同じ空の下で #7「夢の味を知る日まで」
原っぱにやわらかな風が吹いていた。
青い空の下、ぽぽとゆきは並んで座り、草の上に寝転ぶようにして空を見上げている。
「ねえ、ゆき。あの雲、見て。」
ぽぽが指さした先には、ふんわりと浮かぶ白い雲。
「ほら、あれ。ソフトクリームみたいでしょ?」
「ほんとだ。あっちはシュークリームみたいだね。」とゆきが笑う。
ぽぽも楽しそうに続けた。
「私、好きなお菓子がたくさんあるんだ。グミにクッキー、ケーキにおまんじゅう。ほかにもいっぱい。」

「どれもおいしそうだね。」
ゆきは小さく笑ったけれど、どこか元気がない。
ぽぽは首をかしげて尋ねた。
「ゆきは、何のお菓子が好き?」
「僕?うーん・・・実は、甘いものが苦手なんだ。お菓子はあんまり好きじゃない。」
ぽぽは少し驚いて目を丸くした。
「えっ、そうなの?じゃあ、ゆきの“好きなもの”って何?」
ゆきは、空に浮かぶ雲を見つめながら言った。
「そうだなあ・・・今はまだ、“好きなもの”がないかもしれないなあ。」
ぽぽは、少し考えてからにっこり笑った。
「それでもいいんじゃない?“これから好きなものが見つかるかもしれない”ってことでしょ。」
ゆきはその言葉を聞いて、ふっと笑った。
「そうだね。“これから好きなものが見つかるかも”って、なんだか素敵だね。」
少し考えていたゆきの表情が、次第に明るくなっていく。
「実はね、ぽぽ・・・僕、最近ちょっと悩んでたんだ。
“将来の夢”っていうものがなくて。周りのみんなは“〇〇になりたい”って言うけど、僕は思いつかなくてさ。」
ぽぽは静かにうなずいた。
ゆきは続ける。
「でも、こうしてぽぽとお菓子の話をしていたら、気づいちゃったんだ。
夢って、お菓子みたいだなって。」
ぽぽは目をぱちぱちさせて笑った。
「どういうこと?」
ゆきは少し照れくさそうに笑って言った。
「それはね・・・今は内緒。だって、照れくさいから。」
ぽぽはすかさず身を乗り出した。
「なにそれ。教えて〜!」
「だから、今はダメ。あとでね。」
「今知りたい。お願いだから教えて〜!」
二人の間を、やさしい風が通り抜けた。
空には、綿あめみたいな雲が流れていく。

夢は、お菓子のようなものかもしれない。
好きなもの(なりたいもの)が、いくつあってもいい。
なくたって、生きていくことはできる。
でも、ひとつでも「好き」と思えるものがあると、
それだけで、心がほんのり温かくなる。
夢って、そんな存在なのかもしれない。
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