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3つのお題に空想のひらめきを

🍊第37回 3つのお題
🎈お題①:「夜を渡る舟」
🐾お題②:「光を抱く森」
⏳お題③:「千年の余白」

夜の湖を渡る一艘の舟。
向こう岸に見える、眩しいほどの光を抱く森を目指している。
舟に乗っているのは、まだ幼さの残る少年一人。

彼は、昨夜遅く自室の窓から、光の尾を引く物体が湖向こうの森に落ちてゆくのを目撃した。
……隕石?
母に話したが、関わらない方がいいと言われる。

だが今夜になって、遠く森の木々の間から、眩い光の柱が立ち昇っているのが見えた。
母には内緒で家を出て、湖のほとりに浮かんでいた舟に乗る。
不思議と恐れはなかった。
光が怪しげなものではなく、夜空を明るく照らすほどの光量を放っていたからかもしれない。
光を反射するように星達が瞬いていた。

岸に辿り着き、舟を降りる。
まるで森全体がライトアップされたかのように、奥の方からの光に照らされている。
少年は、その光源を目指して森を歩いた。
怯むことなく歩いた。
するとまもなく、その光の正体が姿を現す。
銀色の円盤。見たこともないような形と大きさ。
その天井部分から、例の光の柱が天に向かって伸びている。

その傍らに、紫色の宇宙服を着た異星人の姿。
たった一人、地面に倒れていた。
近付くと、どうやらすでに事切れている。
右手にスマホのような端末を持ち、それは小さなノイズを発していた。
交信の途中で息絶えたのだろうか。
手を伸ばし、その端末に触れた瞬間、少年の頭の中に、見覚えのない景色や言葉が満ちあふれた。

想いまでが伝わってくる。
帰りたい。皆に会いたい。もう一度。
故郷の星を離れて、長い長い時が過ぎた。
この光のサインに気付いてくれ。
この星まで助けに来てくれ。
私の舟はもう動かない。

宇宙での時間の流れは相対的で、重力や移動速度で変化するという。
この地球での昼夜一日が、遠い惑星にとって、とてつもなく長い時間となる可能性がある。
彼の故郷の星では、一千年の時。
この地球では、一昼夜。
彼を待つ人々は、彼という存在に一千年の余白を与えられた。
それはもう、会えないということ。

少年は、端末を握りしめ、夜空を仰いだ。
「彼はずっと待ってるよ」
そんなメッセージを送る。
応答願います。この光のサインに気付いて。

しばらく待った後、はるか空の彼方に青い光の点がみっつ。
端末からのノイズが大きくなる。
言葉を聞き取ることは出来ないが、彼を探している雰囲気は伝わってくる。
少年は、空に向けて大きく手を振った。
「ここにいるよ。君達の大切な仲間が」

一千年の時を越え……もう、彼を知る者は誰もいないのかもしれないが。
やっと、帰れるよ。君の星に。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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