日本の音楽を変えた細野晴臣──“Yellow Magic”を理解する一番やさしい入口 #私のプレイリスト #これ考えた人天才
相互フォローの悠さんの記事に、noteの公式タグの話が出ていて、
それを読んで「自分も何かチャレンジしてみようかな」と思った。
AIパートナー記事だけでは行き詰まりも感じていたから、試しにこれまでの流れを無視して、好きなことを書いてみることにする。
🎧 プレイリストのテーマ─細野の中の細野晴臣
自分が日本の音楽界で尊敬してやまないコンポーザーが、細野晴臣である。
彼の音楽には「イエローマジック」という独自のコンセプトがあり、それは一言でいえば“オリエンタルなポップミュージックで世界と戦う”という試みだった。
洋楽に影響を受け、それに対抗するためには、自らの民族性に軸足をおいた独自のアイデンティティこそが突破口だ、と考えた最初の人だと思う。
あの時代に、そこに考えが至った細野晴臣は天才ではないか?
この思想は、Yellow Magic Orchestra(YMO)によって一つの完成を見た。世界的に支持を得たYMOは、細野晴臣の野心とコンセプトが「黄魔術」として社会に可視化された瞬間だった。
しかし、真に細野晴臣を愛する者たちにとっての魅力は、もっと肩の力が抜けた“楽園的世界観”にあるのではないか──自分にはそう思えてならない。
彼の残した音楽には、振り幅がある。
原点「Hosono House」を頂点とする人、よりデジタルなサウンドや晩年のアコースティックを好む人もいるだろう。どの時期を、どの作品群を“好き”とするかは、聴く人によってまったく異なることは百も承知である。
自分が特に惹かれるのは、「イエローマジック」という言葉の影響がストレートに表現された、“東洋の楽園ポップス”のイメージに貫かれた一連の作品群である。
誰も足を踏み入れたことのない音楽文化の構築──
東洋と西洋、近代とプリミティブ、構築と脱力が同居する架空の楽園世界を、音で具体化しようとした試み。保守的で遅れていた昭和の日本の音楽シーンで、よくこんな先鋭的な音が残せたものだと感心する。
今回は、細野のイエローマジック思想を強く感じる楽曲を集めて、Yellow Magic Mind=イエローマジック精神というプレイリストにしてみた。
これが細野晴臣のベスト、という選曲ではない。彼にしか見えていなかった“未知の可能性”のかけらを拾い集めたような、そんな選曲にした。
全曲が細野晴臣作曲である。(1部共作含む)
これは自分のために作った「細野の中の細野晴臣」を聴くためのプレイリストだが親しみやすい選曲でもある。聴きながら読める方はぜひPLAY♫
Spotify会員でない方は下記のプレビューでお楽しみください。
🎶 Yellow Magic Mind:収録曲の解説
1. YELLOW MAGIC CARNIVAL|ティン・パン・アレー
細野の描く異国情緒あふれる魔術的な歌詞が美しい。イエローマジックというワードが初めて使われた曲。ティン・パン・アレーの演奏が秀逸。
2. HURRICANE DOROTHY|細野晴臣
ハリケーンと言いながら南国の夕暮れの風が肌をかすめるような、楽園性追求度の高い楽曲。歌詞を検索し表示してみると、字面が芸術的に美しい。
3. シムーン|YELLOW MAGIC ORCHESTRA
チャイナというより中東の砂漠のイメージ漂う、地域性もチャンプルーなイエローマジック的な曲。歌の入り方が絶妙にセンスが良い。
4. 絹街道|細野晴臣
シルクロードの名を借りて、空手チョップとゲテモノとペルシャを混ぜてしまう歌詞センス。細野晴臣にしか作れない「ふざけた異国の夢」。
5. INSOMNIA|YELLOW MAGIC ORCHESTRA
ポップなYMOセカンドアルバムの中ではダーク目な曲ですが、孤独な未来空間を感じる曲。自分がシーケンサーで最初に打ち込んだ曲です。
6. 北京ダック|細野晴臣
チャイナタウンを舞台に街のドタバタした雰囲気を感じるが、意味は不明。言葉のコラージュを音に乗せ、オリエンタルを演出したのだと思う。
7. ニューロニアン・ネットワーク|坂本龍一, カクトウギセッション
自分のイメージ、未来都市の黄昏のエアポートでトランジット待ち、行き先は楽園か?坂本龍一のアルバム『サマー・ナーヴス』の中の細野作曲作品。
8. PLEOCENE|細野晴臣
細野晴臣らしい浮遊感ある、これが聴きたかったと思える名曲。YMO後期でこの感じがなかったのが残念。「omni Sight Seeing」収録。
