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夏が始まった合図と、懐かしい記憶

朝、ベランダに出て洗濯物を干していると、頬を涼やかな風が通り抜けていった。

耳を澄ますと、どこからか夏の虫の音が聞こえてくる。

「ああ、夏が始まったな」

そんなことを思いながらふと下を見ると、通学中の子どもたちが色鮮やかなプールバッグを手に歩いていた。

その姿を見た瞬間、胸の奥にしまっていた夏の記憶が一気によみがえる。

プールの水面に反射するまぶしい光。

鼻の奥に残る、あの独特な塩素の匂い。

裸足で歩くと熱くて飛び跳ねたくなった、照りつけるコンクリート。

ひとつ思い出すと、次から次へと懐かしい情景が浮かんでくる。

慌ただしい毎日の中にいるはずなのに、その瞬間だけは時間がゆっくりと流れるようだった。

季節は毎年巡ってくるけれど、同じ景色は二度とない。

それでも、風の匂いや虫の音、子どもたちのプールバッグは、あの頃の夏へと私を連れて行ってくれる。

夏の始まりを感じた、少し特別な朝だった。


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