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【記者日記】「グリ下」に行ってみた2

                                                                                            かわすみかずみ

 7月1日、夜8時。なんばには、人混みとすら言えないほどにひとの流れが押し寄せる。戎橋の上には、グリコの看板と同じ格好で写真を撮る外国人が自撮り棒で写真を撮っている。人の流れをかき分けてグリコの看板の真下に降りていく。戎(えびす)橋の下には道頓堀川が鈍い色を見せて流れる。戎橋から遠ざかるごとに人波は消え、いつも若者が集まっている場所につく頃には、ここが戎橋と同じ難波かと思うほどに静かだった。

「グリ下」  という言葉を知っている方は多いと思う。しかし、実際に「グリ下」 に集まる若者たちと話をしたことがある大人は少ないかもしれない。筆者もそのひとりだ。
 この日、友人がフードバンクから食料を譲り受けた。難波まで運び、グリ下の若者たちに配る。
 若者たちはなぜか、黒い服を着ている人が多かった。何人かはすでに睡眠薬などを大量に飲んで、地べたに寝ていた。周囲で心配する人たちが声をかけている。若者たちに話を聞くと、家に帰っていないか、遅くまでグリ下にいて終電で帰るという人が多かった。10代がほとんどで、夜のバイトや売春などでお金を稼いでいる人もいた。親との関係がよくないために、家に居場所がないひとがほとんどで、薬で意識混濁に陥っている若者に対して救急車を呼ぶことさえためらわれる状況だ。「親にばれたら困るから」というのが彼ら彼女らの言葉。
 気温30度以上の大阪で、路上に座るだけでもアスファルトから地熱のようなむわっとした暑さが立ち上る。ラリって寝ている若者たちはどれだけ暑いだろうか?
  学校帰りにグリ下に来る子たちもいるし、学校に行っていない子たちもいる。戎橋の上で写真を撮る若者とのギャップに唖然とする。

 警察官が9時過ぎに見回りに来る。「近所から苦情がきてるんで」と移動するよう促してくる。遠くから若者がラップで歌う声が聞こえている。警察官が若者に何かを言ったのか、大声で「ラップやってるだけで何が悪いの?」という声が聞こえている。

若者たちはラリった仲間を立たせて肩を貸して歩いた。暑さは一向に衰える様子はない。やっと落ち着いた場所は通路の端だった。村上龍の代表作「コインロッカーベイビーズ」を思い出す。居場所のない若者に、行政も警察も手を差し伸べることはない。
 今年3月に大阪市が1600万円をかけて作った塀は、グリ下の防犯対策だという。だが、若者たちへの支援はない。
 
 大阪・関西万博に湯水のように金を使うことができる大阪府市は、グリ下の若者には金を使わない。この状況を見て、みなさんは何を思うだろうか?

追伸:遠野なぎこさんが自宅で亡くなられました。事情はよく分かりませんが、遠野さんが壮絶な虐待を母親から受けていたことや、鬱状態であったことが報道されています。また、摂食障害なども発症していたようです。
 虐待を受けた人たちへの政府や行政の積極的支援があれば、こういうことはなくなるのではないでしょうか?一刻も早い支援体制の構築を望みます。

 
                

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