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3つのお題に空想のひらめきを

🐾お題②:「歌う湖」

その湖は山奥にあって、夜な夜な、女性の歌声が聴こえてくると噂が立っていた。
行ってみると、美しい湖だった。
夜だというのに、月明かりや星明かりのせいか、キラキラと輝いて見える。

「綺麗だな。こんな場所でそんなオカルトな現象が起きるとは」
「それってオカルトか?」
「水の底から女の歌が聴こえてきたら、そりゃオカルトだろ。心霊スポットとしてお前を誘ったんだから、もっとその雰囲気出してくれよ」
「何だよ雰囲気って。無理やりそっちに持っていくのはやめようぜ」
「いやだって、それを聴いたって証言は山ほどあるんだから、あとは俺達が実際にそれを体験するかどうかだろ?」
「歌を歌って欲しいのか?」
「そりゃあまあ、ここまで来たら、聴いてみたいよな」
「じゃあ、頼んでやるよ」
「……え?」

半年ほど前に、彼女と別れた。
理由は、性格の不一致……というか、生活スタイルの不一致と言うべきか。
だって、生まれてからずっと水陸別々の生活をしてきた二人だから、事あるごとに軋轢が生じてしまうのも当然のことだろう。
彼女の友達である魚は一切食べられない、それどころか、火や熱が怖いからとそれらを使った料理は禁止。
お風呂には常時冷たい水を張って、温かいお湯に浸かることも出来ない、等々、少しずつストレスが溜まるような生活を続けるのが困難になった、というわけだ。
二人で話し合った結果、お別れして、それぞれの住むべき場所へ戻ることになった。

彼女は、この湖に棲む人魚だった。
人魚は海のイメージが強いが、水のあるところであれば、淡水海水両方イケるそうだ。
彼女から聞いた。
そして、この湖には、彼女の家族が棲んでいる。
俺達の出会いは、俺がバス釣りでこの湖を訪れた際、湖畔に倒れている彼女の父親を発見し、介抱したことからだった。
彼女の家族に感謝され、彼女のその美しさに一目惚れし、彼女の一族に昔から伝わる『海の王トリトンのトライデント』パワーで彼女を人間の姿にしてもらって、晴れて俺達は付き合うことになった。

「それからの先のことはまあ、どこにでもいるカップルと何ら変わらない。愛し合って、喧嘩して、お別れして。だけど、仲違いしたわけじゃないからね。お願いは聞いてくれると思うよ」
「な……どこまでマジで言ってんの?」
「全部マジだって。たださ、お前が想像してるのとは、ちょっと違うかもしれないぜ。この雰囲気からイメージする人魚の歌ってさ」
「え……どーゆーこと?」
「いやホラ、なんかこう、美しい讃美歌的な?そんなの想像してない?でも彼女はさ、俺と一緒にいろんな歌を聴いてたから。今ドキの」

その時、俺の願いが届いたのか、美しい湖の方から、懐かしい彼女の歌声で、ちゃんみなの「ハレンチ」が聴こえてきた。
ああ、これ、好きだったなー、あいつ。

タリラリラッタッタララ

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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