アマノ文筆クラブ 『ネタがない』
ネタに困った時は、空を見上げてため息をつく。
すると、白装束のおっさんがどこからともなく現れて、
「こんなんどう?」
って最近の時事ネタを教えてくれる。
世の中ってそんなことになってんだ。
俺の知らないところでいろんな人が動いてんだな。
感心しながら自分の創作に取り入れる。
脈絡とか、繋がりとかはどーでもいい。
何となく、利口そうに思われる言葉の羅列で勝負する。
ライバルは、本当に利口そうな他の創作者達。
でも案外彼らも、白いおっさんの力をお借りしてるのかも。
水道の蛇口をひねったら、ニュルンって黒歴史が出てきた。
慌てて懐に隠そうとしたら破裂して、お気に入りのユニクロネルシャツがびしょ濡れだ。
しかも、そこはかとなく黒歴史の匂い。
この出来事自体が黒歴史になりそうだな。
まあ、誰かに話す格好のネタにはなるだろうか。
白いおっさんを呼び出して、
「これ、何とかならない?」って聞いたら、
「誰かのエピソードトークとして300円で買うよ」って。
安すぎんだろ、こっちは黒歴史被ってんだぞ。
駅のホームで牛歩してみた。
いつもの乗り場まで辿り着くのに、三本の電車を見送った。
牛だってもっと早く歩くぐらいのペースだったから当然か。
でもおかげで、電車を利用する人達のそれぞれの人生が垣間見えた。
俺よりも5倍速で動く人達が、人と出会い、別れ、並び、飲み込まれ、吐き出される。
見ていて何も楽しいことは無かったが、まあ、人に歴史あり、ってことは何となく分かった。
そんなこんなで、ネタがないまま突っ走っている。
思いのほか、こんなのも楽しい。
こんなのをここまで読まされてしまった人には何とも申し訳ないが、まあ、人生には無駄も必要だと思う。
毎日あくせく働いて、意味ある仕事で暮らしの糧を確保し、誰かのために身を削って社会の理不尽と闘う人々。
その合間のほんのひとときに、こんな無駄な戯言を。
そして、白いおっさんに掴まされたネタで知ったかぶりをして、黒歴史にまみれたシャツでしょーもないエピソード披露して、牛歩して三本遅れで乗った電車で人生の浪費を嘆く俺のもとに、一本のメールが届く。
その内容については、またいずれ、いつの日か。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
