せりふ三題噺 創作社史『一杯の白湯とフードトラック』
■セリフ
「調べないほうがいいよ」
「喉乾いてたんだよね」
■三題
・火山
・シマウマ
・風鈴
夜鷹蕎麦や風鈴蕎麦と呼ばれる夜の店をご存知でしょうか?
かついで移動できる小規模な屋台、時代劇によく登場する屋台の元祖のような店です。
そんな屋台の夏の夜にお客が1人、
「一杯もらえるかえ?」
「ハイよ!蕎麦が茹で上がるまで白湯を一杯やっちくんねえ!」
「オヤ、ありがたい、喉乾いてたんだよねえ。」
夏の夜に冷たい物が出回らない時代、
衛生面からも沸かした湯は正解なのです。
白湯で喉を潤すと、残った白湯を手拭いに染み込ませて汗ばんだ首すじを吹きました。
ひと心地ついたところに蕎麦が出され、
かけ蕎麦を手繰り、勘定を払うお客。
「十六文だね、これで頼むよ。」
「ヘイ、丁度いただきやす!
こいつあわかりやすくて良いですな!」
紐に文銭を16枚通した物を受取る店主。
「ふん、何時だい?なんて聞いて誤魔化すマネはしたかあないからねえ。」
「ごもっともで、また宜しくお願いしやす。」
「あゝ、また来るよ…。」
その日の深夜…、町外れの廃寺にて…
「来たね。」
「この紐の結び目と銭の裏表組み合わせだとココになるワケでやすからね。」
「そいつが理解できて、その足運びを見るってえと手練れのようだねえ、嬉しいよ。」
「アネさんの腕前も相当とお見受けしやすよ、
では…合言葉をお願えしやす。」
2人は呼吸を合わせる素振りを見せた。
そして低くスッと吐き出した。
「シマ」
「ウマ」
やっとお互いの警戒を解く2人であった。
「なんだい今回の合言葉は?」
「さあ?なんでも白黒模様の馬の絵を奪還しろってコトでしたからソレですかいね?
舶来にはそういう縞模様の馬がいるってことなんですかねえ。」
「調べないほうがいいよ、知りすぎた奴はロクな目に合わないのがこの稼業さね。」
「ちげえねぇ、おっと申し遅れました。
アッシは風鈴屋台のカザンと呼ばれております。」
「カザン?火山のことかい?」
「ええ、お山の噴火で1人になっちまったとこを今の小頭様に拾われた次第なもんで。」
「そうかい…、アタシはリン、風鈴のおりん、
おとっつぁんが風鈴職人だったもんでね。
アタシも似たような境遇だけど風鈴でアンタとは縁ができたようだねえ。」
軽く笑うリン、すれっからしな表情ではなく、
安堵を込めたような笑い方だった。
シマウマが描かれた掛軸の奪還ミッションを守備よくこなした2人。
息が合うことを見込まれ大きなヤマも依頼されていき…、数年が経過しました。
「そろそろ潮時でございましょう。」
今までの貢献度から発言力の強いリンが親方衆に申し入れを行うと、
なんとか無事に放免を頂きました。
今でいう退職金にリンはある物を希望しましたところ、咎められることなく認められました。
リンが希望したもの、それは
名字とカザンでした。
カザンと夫婦になり、町の商人として蕎麦屋をやっていくために。
屋台ではなく店を構えた2人、
お品書きを書く際にちょっとした絵も添えてみたのがだんだんと評判になりましてね、絵の注文も頂くようになりました。
名字の花山はカザンとも読めるため、
2人は洒落を効かせ、華山と画号を作り、
絵師の花山華山として名を馳せました。
今では当たり前に見られる、シマウマ、バク、パンダ、シャチ、鯨、など墨一色で表せる白黒の不思議な動物を想像と聞いた話で描いた手法は評判になり財を成すこともできました。
その財を自分達のような境遇の人に使いたいと考えた夫婦は行動します。
馬車に調理道具一色を積込み、どこでも蕎麦が食べられるようにしたのです。
自分達が寝泊まりできる設備も馬車に備え付け、あちこちに出かけては災害のあった場所で振舞いをしました。
蕎麦や食材が手に入らない時もあります。
そんな時は白湯が喜ばれました。
飲むのはもちろん、体を拭いたり、傷口を洗ったり、使い方は様々でした。
『一杯の白湯でも活力になる。』
現代でも赤ちゃんのミルク用、カップ麺用、冷やご飯をお茶漬けにしたりもできるし、コーヒーで一息つけたとのお言葉もいただけたそうです。
お湯が沢山あれば簡易シャワーもできますね。
食べるだけでなく衛生面も大事ですから。
さて、ここまでご紹介しましたお話、
実は現在の老舗フードトラックチェーン店、
ヤカンに◯ハナのマークでおなじみ!
『ハナハナそば』のルーツなのです。
現会長のご先祖が始めた蕎麦屋、元々がかつぎ屋台の風鈴蕎麦からスタートしているらしく、
社史編纂の際にわかった史実をまとめ、希望や願望も入った脚色をしてはありますが、
店頭で配布したところ好評でありましたので、
近々コミカライズも予定しておりますよ⭕️
創始者夫妻の信念を引き継いで全国に散らばっているフードトラック達、
災害が起こってしまった際には駆けつける体制を常時整えています。
蕎麦アレルギーの方でも召し上がれるレトルト品も常備がございます。
しかし、まずは何はなくとも一杯の白湯から!
ヤカンのマーク運動を我が社は行っております。
発電機、ポータブル電源が使えるなら電気ポットや炊飯器でお湯を沸かす。
カセットコンロなどガスが使えるなら鍋がなくても空き缶だってお湯を沸かせます。
電気もガスもない、鍋もヤカンもない、
焚火はなんとかできるなら焼き石を作って陶器などに入れることで沸かせます。
白湯を作る、配る、行動は自分も支えます。
ヤカンのマーク運動にご賛同頂ける方、
配布しております社史の冊子にお湯を沸かすイラスト付き解説がございます。
参照なさってくださいませ。
販売品のヤカンマーク缶バッジ、キーホルダーやお湯が沸かせるミニヤカンセットの利益は被災地、復興地に提供させていただいています。
※私の創作ではありますが、災害時に活動できるお店を目指しているのは本当です。
震災時に自分が経験したこと、友人の話、自衛隊の方々の支援からわかったことなどを元に書きました。
微力ながら何かはやっていきます。
こちらに参加させていただきました🚚
いいなと思ったら応援しよう!
天井裏から愛をこめて!
ナイタラダメヨ
(元ネタはアンジーです、知らない方すみません…。)