【Level1 第1曲】やしきたかじん「東京」大阪弁の女性は、いつ東京へ引っ越したのか

おっさんが歌ってみました
Level1|mikoto(男)男性歌手編
第1曲 やしきたかじん「東京」
大阪弁の女性は、いつ東京へ引っ越したのか
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元歌体感!! 考えるな、元歌を感じろ!!

こんにちは。「おっさんが歌ってみました」シリーズの mikoto(男)です。
Level0では、おっさん自身のことや、なぜ歌うのかという背景を紹介してきました。今回から、いよいよLevel1・男性歌手編に入ります。
Level1の第1曲目に選んだのは、やしきたかじんさんの代表曲「東京」です。
重く、切なく、情の深い失恋歌。普通ならこの曲について語るときは、たかじんさんのハスキーな歌声、関西弁の歌詞、愛した人への未練、東京という街に残された思い出、といった話になると思います。
しかし、私が最初に引っかかったのは、そこではありませんでした。

大阪弁を話す女性が「生まれた町やから」と歌っている

歌詞の主人公は、明らかに大阪弁を話す女性です。話している言葉だけを聞けば、完全に関西の女性です。
ところが、曲名は「東京」。さらに歌詞の中では、主人公がその街を自分の生まれた町として語っています。
大阪弁を話す女性が、東京を生まれた街と言っている。

この女性は東京生まれで、その後大阪へ引っ越したのだろうか。それとも大阪育ちだが、東京に長く住んで方言だけが残っているのだろうか。
失恋の悲しみを聴くはずが、主人公の引っ越し履歴を考え始めてしまいました。

「大阪」を聴いた瞬間、すべてがつながった

その後、別のお手本音源を探していると、たかじんさんが同じ曲を「大阪」として歌っているバージョンに出会いました。
大阪弁を話す女性
  +
生まれた町やから
  +
大阪

= 人物設定がきれいにつながる

そこで突然、「そういうことだったのか」と腑に落ちました。長い間気になっていた設定が、一瞬で回収されたような感覚です。
もちろん、小説や映画の続編として正式に伏線が回収されたわけではありません。同じ曲の地名を替えて歌う、ライブ的な遊びやご当地版に近いものなのでしょう。
しかし、聴く側からすると、地名が「東京」から「大阪」に変わっただけで、主人公の出身地、暮らし、人生の背景まで一気に変化します。「大阪」で歌われた瞬間、主人公の大阪弁に何の疑問もなくなるのです。

本格的な失恋歌なのに、構造だけ見るとボケになっている

「東京」は、歌だけを聴けば本格的な失恋バラードです。やしきたかじんさんは、笑わせようとして歌っているわけではありません。むしろ、これ以上ないほど真剣に、愛した人との生活、待ち続けた時間、別れた後悔、出会えたことへの感謝を歌っています。
ところが、複数の歌唱バージョンを並べて聴くと、妙に完成度の高い笑いの構造が現れます。
歌っている最中は本格派歌手。曲の運用は芸人。

これを私は、敬意を込めて「お笑い歌手」と呼びたくなりました。ただし、笑わせるために歌を崩しているわけではありません。本気で泣かせる歌を歌いながら、少し離れて全体を見ると笑いまで成立している。この二重構造こそ、関西の表現者らしさなのかもしれません。

「東京」は、歌い方のバリエーションが非常に多い

今回、「東京」を歌うために、いくつかのお手本を聴き比べました。すると、同じ曲なのに歌い方がかなり違います。
·  歌い出しを静かに置く
·  言葉の前後に大きく間を取る
·  音程よりも語りを優先する
·  語尾を抜く、または強く切る
·  声を荒らす
·  サビで一気に感情を解放する
·  一部の旋律やリズムを崩す
同じ人物が同じ曲を歌っているのに、毎回まったく同じ設計図で歌っているようには聞こえません。基本形は持っている。しかし、その日の感情、会場、声の調子、歌詞の受け取り方によって、直感的に歌い方を変えていたのではないか。私はそう感じました。

最初のお手本には、一番癖のない歌唱を選んだ

歌い方の変化が多い歌手を最初から完全に再現しようとすると、何を基準にすればよいのか分からなくなります。そのため今回は、複数の音源の中から一番癖のない歌唱を基準のお手本にしました。
·  音程が比較的安定している
·  リズムの崩しが少ない
·  歌詞を聞き取りやすい
·  過度なしゃくりが少ない
·  声を荒らしすぎていない
·  語尾の変化が比較的少ない
まずは曲の骨格を覚えます。
基本の音程
  ↓
基本のリズム
  ↓
歌詞の意味
  ↓
感情の流れ
  ↓
たかじんらしい崩し

癖の強いライブ版を先に覚えると、その歌唱だけが正解になってしまいます。しかし「東京」は、本来ひとつの正解へ固定する曲ではないように感じます。基本形を身につけた後で、タメ、語尾、声の荒れ、間、サビの圧などのバリエーションを加えていく方が、この曲の本質に近づけるはずです。

