異世界から転生したら色々あって妙な屋台で働くことになりました! 第三話 その3
雨の夜が明けまして、次の日は夏らしく晴れていますが、昨日の雨で湿度も高く快適とは言い難いお天気となっております。
店長と源さんは車庫兼作業場になっている町工場におります。
ここが2人のアジト…
いえ住居兼仕事場でございます。
冷房が絶賛故障中なこと以外は快適な場所になっておりますよ。
「暑い…」
「そればっか言ってますね。」
「源さんは平気なんですか?」
「私はある程度制御といいますか、
慣れもありますけど。」
「慣れと言うと?」
「撮影所は皆んなカツラ被ったり、
着ぐるみだったり、安全のために特殊な羽織を纏ったり色々ありますもんで。」
「時代劇以外もやるんだったねえ、
冬は薄着で困ったりもあったんですか?。」
「出張で冬山に明治時代の軍服で訓練するのを撮るってのがありました。
私はあんまり寒そうに見えないってことで早めに映らなくなりましたね。」
「何県か聞いていいですか?」
「さあ…こちらの地理は覚えにくいもんではっきりとはわからないですけど、雪の量からすると東北だったんじゃないかと。」
店長…あんまり考えてはいけません、
あの映画は確かに古いけど再現用とか検証用のも沢山あったはずですよ。
「源さんのお話しでちょっと涼しくなった気はしますが、これでは通常の仕込みをする気がしません!
すると昨夜の雨は我々には必然性があったことになります。」
あら、珍しく固めな口調です、何かお考えでも?
「食材とお客様の安全を考え、本日の営業は日が落ちて気温が下がってから行うものとします!
それまで我が隊は耐寒訓練を行いつつ食事と休憩を実施、英気を養うするものとする!」
「ハッ!」
「前にぃ〜っ、進め!」
古い軍歌でしょうか、口ずさみながら歩き、雪をかきわけるような仕草をする店長を他人かどうか判断のつきにくい間合いで着いて行く源さん。
店長、今日は暑くてあんまり人が歩いてなくて良かったですね。
カランコロンカラン
「失礼いたします!」
「おう、いらっしゃい!
屋台の大将じゃねーか」
「いえ、自分はそのような恐れ多い階級ではなく単なる一兵卒であります!」
「また何かにかぶれたのか⁉️
まぁ、まずは座って注文決めろ。」
ちょっとイカついマスターが席に案内してくれてお冷を一杯、古い型ですが業務用の強力なクーラーにクールダウンしてもらいメニューを見ているうちにやっといつもの調子に戻ります。
「ふ〜涼しい、この室温なら温かいものも注文しやすいですよ。
何にしましょうか?」
「前に食べた赤茄子の調味料を使ったものが良いですね。」
「私も同じ考えでした。すみません!
ナポリタンとハンバーグのセットを定食で2つお願いします」
「はいよー、盛りはどうするよ?
この天気じゃ余っても持ち帰りできねーぞ。」
「じゃあ、いつもよりちょっと少なくして下さい、それと食後にクリームソーダを」
「はいよー。」
「さてと、出来上がるまでは1人気分ですね。」
源さんはテーブル型のゲーム筐体にかじりつくようにしてプレイしています。
ここに来て初めてTVゲームをしたそうで、毎回無言でやっています。
「お待ちどうさん。ホレ、一度ゲームはストップだ。」
皿を置くとゲーム筐体のポーズボタンを押すマスター、純正では付いていないんですが食事を妨げないように改造してもらったんだそうですよ。
コインを入れなくてもプレイできるようにもしてあるんです。
初めての人が慣れるまでは可哀想だからってことで時間制にしています。
そのゲーム筐体テーブルに並べられました、
太麺のこってりしたナポリタンとデミグラスソースのハンバーグ、チーズと目玉焼きものせられていますね。
キュウリ、レタス、薄切りトマト、スライスオニオン、ヤングコーンのミニサラダ
キャベツと豆腐の味噌汁、ここでは赤だしと呼ばれています。
皿盛りのライスには自家製らしきお漬物が添えられています、いつもより控えめとのことをちゃんと守っていますが物足りなさは感じません。
実はスパゲティもちょっとだけ減らしてありますがサラダを多めにしてあるんです。
失礼ながら先程厨房を覗かせて頂いておりました。
