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3つのお題に空想のひらめきを 『階段の途中』

階段の途中に、あいつは住んでいる。
神社の境内へ続く、長い長い階段。
そのちょうど、真ん中辺り。
立ち止まって、耳を澄ませてごらん。
ほら、唸ってる。

木々の間からこちらを覗う、真っ黒な存在。
大丈夫、それほど凶暴じゃない。
とゆーか、かなり臆病だ。
ほら、今だって、あの暗がりで唸るだけで顔も見せない。

あれが何なのかって?
それは僕も知らないよ。
でもたぶん、狛犬なんじゃないかって思ってる。
そう、神社の入り口を守ってる、あのライオン。
それがなんであんなところにいるのかは知らないけど、ほら、この階段の上の神社って稲荷神社じゃん。
狛ギツネが守ってる場所だから、中には入れないんだろうね。

この間さ、近くの別の神社で火事があったでしょ。
放火だって聞いたけど、神社に放火する奴なんているのかな。
罰当たりもイイとこだよね。
で、まあ、その火事の後、そこにいた、とゆーか置いてあった狛犬が無くなってたんだって。
一体だけ。
これは僕の推測だけど、その狛犬がさ、燃えて無くなってしまった神社の代わりを求めて彷徨って、ここに辿り着いた。
でも、狛ギツネに威嚇されて入ることも出来ずにココにいる。
たぶん、そーゆーことなんじゃないのかな。

んー、だからって、何をしてあげられるわけでもない。
燃えてしまった神社の再建にはしばらくかかるしね。
…え?沖縄に送り届けてあげる?
シーサーじゃないっての。罰が当たるぞ。
…ん?狛ギツネのフリをして潜り込む?
体型が違いすぎるだろ。尻尾の形状もまるで違う。
本気で助けてあげようと考えてる?
それならね、燃えた神社の復旧作業に手を貸して欲しいな。
何しろ人手が足りないんだ。
この村は若者の数が少ないからね。

そーか、やってくれるか。
じゃあ行こう。燃えた神社はすぐ近くだから。
言っとくけど、狛犬を助けるためだから、報酬は払えないよ。
…え?階段の途中に野良犬が現れた?
狛犬じゃないじゃないかって…だから、僕の推測だって言ったじゃない。
ホントのところは分からないって。
でもさ、狛犬だったら、姿を変えることも出来るかもしれない。
野良犬に姿を変えて、僕達の前に現れることだって…あ、待って、行かないで。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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