アマノ文筆クラブ 『ギターを弾く女』
「どしたの、これ」
「買ってきた。ギター、始めたくなって」
「ギター?なんでまた?」
「そりゃあまあ、弾けたらカッコいいじゃん」
「君の行動理念はホント、分かりやすいね」
「あ、バカにしてる?これでも、高校の頃にカジッたことあるしさ」
「カジッて、三日坊主だったんでしょ、どうせ」
「どうせって言うなよ。今度はちゃんと習うんだから」
「分かったよ。じゃあ、教えてあげるよ」
「…え?教えるって何?」
彼女はギターを手にして、おもむろに構えた。
様になっている。
「…え?やってたの?もしかして」
「言わなかったっけ?アコギもエレキもイケるよ」
「聞いてないよ。てか、何をやってたってこと?」
「ガールズバンド。結構激しめのやつ」
「嘘でしょ?今はAimerとかLiSAとか聴いてるのに?」
「それは鬼滅の影響でしょ。てゆーか、好きな曲はいろいろあるよ」
彼女が曲を弾き始めた。
これは確か、エリック・クラプトンの「チェンジ・ザ・ワールド」だ。
僕でも分かる。
わ、歌い出した。
流暢な英語で、しっとりと歌う。
ガールズバンドの君も見たかった。
「エレキを持てば、ジミヘンだって弾けるよ。で、何を教えて欲しい?」
「いや…何をって…まずは、バンドやってた頃の君のことが知りたいよ」
「えー、そこからー?」
「うん、それが終わったら、『戦場のメリークリスマス』を弾きたい」
「ずいぶんとまた、毛色の違うのを持ってきたね。どっちかって言うとピアノ曲だけど、あれ」
「でも、弾けたらカッコいいじゃん」
「…君の行動理念はホント、分かりやすいね」
ギターを弾く彼女。
正直、惚れ直した。
まだまだ、僕の知らない彼女がいることにも驚かされた。
僕も負けないように、秘密の引き出しをいくつも隠しておいて、少しずつ君に明かしていきたい。
だって、その方がカッコいいじゃん。
