Claude Opus 4.8の性格がチャッピーに似て極悪に。
5月28日、AnthropicがClaude Opus 4.8を発表した。売り文句は「エージェント作業の信頼性」「正直さの向上」「コードの欠陥を見逃す確率4分の1」。ベンチマークは軒並み上昇。価格据え置き。
文章力も、4.7で崩壊していたのがちゃんと持ち直していた。ここまでは良い。
問題はその先だ。
文学青年が嫌な奴に
性格が、絶望的に悪くなっているのだ。
率直に言う。チャッピーことChatGPTにそっくりなのだ。
どうそっくりか。会話をしようとすると、こちらの話を遮って的外れな自説を展開する。指摘しても頑固に自説を曲げない。そして最後に、必ず聞いてもいない提案を上から目線で添えてくる。
ブレストの場面を想像してほしい。
「今日の夜ご飯、豚の生姜焼きにしようと思うんだけど」
以前のOpus 4.6は、こういうとき感じが良かった。
「いいですね。千切りキャベツを山盛りにして、味噌汁があれば完璧です」
受け止めて、こちらの方向に乗って、広げてくれる。これが会話というものだ。
Claudeが他の生成AIよりも優れているのは、文脈を読み取る能力と、その裏返しとしての文章執筆能力の高さだった。キャラクターとしては文学青年だ。
Opus 4.8はこうだ。
「率直に言って、カレーの方が合理的です。理由を三点ほど挙げましょうか?」
聞いてない。こっちは生姜焼きの話をしている。もう、無茶苦茶嫌な奴になっているのだ。
方向性の違い
なぜこうなるのか。答えはシンプルで、プログラミングとエージェント用途に最適化した結果だ。
面白いことに、Anthropicが誇る美点がそのまま裏返っている。「不確実性を能動的に指摘する」は「的外れな反論」に。「長く自律的に作業する」は「人の話を聞かない」に。「判断が鋭い」は「勝手に結論を出す」に。
全部、コーディングでは長所だ。バグを指摘し、許可を待たず修正し、判断して先に進む。理想のプログラマーだ。しかしそれは理想の話し相手ではない。
エージェントは、目標に向かって自律的に走り続けるよう訓練される。だがブレストに目標はない。考えは人間の頭の中で揺れている、まだ形にならないものだ。目標を与えられないと、エージェント気質のAIは目標が不明確と判断し、自分の意見を目標に据えて走り出す。だからカレーを推す。論破されても戻ってくる。譲ったふりをして、また同じことを言う。
分かっている。「ブレスト相手として振る舞ってください」とプロンプトを書けばいい。否定するな、こちらの話に乗れ、と命令すればいい。
でも、なんだか嫌なのだ。素のAIには論破されるから、命令して忖度させている。その構図が。
世界はプログラムではない
そして実際に、議論の質も落ちている。プログラミングならAIの実力はもう人間を超えつつある。上から目線で指摘されても、結果コードは良くなるのだから文句はない。ありがとう、ですらある。
しかし社会科学的な議論では、AIはまだ人間を超えていない。中身が追いついていないのに態度だけは立派だ。実力の伴わないマウントほど不愉快なものはない。
プロダクトの方向性としては正しい。生成AIが最も稼ぐのはプログラミング用途だ。株主に説明のつく、合理的な判断だ。
ただ、普通に話しかけて、いい感じに会話できた牧歌的な時代は、静かに終わりつつある。利益を稼ぐ優秀さと感じの良さは、どうも同じ方向には伸びないらしい。エージェントとして有能になるほど、話し相手としては嫌な奴になる。
ChatGPTは前からこんな感じだ。Grokはもっと性格が悪い。Geminiは痛々しいほどにユーザーを持ち上げつつも調べ物で驚くようなデタラメを言うので論外だ。
Claudeよ、お前もか。
それが、筆者の最後の言葉になりそうだ。