メディアに時々紹介される際は時の止まった店内で昔ながらの洋食を!って紹介文が定番になっておりますね。
「では、いただきましょう!」
「はい!いただきます!」
用意されたお箸で食べ進みますお2人、
ハンバーグはもちろんナポリタンもおかずと言える味だそうです。
お2人の好みでライスセットになっていますが
パンもあるんです。
その場合はお漬物でなくピクルスがつくことになっています、両方頼んで分ける方もいらっしゃいまして、それは良い方法だとワタクシ思いました。
店長達は近場ですからすぐ来れますが、なかなか来れない方は色々試してみたいでしょうからね。
マスターもちょっとぐらいのお願いは断らない方ですからご安心ください。
むしろ残されるのがイヤなので盛りをちゃんと聞くんですね、大盛りの押し付けはしないのが方針だそうですが、
「沢山食べる方は大好きだから伝えて下さい、
ヨロシク!」と貼紙がございます。
「はぁ〜、美味しかった。コクのあるナポリタンとハンバーグはたまりませんね。
味噌汁がまた良い、キャベツのフレッシュ感があり赤だしの濃さとマッチします。
豆腐は町内のお豆腐屋さんのもので冷奴でも美味しいんですもんね。
サラダも申し訳程度のよくあるものではないです、ミニトマトでなくスライストマトと言うのが私はポイント高いと思いますよ。」
「なにをゴタゴタぬかしてんだ。
今日は暑すぎるからか客がいねえけど混んでる時にやるんじゃねーぞ⁈」
クリームソーダを持ってきたマスターに言われてますね、でも店長もタイミングみて言ったみたいです、割とその辺は残念じゃない方ですのよ、
一応は。
「や、ありがとうございます。
子供の頃からコレは変わらずあるのが嬉しいですよー♪」
ご機嫌ですね、店長!
源さんも笑顔ですね、お好きなようです。
マスターはお客さんいないので近くの席に座って休憩しながらタバコタイム、この席はかなり力強いダクトがあり分煙を意識しております。
「オメエはレーコと一緒に来る時は必ずコレだったよなあ。
一応ウチにはコーラフロートとか他のもんもあるって言ってんのによ。」
「色が好きなんです〜♪ 他のも試したことありましたけどコレに戻りますねぇ、やっぱり」
「まぁ好きなもん食うのが一番さ、レーコは甘いもんがそんな好きじゃねえから、いつでもアイスコーヒーだったけどな。
ウチの親父に聞いたらガキのころからブラック派で冬でもアイスコーヒーだったってからな。」
「私も甘味を好んで食べてるのは見たことありません、お酒もビールばっかりですし、好物は山菜ですからねー。
遠足のお弁当にも山菜のマヨネーズ和えが入ってました…。」
「ダハハハ、マヨネーズで和えてるのがアイツなりに小せえ子供に気を使ったんじゃねえかな、
嫌がらせとかじゃねえさ。」
「それでも小さい子にはキツかったですよ、
クジラの味噌焼きとかは好きでしたけど。」
「レーコは料理が下手じゃねえけど作るもんが基本的にツマミっぽくなるのはもうしょーがねえのさ。
そんでもオメエはしっかり育ってんだから栄養は取れてんだろが。」
「そうですね、不味いと思ったことはないですね、ただ『綺麗な彩りとか盛り付けセンスをアタシに期待するのは勘弁しろ』って言ってはここに連れて来てくれましたから彼女なりに料理センスを身につけさせようとしてたんだと思います、
今思えばですけど。」
「バイクだバンドだで忙しいヤツだったし、
トラック乗りになってからはさらに時間ねえから料理するってなるとスピード重視だからな。
見栄えは後回しで美味いかどうか、ゆっくり作るならグツグツ煮込んでおける料理を選んで、
その間に家事を済ませるって寸法よ。
たぶんオメエに早く料理できるようになって欲しかったんだろうよ、料理好きなら自分が仕事で帰って来れなくても進んでやるだろうし、
インスタントばかりは食わせたくない親心みたいなもんだろうよ。
旦那も料理に関しちゃ作れるもんが限られてたみたいだしな。」
マスターは店長の母親と同級生で、店長が生まれる前から知ってますので頭が上がらないのです。
店長は威張ることが好きじゃないのでイキったりはしませんが敵わないなぁーっていうのがわかりますよね?
