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【シーンノベライズ】最後まで走れなかった理由 ── フーディーMAX イン北海道

おっぽちゃんの以下のプロンプトを試した後、それをノベライズしましたが、とても面白かったので、同じスレッドにプロンプトを再度ぶち込み、指示を足して、ちょっと別のレースを書かせてみようと遊んでみました。

おっぽちゃん、イジり過ぎてごめんね!!!




2026年5月22日 北海道エンタメニュース速報


プロンプトが出力する新聞。カラー化してみちゃいました。


『Bloomin’トモ、大食いグランプリ決勝で途中リタイア』

記事には、ただ事ではない空気が漂っていた。

札幌・大通公園で開催された《フーディーMAX イン北海道》。
タレント、アスリート、配信者が集う、TV局主催の女性の大食いイベント。

その決勝戦で、
人気和製K-POPグループBloomin’(ブルーミン)のメインボーカル、
トモが突如競技を棄権した。

SNSでは、

『顔色やばかった』
『限界まで頑張ってた』
『プロ意識はすごい』

という声と、

『アイドルなのに、変なところで無理しすぎ』
『体調管理できてない』

という批判が入り混じっていた。

だが、
その記事のどこにも書かれていないことがある。

なぜ彼女が、
そこまでして戦おうとしたのか。

そして、
なぜ途中で止まったのか。

それを知っているのは、
たぶん、ほんの数人だけだった。




芸能事務所TKマネジメントにて


トモがこの大会への出演を決めたのは、
関東ローカルキー局から事務所への出演依頼だった。

「北海道で大食い対決ロケですよ?」

マネージャーに企画書を見せられた瞬間、彼女は笑った。

「なにそれ、絶対地獄じゃん」
メンバーのミナが、横から突っ込む。

だが、その直後、
優勝賞品の欄を見て、トモの目の色が変わった。

《副賞B:総合楽器店K・好きな楽器100万円券》
複数のスポンサーが100万円相当のお買い物券を用意しており、
優勝者は選択できる形式だった。
多くの出演者はツアー会社の旅行券を選ぶだろう。

「……これ欲しい」

ぼそっと呟いた瞬間、Bloomin’のメンバーたちがざわついた。

「えっ、トモ、出る気!?」
「いやいや、アイドル枠で優勝は無理でしょ!」
「まわりの猛者と戦うこと考えて!」
「優勝なんて、ウチの事務所に求められてないよ!」

戦う相手は、
大食い配信者、屈強なアスリート、元フードファイター、
などなど。

アイドル事務所への依頼は、
完全に“画面を華やかにするため”という狙いが見えていた。

期待されていたのは、本格大食いファイターに並んで、
アイドルが頑張ってチャレンジし、
苦悶の表情を見せながら沈んでいく姿。

そんな絵面を期待してのことに違いなかった。




TAPESTRYのけぶじん


TAPESTRY
二人組ソウルデュオ。

去年の《大人の紅白歌合戦》で共演して以来、彼らとは交流が続いていた。

その中でも、メンバーのひとり“けぶじん”こと圭介とは特別な関係だった。

年末イベントのステージ裏。
音楽の話をしていたら、彼の好きな“音の世界”への熱に、引き込まれた。

「プレイリスト送るよ」
トモは圭介に、そう言われた。

でも、LINE交換は事務所から禁止されていた。

だから彼女は、プライベート用スマホの番号を、
小さな紙に手書きして渡した。

メッセージで定期的に送られてきたプレイリストは、
そのたびに違うジャンルでまとめられていた。
70〜80年代のソウル。
シティポップ。
アダルト・コンテンポラリー。
ラテンっぽい空気のギターフュージョン。
ミュートトランペットの心に響くジャズ。

