赤いマニキュアを
特養でフットケアをしています。
お話好きなAさん。
ベッドに横になった姿勢で足の爪切りをさせていただいていると、
「これを塗ってもらえる?お願い。」
と、剥げかけた赤いマニキュアがついた爪をさし出してきました。
「私は若い頃は面倒くさくて、1度もつけたことがなかったんだけど、90歳を過ぎて初めてマニキュアをつけてもらったの。」
「周りの人がね、Aさんの爪は大きくて形がきれいだから、マニキュアが映えてきれいね、素敵ねって言ってくれるの。」
「付けるなら赤がいいわ。ピンクだとつけてるかどうか分からないでしょ? 赤いマニキュアをもう1度塗ってもらえる? お願い。1本だけ。」
そう言って、指を差し出されました。
90代後期での初体験、それを楽しみにしている気持ちが伝わり、ほっこりした気持ちになりました。
剥げかけたマニキュアをしっかり落とし、足の爪切りをしながら話は続きます。
「早く死にたいの。こんなに長く生きるなんて思わなかったわ。」
「みんな死んじゃったわ。早くいきたいわ。」
私「そうなんですか? でもきっと私達は、いつまで生きるのかを神様と相談して決めてきたんじゃないかと思うんですよ、思い出せなくても。」
と話すと、
「そうね、きっと神様と約束してきたのね。
うるさい婆さんは、まだこっちに来てくれるなって、旦那もあっちで止めてるんだわ。あははっ😆笑」
つられて笑ってしまいました。
95歳を過ぎて見つけた楽しみの赤いマニキュア。
小指にちょこっとあるマニキュアがその人の喜びになるんだなと思いました。
そして、予想と違った人生をボヤきながらも笑いに替えられる明るさを見せていただいて、ほのぼのとした時間になりました。