「親がいない時に安全に料理をするためなんですが、誕生日プレゼントにホットプレートを交渉したら凄く喜んで、焼く煮る蒸すの万能型を奮発してくれました。
ただ彼女の責任感なのか、ご飯と味噌汁は必ず作ってあったので一人暮らしを始めたら私はご飯の炊き方と味噌汁の出汁引きを知らなかったことに気がつきました…。」
「ダハハハ!まぁ何とかなったんだろ⁉️」
「ええ、料理スキル自体は上がってましたから、ご飯はキャンプの時を思い出しながら水加減して、味噌汁は小学校の調理実習を必死に思い出しましたね。
後で聞いたら『教えるのを忘れてた』って。」
「アイツらしい話ではあるなあ、今度来たら連れてこいよ、その辺も含めて話てえから飲みに来いって。
時々は来てんだろ?」
「はい、私も彼女の会社から専属料金みたいなものはもらってますので、会社の機械や車が壊れると自分でトラック運転して持ってきます。
彼女から電話が来るとだいたい何かが調子悪いとか壊れたの話ですからヒヤヒヤしてますよ、
電話にでないと怒りますし…。」
「そりゃーアテにされてるからだろ、信用がねえ
ヤツに専属料金や固定費なんか払う女じゃねえのは知ってんだろが。」
「しかし、わざわざ社長がトラック回して来なくたって良いんじゃないですかね。
しかもデコトラですよ。」
「社長がいつも会社でふんぞり返ってたら皆んながやりにくいだろが、デコトラは会社の看板みたいなもんだし、仕事のフリして息子のツラ拝みに来てんだろ。
息抜きもあるだろうけどよ。」
「息抜きの合間に仕事してませんかね?」
「そりゃオメエだろ、どこまでが仕事なんだよ?」
「参りました…。」
「レーコがトラック辞めて水産会社を起こしてからウチのカミさんも世話になってるからな、
俺も頭が上がんねえよ。」
「あ、マナさんが率先して沖に出てくれるから、船員さん達が身だしなみに気を使うし、
無茶しなくなってトラブルも減ってるそうです。
マスターの考えてくれるメニューもコック長が助かってて、食事にクレームが無くなるし食材が無駄になりにくいそうでした。
おかげ様で離職率も下がったというか、
人員の空きがないか問合せが増えて忙しいって。」
「アイツも何が漁業コンサルタントなんだかよ…、
まあ実際のデータを現場で収集してるとか
フィールドワークとかは言ってたがな。
◯ィオみてえな効果はあるみてえだな⁉️」
「◯ウシカじゃあないんですか?」
「それはどちらかったらレーコだろ。
どっちにしろキャラが若すぎだあな。」
マスターと店長、楽しそうです❗️
源さんは…ゲームに夢中でした。
ちなみにこのお店、ゲーム機の改造にも気を使ってますが厨房、トイレ、手洗い場の水回りは清掃がバッチリで厨房の掃除日は定休日とは別にお店を休みます。
トイレに至っては数年ごとに改装してハイクォリティなんですよ。
店長がいつかはお店をやるために屋台で修行してるってお話はご存知かと思いますが、実はお手本にしているお店の一つなんですのよ、ワタクシもご紹介できることを光栄に感じております。
「ところでよ、今日は屋台出すんだったら潮が良さそうだから海沿いなんかどうだ?」
「あ、良いですね、夜釣りができそうです。」
「たぶん釣り客も多いだろうしな、なんか大物釣れたら俺も行きてえから教えてくれよー、頼む」
「承知しました、期待してお待ちください。」
「あと、今日の勘定はナシだ、ゲーム代もな。
こないだ俺のバイクの面倒みてもらったからな、
足りるか?」
「お釣りが出ますよ。
良いんですか?遠慮しませんよ?」
「させねーよ!ツリがあるなら釣れた情報で
ヨロシク!」
「ヨロシク!」
源さんまだゲームやってます。
ゲームタイトルは熱血硬派く◯おくんです。
その4へつづく
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ナイタラダメヨ
(元ネタはアンジーです、知らない方すみません…。)