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ソソるリズム、The Interpretations of Tal Farlow/Tal Farlow

音楽を聴いていると、たまになんでこんなとこにあの曲の元ネタが?と思うことがあります。今回、デヴィッド・ストーン・マーティンの描いたジャケット目当てに買ったジャズギタリスト、タル・ファーロウのレコードにもそんな、は?これ、もしかして?という曲があって思わず笑ってしまいました(*^^*)詳しくは後ほど。

青い色彩が鮮烈な、ストーン・マーティン
ならではの奇抜で謎めいたジャケット。
ちょっと布袋寅泰さんにも似た、
存在がデカい感じ。

 まず演者のタル・ファーロウですが、ルックスが上の写真の通り地味なこともあってか、知る人ぞ知るジャズギターの大家です。1931年、ノースカロライナ(アメリカの東側)生まれ。1950年代にヴァーヴレーベル(ノーマン・グランツの時代)を中心に多数のアルバムを発表。 僕は彼のトリオ作品、「タル」(1956年、ヴァーヴ)がこれまで一番の代表作だと思っていましたが、ストーン・マーティンのジャケットが気になって買った、「リサイタル・バイ・タル・ファーロウ」、今日紹介する「インタープリテーションズ・オブ・タル・ファーロウ」も聴いてみたら素晴らしい内容で、最近すっかりハマってしまいました。 彼の特徴は、強く弾かれる野太い音、たしかな演奏技術と縦横無尽に駆け巡る運指の速さです。また、有名なスタンダードを頻繁に取り上げるので、彼の奏でる音楽には気持ちが入っていきやすく、一曲一曲も短く、アルバムを通しで何度聴いてもあまり聴き飽きしません。 このスピード感、エモーションから僕はジャズギター界におけるバド・パウエル(pf)と勝手に思ってます(*^^*)。 1950年代後半にはなぜか結婚を期にジャズギタリストを引退しましたが、その後、68年には復帰、その後は演奏活動を続け、1998年7月に病気(食道がん)で亡くなったようです。あだ名は「オクトパスハンド」…演奏を聴けば、なるほどな、と。

有名なスタンダードが目白押し。

このアルバムのメンバーはタル・ファーロウ(g)クロード・ウィリアムソン(pf)、レッド・ミッチェル(b)スタン・リーヴィ(ds)。ウエスト・コースト・ジャズの薫りがプンプンするメンバー構成となっています。

A1 THESE FOOLISH THINGS
「思い出のたね」という邦題でも知られるスタンダード。ジャック・ストラッチー作曲。本当によく演奏される曲で名演が多数ありますが、ここでのタル・ファーロウはゆっくりと、ためを聴かせた、まどろみの中にいるような音で惹きつけます。最後のほうにレッド・ミッチェルのベースが太く響き、そこが渋い!

A2 I REMEMBER YOU
ヴィクター・シャーツィンガー作曲。映画音楽からのカバー。こちらは早めのテンポで流麗なタル・ファーロウのギター、クロード・ウィリアムソンの明るいピアノがからみあい、快調に飛ばします。ウエストコーストっぽい、凛々しい爽やかな演奏。

A3 HOW DEEP IS THE OCEAN
アーヴィング・バーリン作曲、こちらも有名なスタンダード。いろんなパターンがありますが、おそらく僕が聴いた中で一番に地味なカバーかと。

A4 FASCINATING RHYTHM
ガーシュウィン兄弟の作。名ダンサー、
フレッド・アステアのミュージカルで用いられた?ノリノリの曲。その名もそそるリズム、いやぁ、意味深な曲名です。
しかも!いや、これ、まんま往年のロックバンド、ディープ・パープルの「BURN」のイントロじゃないですか!高校時代に大好きだったハードロック/ヘビーメタルの大御所がミュージカルやジャズからモチーフを仕入れていたなんて(あくまで推定)、笑っちゃいました。
ちなみに「BURN」はヘビーメタル専門誌、BURRN!の名前の元になった曲であり、水栓メーカーカクダイの2025年のカタログの表紙にもパロディとして使われているハードロック/ヘビーメタルの超名盤です。
※カクダイの社長さんが就任時から自社のカタログに往年の「ブリティッシュロック」のバンド(ディープ・パープル、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイド、クイーン、ザ・フーなどなど。)の名盤ジャケットを引用していて毎年楽しみにしています(*^^*)

カクダイのカタログは毎年こんなんです。
興味のある方はぜひ調べてみてください(*^^*)

