青ブラ文学部 『闇があるから光がある』
世の中に、悪が蔓延っている。
それを倒すべく、正義のヒーローが現れる。
悪を打ちのめし、街に平和が訪れる。
街の皆が喝采し、ヒーローは満足そうにその場を去ろうとする。
しかし、悪の手先はまだ生きていて、言う。
「お前はさ、俺達がいるおかげで輝いてるんだろ」
「何だと?」
「俺達がいなくなったらさ、お前はただの一般市民だ。そんなの耐えられるか?これだけの称賛をもらった後でさ」
「何が言いたい?」
「俺達にもっと感謝しろってことだよ。闇があるから光があるんだ。俺達のような闇の存在がなければ、お前は光となって輝くことが出来ない。そうだろ?」
「そ、それはそーだが、だからといって、お前達に感謝など……」
「いいのか?それがなければお前は職を失うんだぞ?俺達だって、悪いことばかりしてたいわけじゃない。そろそろ、心を入れ替えて正しく生きようか、なんて話も出てる。お前には、契約している企業CMや自分が主役のアニメ番組があるんじゃなかったか?それらをすべて失うことになるぞ」
「ぐっ……」
「お前がいるおかげで存在する脇キャラもいるな。お前が正義のヒーローでなくなったら、彼らも路頭に迷うかもしれないな。お前を頼りにしているおじいさんや、女の子、可愛いワンちゃんもいたはずだ」
「くそっ、皆を巻き込むのはやめろ。彼らに罪はない」
「いやいや、巻き込もうとしてるのはお前だって。彼らの生計を考えて、お前が正義のヒーローでいられるよう、俺達の存在にも感謝してくれよ、って言ってるんだ。簡単な話だろ」
「だ、だが、そんな展開はきっと誰も期待してないだろ。悪が感謝されるなんて」
「当たり前だ。街の皆は俺達を憎んでくれていい。じゃなきゃ話が成り立たないからな。これは、俺達とお前だけの問題だ。お前の気持ちの問題だ」
「……分かった。俺はお前達に感謝する。いつもありがとう。これからもよろしくな、バイキンマン、ドキンちゃん、ホラーマン、そして、かびるんるん」
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
