諦めたくないから叫ぶのさ、アルプススタンドのはしの方
この所、毎日、夕食後に映画を観ては記事を書いています。
そして今日もまた、映画を見終えて、記事を書き始めました。
アマプラで、まもなく配信終了の映画を中心に探している私が選んだのは、この映画。
アルプススタンドのはしの方
<あらすじ>
高校野球夏の甲子園大会一回戦。
夢の舞台でスポットライトを浴びている選手たちを観客席の端っこで見つめる冴えない4人。
夢破れた演劇部員・安田と田宮、遅れてやってきた元野球部・藤野、帰宅部の成績優秀女子・宮下。
安田と田宮はお互い妙に気を使っており、宮下はテストで吹奏楽部部長・久住に学年一位を明け渡してしまったばかりだ。
藤野は野球に未練があるのかふてくされながらもグラウンドの戦況を見守る。
「しょうがない」と最初から諦めていた4人だったが、それぞれの想いが交差し、先の読めない試合展開と共にいつしか熱を帯びていき...。
<出演>
小野莉奈/平井亜門/西本まりん/中村守里/黒木ひかり/平井珠生/
山川琉華/目次立樹
<スタッフ>
監督:城定秀夫
脚本:奥村徹也
プロデューサー:久保和明
企画:直井卓俊
原作:籔博晶・兵庫県立東播磨高等学校演劇部
主題歌:the peggies「青すぎる空」
スポーツ映画は好きだし、1時間ちょっとの上映時間でサクッと観られるのはありがたい。
「楽しくても、つまらなくても、1時間ちょっとならまあいいか」と、そんな軽い気持ちで視聴しました。
試合の様子はカメラに映りません
舞台は甲子園球場。そこでは試合が行われています。
だけど、画面に映っているのは、応援席のはしの方に座る生徒たち。
補習を終えて「めんどくさいな」と思いながらやってきた生徒たちは、野球のルールも知らない。
タッチアップも、送りバントもわからない。
そんな生徒たちの会話を通じて、今、グラウンドでどんな試合が行われているのかを想像しながら楽しめます。
相手バッターの勢いに押されながらも、フォアボールで相手を歩かせるのではなく、攻めて三振に打ち取ったエースの園田君、野球が下手だけど3年間一生懸命に練習を続けてきた矢野君が初めて試合に出て送りバントをした時、彼らはいったいどんな表情だったのだろう。
そういった試合の様子は、すべて観た人の頭の中で無限に広がっていきます。
演劇が原作なので、そう言った演出もわかりますが、これは映画です。
映画化するにあたって、「チラッとでも試合の様子を描きたい」という気持ちになっても不思議ではありませんが、潔く全く映しません。
だけど、私の中では彼らの頑張る姿がハッキリ映し出されました。
しょうがないことなんてあるか!
大人や周囲から言われる「しょうがない」という慰めの言葉。
がんばって練習してきたのに、部員がインフルエンザになって演劇部の全国大会の舞台にたてなかった時。
どれだけ練習しても、絶対的エースがいる限り試合に出ることは出来ないと気付いた時。
運動はできないし、友達もできない中で、勉強だけは得意だから頑張ってきたのに3年間学年1位の座を奪われた時。
それぞれの「しょうがない」を乗り越える姿が、わずか40分ほどの会話劇の中で描かれます。
そして、相手は春の大会でも甲子園に出場しているし、怪物のような強打者がいる強豪校、勝てる見込みが少ない自分たちの学校。
試合後半、4-0になると安田あすは(小野莉奈)が、ふと口にした「しょうがないよね。そもそも相手の方が格上なんだしさ…」という一言。
これを聞いて「あのさ、『しょうがない』っていうのやめて……。頑張っているのに、周りで見ている人に『しょうがない』とか言われたら、嫌だと思う…」と、大人しい宮下恵(中村守里)が言います。
あすはと宮下は、互いに譲らない不穏な空気の中、声をからして応援する厚木先生(目次立樹)が、「なんでもっと声を出さないんだ」と、もはや声がかれて聴き取れないような声でやってきます。
そんな先生の姿を見て、あすはが「グランドに出られない人間がどんなに頑張ったって。無理して声出したって、しょうがないですって!」と、先生に言うと「しょうがないことなんてあるか!」と諦めない。
すると、田宮ひかる(西本まりん)が立ち上がり、「がんばれー!!」と叫びます。
思えば、これまでいろんなことを「しょうがない」で諦めてきた……。
この映画の公開は、コロナ禍の2020年夏。
甲子園の中止や部活の制限で悔しい思いをした生徒もたくさんいた時期です。
私も「しょうがない」という言葉を何度も使っていました。
「しょうがないことなんてあるか!」という先生の言葉は、あの時を振り返り、そして今でも、仕事の中で思わず使ってしまう自分に対して、とても響きました。
舞台か、映画か
この映画は、演劇が原作になっています。
そのため、映画化されたことで「舞台のほうが良かった」と感じる人もいるかもしれません。私は舞台版を観ていないので比較はできませんが、舞台から映画になると“見えるもの”が変わるのは確かです。
舞台なら、台詞を話している人を見ることもできるし、まったく関係ないところで動いている役者を追い続けることもできます。舞台上の全員が共有している“同じ時間”を、自分の視点で選んで観られる。
でも映画は違います。
映す場所、映す人、アングル、ズーム。
どこを見るべきかは、基本的には監督が決めた視線になります。
「吹奏楽部の部長が今どんな表情なのか見たい」と思っても、カメラが向かなければ見られません。
この映画では、はしの方の生徒たちが立ち上がり声を出し始めると、カメラのアングルが変わり、周囲の観客が映り込むようになります。
それまでは会話する生徒たちの表情を中心に切り取っていたのに、そこから空気が変わる。
彼女たちの想いが“はしの方”から広がっていくのを、監督が画で伝えたのだと思いました。
舞台と映画、どちらが正解かはわかりません。
でも少なくとも、この映画の見せ方は、私には深く刺さりました。
はしの方でも想いは同じ
立ち上がって声を出し始めた生徒たち。
それでも、彼女たちは他の観客や応援団の中に混ざって応援することはありません。
ずっと『はしの方』にいて、そこで懸命に声を出し続けます。
その選択が、この映画のテーマそのものだと思いました。
はしの方にいる人間にも、はしの方だからこそ出せる声がある。
そして、その想いは中心で応援する人も、はしの方の人も、きっと同じ。
負けたくない。諦めたくない。
その静かな叫びが、この映画を特別なものにしています。
それほど期待していたわけではないのですが、とても良い映画でした。
これは私のような、いつもはしにいて、何かを諦めてきた人間にはとても刺さりますし、若い人にも観てもらいたい。
まもなく、アマプラでの配信は終わってしまうようですが、「また観たいから、DVD買おうかな」と思いました。
そして、最後に宣伝
自宅での映画鑑賞にはコンパクトで手軽に使いやすい『Anker Nebula Capsule 3』がおすすめです。
ハッキリ言って、この映画は大画面じゃなくても楽しめます。
でも、私がこの映画に出会えたのは「せっかく買った、このプロジェクターを使わないともったいない」と思って、日々、映画鑑賞をしていたからです。
そんなわけで、このプロジェクターに感謝です。
そうそう、この映画はスポーツ映画ではありません。もともとスポーツ映画が観たいと思って見始めたんでした。忘れていた。
けど、見終えると、スポーツ映画と同様の熱い気持ちにさせてくれました。
結果としては、大満足。
つーことで、しょうがないか!
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