なんて、楽曲そっちのけの与太話でしたが、タルの神がかった指さばきだけでなく、クロード・ウィリアムソンのピリッと辛味の効いたピアノ、スタン・リーヴィの疾走感あるスティックさばきもあり、このアルバム、ハイライトの演奏となっています。

A5 MANHATTAN
前曲と打ってかわり、こちらはリラックスした、ウエストコーストらしいカラッとしたギターミュージック。しかし、そのタイトルや、イーストコーストはニューヨークの中心マンハッタン、なんかチグハグな選曲ですね。名コンビ、ロジャース&ハート作の有名曲。タル・ファーロウの穏和で、おおらかな一面を表す演奏。

B1 AUTUMN LEAVES(TAL FARLOW SOLO)
ユージーン・コスマ作曲の有名過ぎるシャンソンからのスタンダード。爪弾く、小さな音の出だしから、枯れ葉、という題名ぴったりの渋い演奏となっています。タルの速弾きの疾走感もカッコいいし、楽しいのですが、こういった淡々としたプレイも僕はけっこう好きです。
試しに超名盤とされるキャノンボール・アダレイ(マイルズ・デイヴィス)の演奏もこの機会にぜひ比較で聴いてみてもらえたら、同じ曲でもこんなふうに違うんだ、というジャズの面白さを感じられるかも。とはいえ、僕はこのこじんまりとした「枯れ葉」が、好きです(*^^*)


B2 I T'S YOU OR NO NO ONE
ジュール・スタイン作曲、映画の主題歌から。
こちらもどこかで聴いた、上下にゆらりと落差のある、リラックスムードの曲。後ろで訥々と爪弾くピアノ、淡々と控えめなベースがここでもタルの演奏を立体的に飛翔させるスパイスとして効果を挙げています。
他の良い演奏ではデクスター・ゴードンの演奏が有名です。紫煙煙る場末の酒場の雰囲気、野太いデクスターのテナー、ぜひ聴いてみてください(*^^*)


B3 TENDERLY
ウォルター・グロス作曲、この時期(50年代)のジャズアルバムにカバー頻出の超人気曲。読んで字のごとく、やさしさや、いたわり溢れる内容にうっとりさせられます。ギターが打ち寄せるさざ波のように情感たっぷりに奏でられる美しいバラード。

B4 THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
一風変わった作曲家、ハリー・ウォーレンの作。ウエスト・コースト・ジャズでよく選ばれる楽曲。ここではグッとテンポとトーンを落とし、つぶやくような序盤。途中、メンバーとの掛け合いから音楽がふわ〜っと豊かに広がり、最後にまた、つぶやくように終わりへ。いやぁ、渋い(*^^*)
この曲を聴くと僕は反射的にチェット・ベイカーの可憐な歌を思い出します。若く、はかなげな、いい歌声なのでぜひ聴いてみてください(*^^*)

B5 JUST ONE OF THOSE THINGS
コール・ポーター作のミュージカルからのスタンダード。これも大好きな曲ですが、ここではピコピコ矢継ぎ早に演奏され、情感とか歌心とかはあまり感じませんが、この演奏の仕方がバド・パウエルっぽいというか、バドの唸り声さえ聴こえてくきそうな、神がかった、扇情的な演奏となっています。アドリブのところなんか、早送りを聴いているような錯覚を覚えます。続くクロード・ウィリアムソン、スタン・リーヴィもそれぞれにタルに負けじと峻烈なアドリブを繰り出し、湧き上がる熱気がカッコいいです。終わりがこれじゃぜんぜん気持ちが終われないよ、と思いました(*^^*)

この曲も、いろんなバージョンがありますが、今日の最後は、これも世間になじみの薄い「GENIUS」アート・テイタムの演奏はいかがでしょう?たまたま昨日レコードを手に入れたら、一曲目がこの曲でした(*^^*)

ジャケットが可愛くて購入。
アート・テイタムとタル・ファーロウは
何か同じ匂いがします(*^^*)
just mone of those 
 thingsが冒頭に納められています。

アート・テイタムは溢れる歌心はもちろん、きらびやかで豪華な響きもあって、これはこれで面白いプレーヤーです。

それではまた!

後日、ふと目にした絵にこんなのがありました。

タルのジャケットのモチーフはこれかもしれませんね。
世界はどこかで繋がっているように思いました。
老いたギター弾き/パブロ・ピカソ


こちらはリサイタル・バイ・タル・ファーロウ、
これもモチーフはピカソなのかも。

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