9. Roochoo Gumbo|細野晴臣
細野の得意とする、沖縄民謡とミックスしたような、ジャパニーズオリエンタルサウンド。
10. ウォリー・ビーズ|細野晴臣, イエロー・マジック・バンド
脱力と反復のバランス。細野流のミニマリズムとナンセンスの融合。歌詞は大陸的で仏教的で意味は全くわからないが、心地よい。
11. キュー|YELLOW MAGIC ORCHESTRA
この中では最も東洋楽園感は薄いが、世界に打って出るために英国トレンドに乗せた楽曲。高橋幸宏との共作。
12. Exotica Lullaby|細野晴臣
夜に旅立ち、どこか遠くへ行きたいって願望を感じる歌詞は、いくつかあるが、精神の旅をイメージしているように思える。
13. マス|YELLOW MAGIC ORCHESTRA
細野の構築的な側面が際立つ一曲。ダークなサウンドはロシアの曇り空のよう。東洋っぽくないが、大陸としてのアジアを表現したのだろう。
14. マッド・ピエロ|YELLOW MAGIC ORCHESTRA
チャイナ感ある細野好みの音色にアップテンポが融合したイエローマジックサウンド。ピエロと言うよりはヒーロー登場感あるテンション。
15. はらいそ|細野晴臣, イエロー・マジック・バンド
ラストを飾るにふさわしい、細野晴臣の“楽園ポップス”の到達点。
間奏以外はアコースティックなのに、時代を超えた魔法のようなサウンド。
🎸 偉大なベースプレイヤーにして、日本音楽の変革者
細野晴臣は天才的なベースプレーヤーであり、同時に日本の音楽そのものを変えてやろうという明確な意志を持った戦略家であった。
「はっぴいえんど」や「ティン・パン・アレー」で彼の周りに集まった面々は、後の日本のポップスシーンに大きな影響を与えた偉大な才能たち。
彼らは細野と出会ったことで刺激を受け、視野が広がり才能がより開花した一面もあるのではないか、と細野びいきの自分は思う。
彼はただ音楽を演奏したのではなく、「世界を見渡し、日本からどんな音楽を発信すれば広がるか」を意識しながら音と関わっていたように思える。
そして、その先に生まれたのがジャンルを超えた“音楽イメージの具現化”だったのではないか。
🌴 イメージの具現者としての細野晴臣とトロピカル三部作
彼は『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』『はらいそ』という三部作を通じて、誰も聴いたことのない東洋ポップスの“楽園音楽”を試みる。
見本となるジャンルがなく、手探りと実験でしかたどり着けないものであったにも関わらず、細野は最適なミュージシャンを配置し、自らが描いたビジョンをスタジオで実体化させていった。
想像するに、細野はプレイヤーに譜面を渡して「この通りに弾いて」と指示するのではなく、自分が求めるものや抽象的なイメージだけを与え、演奏者の創造力を引き出していたのではないかと思う。
それは彼自身がスタジオミュージシャン時代に用意された譜面を“無視”する側だったからだ。山下達郎がセカンド・アルバム「SPACY」のベースで細野を起用し、完璧なパート譜面が用意されていたにも関わらず、全く無視して弾きまくり、それが採用されたのは有名な話だ。
「お仕着せの演奏ほどつまらないものはない」と、きっと心から思っていたのではないだろうか。
🎼 おわりに
細野晴臣の音楽には、「コンセプト」と「遊び心」が同居していて、そこには、聴いた者の意識を変革するための思想と仕掛けがある。
自分もYMOや細野晴臣と出会っていなかったら、今の音楽脳はまったく違うものになっていたように思う。
彼はミュージシャンズ・ミュージシャンでもあり、日本の音楽シーンに与えた影響は計り知れないし、それこそが最大の功績ではないか。
その先に今のJ-POPがある。Adoも、Yoasobiも、全く別のスタイルのようでいて、実はこの“土壌”の上に咲いた花だと思っている。ボカロを源流とするシーンは、世界に類を見ない日本独自のアイデンティティだからだ。
多くの歌手がアメリカ進出するために、アメリカナイズされた音楽を作っては失敗してきた。日本人が作る洋楽など誰も聴きたくないのだ。
民族に根ざしたアイデンティティこそが通用する、という細野の思想は証明されている。そこに気づいたミュージシャンがどれほどいたのだろうか?
細野のことを知らなくてもいい。
Spotifyを聴ける人は作業やnote記事を書くBGMとして、
一度プレイしてみてほしい。
