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3つのお題に空想のひらめきを

🐾お題②:「春を探しにきた鬼」

春というものがとても美しいと聞いた。
我らが鬼ヶ島には、春なんてものはない。
あるのは、地獄の夏ばかり。
おかげで俺達はいつも半裸で、灼熱の太陽にさらされている肌はこんなに焼けただれて。
……いや、鬼だからな。
こんな責め苦は何ともないんだがな。
……青鬼?
ああ、あいつらは、鬼ヶ島の寒い地方に住んでる種族だよ。
いつもブルブル震えてる。

そんでな、人間の世界の春ってやつだ。
暑すぎず寒すぎず、ちょうどイイ気温で、美しい花達が咲き乱れる季節だとか言うじゃないか。
……い、いや、花を愛でる気持ちなんかこれっぽっちもないけどな、俺の勇姿を記録として残す場合の背景としては申し分ない気がするんだよな。
荒れ果てた俺達の島とは別バージョンでな。
ああ、島の売店でな、俺達のブロマイドを売ってるんだ。
……え?ブロマイドって何かって?
最近の奴らはブロマイドも知らんのか。
まあ、今で言うトレカみたいなもんだよ。
……違うか?

とか話してる間に、春が満開の場所に着いただと。
おお、これは……。
こんな美しい景色は見たことがない。
なんだか……心が洗われてゆくようだ。
鬼なのに……この美しさを汚したくない気持ちだ。
こんな景色に、鬼である俺がいていいのだろうか?

「似合いますって。きっとブロマイド、売れますよ」

駆け出しのカメラマンの私が撮った鬼の写真は、市場に出すや、またたく間に売り切れる勢いとなった。
作品タイトルは「春を探しにきた鬼」
このミスマッチが受けたのか、鬼の存在そのもののイメージが覆されたようだ。
そしてやっぱり、青より赤。
その勇姿たるや、まるでこの国の守護神のように。

「このまま、鬼の悪いイメージを変えちゃいましょうよ。風神雷神のように崇められる存在になって、雷様のように季節の風物詩になるのはどうです?あなたは……春の風物詩だ」

しかし、私達の目論見とは裏腹に、もうすでに、春の鬼のイメージは出来上がっていた。
子供達からも大量の豆をぶつけられ、家から追い出される邪気として。
私が撮ったブロマイドは、美しい自然を破壊する悪鬼参上、というヴィラン扱いでウケたらしい。
もちろんこのことは、鬼には内緒にしている。
泣いた赤鬼になってしまうので。

バズってます!

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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