【はじめまして】原点と管理のあいだで。ー看護管理を考えるー
看護管理と向き合う今も、
私の中には忘れられない原点があります。
それは、まだ私が看護師を志す前。
ボランティアとして海外を訪れたときの出来事でした。
きっかけは、一冊の本。
発展途上国の現状が書かれていました。
知識としては知っているつもりでした。
けれどページをめくりながら、
「知っているだけでは足りない」
そんな思いが強くなっていきました。
自分の目で見て、
自分で感じて、
体験しなければ、本当の意味ではわからないのではないか。
そう思い、海外ボランティアへの参加を決めました。
まだ国際空港が砂利だった頃。
小さな飛行機で入国し、ホームステイをしながら
孤児院や病院を訪れました。
医療機器もほとんどない、薄暗く広い病室。
ただ泣き続ける赤ちゃんを、ひとりの看護師が抱き上げました。
その瞬間、赤ちゃんは泣き止みました。
特別な医療ではなく、
ただ“人が人を抱く”という行為。
あのとき、私はまだ看護師ではありませんでした。
それでも、心の奥で何かが強く動いたのを覚えています。
あの日が、私の原点です。
それから年月が経ち、
私は看護師になり、管理という立場に立つようになりました。
現場を回すこと。
組織を守ること。
スタッフを支えること。
理想だけでは動かない現実。
人員、経営、数字、責任。
思いがあっても伝わらないこと。
方向性を示しても、空回りするとき。
「管理者だから」と一歩引かれる瞬間。
小さな無力感を、何度も味わってきました。
気づけば、目の前の業務を“こなす”ことに必死で、
原点を思い出す余裕もない日があります。
これが本当に、私のやりたかった看護なのだろうか。
その問いに、まだはっきりとした答えはありません。
でも最近、思うのです。
夢や希望だけでは、組織は動かない。
熱意だけでは、現実は変わらない。
だからこそ、
今、何が起きているのか。
何が足りないのか。
何ができるのか。
何が本当に必要なのか。
感情だけでなく、現実を分析し、
小さくても確実にできることを積み重ねていきたい。
ちっぽけな自分でも、
目の前のスタッフの表情を見て、
目の前の患者さんの声を聴いて、
今日できる一歩を考えることはできる。
自己効力感を高める看護とは何か。
管理の立場から、どう支えられるのか。
きれいごとではなく、
理想論でもなく、
現実の中で考えていきたい。
原点とともに。
揺れながら、分析しながら、
答えを探していきます。
