アマノ文筆クラブ 『どうか縛らないでください』
「ねえこれ見て。お肉達、こんなに縛られちゃって。可哀想だよね、調理される時くらい、ゆったりした気分でいたいよね」
彼女が、おかしなことを言い出した。
こんな時は、決まって何か、僕にお願い事を準備してる。
「やっぱりさ、自由な心を持って、生きていたいよね。がんじがらめの人生なんて嫌。…そう思わない?」
上目遣いに僕を見てくる。これは間違いない。
「思うよ。でもね、このお肉は、こうすることで旨味を引き出したり、形を良くしたりしてるんだと思うよ。誰にとってもプラスでしかない」
とりあえず、牽制の意味を込めて反論に出てみる。
「…ま、お肉はそうかもしんないけどさ、人間はそうじゃないでしょ?たまには息抜きも必要だと思わない?」
これは…あれか。暗に息苦しいと訴えているのか?
「息抜き…ね。僕が君を束縛しすぎってこと?そんなつもりないんだけどな」
彼女がきょとんとした顔で僕を見つめ、すぐに眉をしかめた。
「誰がいつそんなこと言ったの?私をどうか縛らないでくださいって?
あなたがいるから、幸せを感じたり、綺麗になろうとしてるんだよ。プラスでしかない」
「…じゃあ、何?」
「だから、息抜きだってば。二人で息抜き。旅行にでも行かない?」
なるほど。社会の中で僕達は、こんな風に束縛された状態だから、たまには息抜きも必要だってこと。
確かにそうかもしれないな。
最近、羽根を伸ばすって感覚を忘れそうになってた。
そんな大切なことを教えてくれる君の存在が、僕にとってはプラスでしかない。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
