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風まかせ文芸部 『線香花火』

「でっかい花火とちっちゃい花火、どっちが好き?」
娘が聞いてくる。
「でっかい花火とちっちゃい花火?それって、打ち上げ花火と線香花火ってこと?」
「まあ、そんな感じ」
「それなら、やっぱデカい方かな。花火は迫力だろ?花火会場で見るあの迫力は凄いよな」
「うん。でもさ、大きいのと小さいのって、まるで別物だと思うんだよね。どちらにもそれぞれの良さがあるっていうか……」
「なんか、大人びたこと言い出したな。そう言うお前はどっちがいいの?」
「んー、そうだな。その時の気持ち次第かな」
「えっ、そんな答えアリ?」
「なんでダメなの?パパとママのどっちが好きかって聞かれたって、きっとそう答えるよ」
「えー、世渡り上手だな、お前。それ、気持ち次第って言うより、都合次第なんじゃないの?」
「……違いが分かんない」
「いや、打算的っていうか……まあいいや。そんで、今の気持ちで言ったら、どっちが好きなの?」
「……んーとね、線香花火!」
「そのココロは?」
「……気持ち?ほら、今年の夏の旅行がさ、ニュージーランドから熱海に変わったでしょ?パパの昇進の話が無くなったからなんでしょ?ママが言ってたよ。切ないって」
「……切ないのはパパの方だって。そんなこと言うなって」
「大丈夫だよ。今の気持ちなら私、パパを選ぶから。だって可哀想だもん」
「……えーと、それはさ、パパとママがお別れした時の話?」
「お別れしたらの話。嬉しいでしょ?」
「いや……今は、嬉しくない」
「なんで?一人で線香花火だよ。そんなの寂しいじゃん」
「そっか……ホントに気持ち次第なんだな。こんなパパについてきてくれるのか」
「まあ、でっかい花火はママと行くから、線香花火はパパに付き合うよ」
「なんだそれ。めっちゃ打算的じゃん」
「パパがね、いつの日か、でっかい花火打ち上げてくれるの待ってるから。その時は、それをママと見に行くよ。惚れ直すかもしんないよ?」
「パパの……打ち上げ花火?」
「そう。それまではさ、線香花火みたいに粘り強く頑張って。そばで見守ってるから」

「お前……いくつになったんだっけ?」
「……え?五歳だけど?」

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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