「東京」はモノマネではなく、主人公になる歌

この曲で重要なのは、やしきたかじんさんの声をそのままコピーすることではありません。歌詞の中の女性になって、人生を思い出すことです。
回想
 ↓
愛情
 ↓
寂しさ
 ↓
後悔
 ↓
喪失
 ↓
それでも出会えたことへの感謝

ただ悲しむだけではありません。主人公は傷ついていますが、最後には、その人と出会えたこと自体を否定していません。別れた。泣いた。後悔した。それでも、かけがえのない人だった。
この感情の複雑さを歌うためには、最初から大声で感情をぶつけても成立しません。静かに思い出し、少しずつ感情が上がり、サビで抑えきれなくなる。そして最後には、声を出し切るのではなく、まだ胸の奥に残っているものを感じさせる。「東京」は、歌唱力を見せる曲というより、一人の人物の人生を演じる曲なのだと思います。

Level1の第1曲目に選んだ理由

「おっさんが歌ってみました」Level1は、mikoto(男)による男性歌手編です。第1曲目に「東京」を選んだ理由は、単に有名な曲だからではありません。この曲には、Level1で学びたい要素が詰まっています。

1.男声で女性主人公を演じる

歌っているのは男性ですが、歌詞の主人公は大阪弁を話す女性です。声を女性化する必要はありません。男性の声のまま、女性の感情と人生を表現する。これは声優的でもあり、歌手的でもあります。

2.技術よりも言葉を届ける

音程を正確に歌うだけでは、たかじんさんらしさは出ません。重要なのは、歌詞の一語一語を誰かに話すように届けることです。

3.基本形と直感的な変化を学べる

標準的な歌唱を覚えた後、複数の歌唱バリエーションを比較できます。これは歌手ダンプBTOにおける「基準歌唱+感情差分+ライブ差分」を学ぶ最初の教材として適しています。

4.真面目と笑いが同居している

本編は泣ける失恋歌。しかし「東京」と「大阪」を並べると、別の楽しみ方が生まれます。真剣に歌いながら、聴き手には笑いの余白も残す。この感覚は、「おっさんが楽しく歌ってみました」というシリーズ全体にも合っています。

今回の歌唱テーマ

たかじんさんをコピーするのではなく、歌詞の主人公として思い出を語る。

歌唱時の内部指示は、次の5段階にします。
思い出す
 ↓
語る
 ↓
こらえる
 ↓
感情があふれる
 ↓
受け入れる

声を太く作りすぎない。最初からハスキーにしようとしない。無理に大阪弁を強調しない。まずは一人の人間として話す。その結果として、少し声が荒れたり、語尾が震えたりする。それくらいが自然なのではないかと思います。

考えるな、元歌を感じろ

歌い方のバリエーションが多い曲ほど、細かな技法をひとつずつ暗記すると歌えなくなります。ここは何秒タメる。ここはしゃくる。ここは声を荒らす。ここは語尾を切る。すべてを決めてしまうと、その瞬間の感情ではなく、手順書を再生する歌になります。
最初は癖のないお手本で骨格を覚える。その後は、歌詞の主人公が何を思っているのかを感じる。すると、必要な場所で自然に間が生まれ、声が強くなり、語尾が変わっていく。
元歌体感!! 考えるな、元歌を感じろ!!

まとめ

やしきたかじんさんの「東京」を何本か聴き比べて分かったことがあります。この曲には、ひとつの固定された完成形がありません。標準形はある。しかし、その上で感情に合わせて歌い方が変わる。
さらに「大阪」バージョンを聴くと、大阪弁を話す女性と「生まれた町」という設定まで、妙にきれいにつながってしまう。本格派の失恋歌なのに、別角度から見ると笑いまで成立している。やしきたかじんさんは、やはりただの歌手ではありません。
泣かせながら、後から気づいた人だけを笑わせる。

Level1の第1曲目として、これほどふさわしい歌手はいないと思います。まずは一番癖のない「東京」を基準にして、曲の骨格を覚えます。そして最終的には、誰かの歌い方を正確に再生するのではなく、その日の自分の感情で「東京」を歌えるところまで進みます。
おっさんが、真面目に、楽しく、歌ってみます。
— 公開情報 —
シリーズ:おっさんが歌ってみました
レベル:Level1|mikoto(男)男性歌手編
曲:第1曲|やしきたかじん「東京」
URL:https://youtu.be/EYSehJRmIiA
テーマ:元歌体感!! 考えるな、元歌を感じろ!!
ハッシュタグ: #やしきたかじん #東京 #歌ってみた #アカペラ #男性歌手 #歌唱分析 #歌マネ #モノマネ #おっさんが歌ってみました #mikoto #元歌体感


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