂道を駆け下りて、ゴールである海へ。
そして、ゴールテープを切ったら、そのまま海へと走り出せるのだろうか。
父さんの後を追って、大海原へ。
母さんを守らなきゃいけないのに、時折そんなことを考えてしまう。

「お前の生きたいように生きればいいんだよ」
母さんがそう言うから、遠い海の向こうに思いを馳せて、そこに父さんの面影を見つけることもある。
でももはや記憶は薄く、それが実際とどれほど近いのか遠いのかさえも分からない。
自分がどんな生き方を欲しているのか。
それも分からないまま、全速力でゴールを目指した。

リレーは僕達のチームが優勝。
トロフィーを受け取って、教室の片隅に飾る。
誇らしく、先生の話も上の空でトロフィーを見てた。
父さんにも見せたかったな。
母さんは、僕が授与されたところを見てくれただろうか。
その誇りだけ持って家に帰ったら、その夜は僕の好物の炒飯だった。
頑張れば、欲しいものを手に入れられる。
トロフィーも、炒飯も、海の向こうの幸せも。
きっといつか、僕はこの島を出るのだろう。
父さんの後を追うわけじゃない。
母さんとの暮らしを守るために。

そしてまた夏が来る。
小学生最後の夏休み。
海は青く、世界は優しいままで僕を待っていてくれるから、僕は走る。
ただまっすぐ、海に向かって。
その向こうを、見据えたままで。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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