ジャンルが違っても共通していたのは、どの音も、気持ちが良いこと。

彼の人となりや、感情の手触りみたいなものを感じる気がして、
トモは夢中になって聴き漁った。

とある海外アーティストの小さなライブに誘われ、
一緒に観に行ってからは、
彼の隣で、彼の音楽にかける思いを朝まで聞く、
そんな仲になっていた。

Martin 000-28EC。
圭介が欲しいと言っていたギター。

Unpluggedでクラプトンが弾いていた000-42ECは、
とても手が届かない。

でも、
「せめて000-28ECなら、手に入れたい」
彼はそう言っていた。

クラプトンファンに向けた、シグネチャーモデル。

まだ、本物には届かなくても、
“本物に近づくための、ひみつ道具”として欲しいんだ、と。

そのギターを、トモはどうしてもプレゼントしたかった。
勝てば、副賞でプレゼントできる、はず。

トモは日頃は大食漢ではないものの、大食いは得意で、
番組企画で二度ほど挑戦したことがあった。

三キロ級のチャレンジメニューを、一度だけ完食した経験もある。

そこそこ、自信はあった。




4位で予選通過


フードコートで行われた予選は、
ほとんど北海道グルメ祭りだった。

大盛り海鮮丼。
味噌バターラーメン。
スープカレー。
ジンギスカン。
ザンギ。

ひとつのメニューを食べ終わると、
次のメニューが目の前に運ばれる、リレー形式。

会場は常に爆笑と歓声に包まれていた。

トモは強かった。
しかも、カメラが回ると異様な集中力が出る。

前半をハイペースに飛ばし、リードしたプレーヤーたちは、
番組を大いに盛り上げたが、
後半のジンギスカンからザンギの流れでスピードダウンした。

一方、トモは、終始ペースを崩さなかった。
食べるペースは普通と変わらない、綺麗に淡々と食べ進める。
持ち前の負けず嫌いと駆け引きが、功を奏した。

「さすがアイドル、食べ方までキレイです!」
「普通に味わってます!」

実況も盛り上がる。
だが、途中から、少しずつ違和感があった。

匂い。
油。
熱気。

急に胸の奥がムカつく瞬間がある。
「……ん」

トモは眉を寄せた。

でも、
疲れだと思った。

ここんとこ、ライブも続いていたし、
移動も多かった。

だけど、
深く考えず、淡々と食べ進めた。

トモは10人中、4位でフィニッシュし、
決勝への出場権を獲得した。




決勝当日


札幌、大通公園。
五月の風はまだ少し冷たかった。

特設会場には、
番組ファンと大食いファンと、地元の野次馬が入り混じり、
異様な熱気になっている。

決勝の相手は、
元フードファイター、動画配信者、オリンピックアスリートだった。

ステージから少し離れた、ロケ車両の影に作られた待機所。
トモは紙コップの水を飲みながら、小さく息を吐いた。

その時だった。

「顔色悪くない?」
振り向く。

圭介だった。

TAPESTRYの札幌公演があり、
お忍びで関係者席に来ていた。

トモは一瞬だけ視線を泳がせ、
すぐ笑う。

「だいじょぶ」
「余裕余裕」

強がりだった。

圭介は少し黙ったあと、
静かに言った。

「無理するなよ」

その声が、
妙にトモの胸に残った。




そして決勝戦が始まった


決勝種目。
《北海道産 超大盛りウニ丼4.5kg》

直径40センチほどの巨大丼に、約6合のご飯。
その上に、北海道産バフンウニが2.5kg。
さらにイクラ、刻み海苔、大葉が山のように盛られている。

制限時間45分。
最初に完食した者、もしくは時間終了時点で最も多く食べていた者が優勝。

単純な完食勝負ではない。
スピードと持久力、そして後半の胃のコントロールまで求められる、
過酷なタイムトライアルだった。

号砲が鳴る。
決勝スタート。

観客は大歓声。
実況は開始直後から絶叫していた。

「Bloomin’トモ、驚異のペースです!!」
「女性アイドルとは思えない食べっぷり!!」

トモは、予選とは戦法を変え、始めから勢いよく箸を動かした。
序盤でウニを一気に減らす。

高級食材は、後半になるほど匂いと脂が重くなる。
それを想定した上でのペース配分だった。

完食しただけでは勝てない。
一着でフィニッシュしなければ、意味がない。

汗が首を伝う。

歓声が揺れる。
照明が熱い。

視界が、少しだけ滲む。

どうしても、
勝ちたかった。

圭介に、あのギターを渡したかった。

その時だった。
ウニの匂いが、急に強く鼻を刺した。

さっきまで“ご馳走”だった香りが、一瞬で別のものに変わる。
鮮度は抜群のはずなのに、生臭さが胃を直接掴んでくる。

世界が、ぐらりと揺れた。

「っ……」
箸が止まる。

歓声が遠くなる。
胃が、拒絶する。

冷や汗。
息苦しさ。
視界の端が白く滲む。

離れた関係者席から見ていた圭介だけが、すぐ異変に気づいた。

「あれ……」

彼は思わず立ち上がる。

トモは必死に笑おうとした。

大丈夫……
まだ行ける。

そう見せたかった。

でも、
次の瞬間。

