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アマノ文筆クラブ 『華のないふたり』

「あなたといると、ツイてないことばかり。私達って相性が悪すぎるんじゃないのかな。少し離れてみる?」

給湯室に呼び出して、何の話かと思えばネガティブトーク。
「僕はそんなに運がないとは思わないけど。最近何か、嫌なことでもあったの?」
「嫌なことってゆーか、ツイてないなーって。私が乗る電車はほとんど遅延だし、傘を持たない日に限ってゲリラ豪雨。昨日は雷にまで見舞われた」
「それは僕との付き合いに関係ないでしょ。君一人がツイてないってゆーか。僕はそんなこと…なくはないけど人並みだと思うよ」
「だから、あなたが私の運まで吸い取っちゃってるんじゃないかなって。自覚ない?」
「あるわけない。どんな特殊能力だよ」
「とにかくさ、一旦離れてみて、私の運がどう変わるか見てみたい。もしかしたら、女優になりませんか?なんてスカウトされたりして」
「…なりたいの?初めて聞いたよ」
「初めて言ったからね。女優は例えだよ。運の良さのバロメーターとしての」
「女優になれるのは運じゃないと思うよ。もっと他に…」
「うっさいな。とにかく、そーゆーことだから、明日から一週間、私から離れて。話しかけないで」
「…一週間?」
「そう、一週間。…何?寂しくて無理そう?」
「いや…問題ないと思う」

それから一週間、彼女とは口をきかなかった。

そして一週間後、開口一番彼女が言ってくる。
「全然スカウトが来なかったよ。やっぱり運がないのかな」
「だから、女優に必要なのは運じゃないって。華があるとか、そーゆーことだと思うよ」
「私には華がないっていうの?そんな私となんであなたは付き合ってるの?」
「質問が突拍子もないな。お互い華がないから、ちょうどイイんじゃないの?」
「なんか…全然嬉しくない。あ、でもね、昨日同僚のコから、『あなた達お似合いだね』って言われたよ」
「それは…嬉しいんだ?」
「そりゃ嬉しいよ。あなたに出会えて私はツイてるなって…あ」
「それは良かった。今夜、ウチで飲まない?」

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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