耐えきれず、口元を押さえた。
会場がざわつく。

スタッフが駆け寄る。
実況の声が少しずつ小さくなっていく。

トモは、震える声で呟いた。
「……ごめん」
「最後まで……行きたかった……」
誰にも届かないほど、小さな声だった。

トモの姿に、会場は悲鳴と絶叫が入り混じり、大きく沸いた。
番組としては、“最高の見せ場”になったのかもしれない。

だが、
圭介だけは、そんな空気を振り切るように、
その場を離れていた。




札幌の大学病院の一室


診察室は静かだった。

白いカーテン。
消毒液の匂い。

窓の外では、
札幌の夜景がぼんやり光っている。

トモは検査結果を待ちながら、
うつむいていた。

小声で、
「優勝したかったのに……」

そこにいた、圭介は何も言わなかった。
トモの手に自分の手を重ねて、ただ隣に座っていた。

その場には女性マネージャーもいたが、見て見ぬふりをしている。

やがて、
医師が静かに入ってくる。

そして、
少し微笑んだ。

「おめでとうございます」

トモは瞬きをした。
意味が繋がらない。

圭介も固まる。

「妊娠されています」

医師は電子カルテを見ながら、穏やかに続けた。
「3か月です」

世界が静かになった。

ほんの数秒。
マネージャーも、メンバーも、誰も言葉を出せない。

トモはゆっくり、
自分のお腹を見た。

それから、
信じられないものを見るみたいに、
圭介を見る。

圭介は、
ようやく息を吐いた。

そして。
少し震えながら笑った。




帰り道


札幌の夜風は少し冷たかった。

大通公園のテレビ塔が、
静かに光っている。

トモはジャケットの袖を握りながら、
ぽつりと言った。

「ギター……プレゼント……できなかったね」

圭介は少し黙ったあと、
笑った。

「いや」
「人生で一番びっくりの、うれしいプレゼントだよ」

トモは一瞬だけ目を丸くして、
そのあと、
泣きそうな顔で、笑った。




後日談


『Bloomin’活動休止か?引退か?』

エンタメニュースの見出しは、容赦がなかった。
『人気メンバー・トモ、妊娠発覚!相手はTAPESTRYのけぶじん』
SNSは毎日燃えていた。

TKマネジメント本社。
Bloomin’の今後を決める会議。

社長が資料をめくりながら言う。
「スポンサーの反応はかなり厳しい」
「テレビ復帰は当面難しいと思う」

誰も反論しない。
すると、ソファに座っていたチカが、言った。

「じゃあ、戻る?……配信に」

会議室が静まる。
ミナが続く。
「そうだね、元々うちら、そこから始まったじゃん」

まだ事務所も無かった頃、
安いリングライト。
コメント欄数十人。
深夜の、どうでもいいような雑談配信。
あの場所から、Bloomin’は始まった。

ユキが吹き出す。
「今さら事務所とか無くても配信できるし」
「ぶっちゃけ、今の時代そっちの方が強くない?」

社長が頭を抱える。
「ちょっと待て、キミたちねぇ……」

でも、その時だった。
ずっと黙っていた女性マネージャーが、
小さく手を挙げた。

全員が見る。

「……あの」
「もし独立するなら、自分もついて行きます」

数秒、沈黙。

トモが、
少しだけ笑う。

その空気で、
何かが決まった。




その三か月後


配信チャンネル
《Bloomin’ ROOM》

登録者数、爆増。

配信タイトル。
『生配信!大食いで人生変わった件を振り返ろう!』

コメント欄、大盛り上がり。

『本人きたwww』
『ウニ食えるようになった?』
『マネージャー生きてる?』

画面の外から、女性マネージャーらしき声。
「WEB案件、三倍になりました……」

ミナが笑う。
「よかったじゃん」

ソファでは、
少しお腹の大きくなったトモが、
呆れた顔でコメントを読んでいる。

画面左から、
圭介がギターを弾きながらフレームイン。
手にはMartin 000-28EC。

視聴者がざわつく。

『え、マーチン買った!?』
『まさか裏で副賞もらってた!?』

圭介は苦笑しながら答える。

「いや」
「これは、配信で稼いだお金で買ってくれた」

その瞬間、
トモが、
少し誇らしそうに笑った。




あとがき


ここで登場するトモとけぶじん(圭介)は、
仲良くさせていただいている、ちぃさんの昨年の記事「大人の紅白歌合戦」に登場し、歌っていた二人です。
あの素敵な記事で広がっていた世界線を、もう少し拡張してみたい。
そんな気持ちから生まれた物語でした。

現在、ご家族のことで大変な時間を過ごされているちぃさんが、
少しでも気持ちが紛れたり、別の景色を見て和んでくれたら、
そんな思いを込めて書きました。

背景をご存じない方には、少し私的な内容にお付き合いいただく形となりましたことを、お詫びいたします。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


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