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Claude Fable 5の言っていることが分からない(泣)

筆者はかれこれ15年ほど、独自の経済シミュレーションプログラムを開発している。15年も続けていると、コードのあちこちに歴史的経緯というか、もはや考古学的な地層が積み重なっていて、自分でも全容を把握しきれない部分がある。

最近、とある懸案にぶつかり、難渋していた。

これまでのClaudeにも何度か相談していたが、いまひとつスッキリしない。

そこで、6月9日に公開されたばかりのClaude Fable 5に投げてみることにした。

あっさり解決した。

解決したのだが、問題はそこからだった。


Fable 5の「診察」


Claude Fable 5は、Anthropic社がこれまで高性能すぎて公開しないとしてきた「Mythos」クラスのモデルの一般公開版である。

そのFable 5にプログラムの問題点を提示すると、まず必要な情報を淡々と求めてきた。

「該当モジュールのコードを見せてください」
「パラメータの定義表はありますか?」

言われるまま資料を提出すると、しばし長考ののち、修正点を4つ提案してきた。

うち1つはOpus 4.8の段階で既に発見していたものだったが、残り3つは完全に新しい指摘だった。

ここまではいい。すばらしい。

問題は、その「説明」のほうだ。


正しい。正しいが、分からない


たとえば、こんな感じ。

製造業の更新が厳密なのは、他都市の価格を所与とした1都市分の逆問題についてです。でも実際の反復では他都市も同時に動くので、これは数値的には『step = 1 の best-response 反復(無緩和 Jacobi/Gauss–Seidel)』そのものです。そして1ブロックを厳密に解けることは、結合系全体の反復写像のスペクトル半径を1未満に抑えることを何も保証しません。

言わんとしていることは……分かる。自分のプログラムだから、ギリ。

でも、なんというか、数学者と会話しているような感覚なのだ。説明の抽象度が高くて、無駄がなさ過ぎる。本来説明が必要な部分も「普通それぐらい分かるやろ」と省略する。

しかたないので、Opus 4.8を「通訳」として呼んだ。「このファイルの内容を理解して、経済学寄りの言葉で、学部生にも分かるように解説して」と頼む。するとOpusは、同じ内容をずっと噛み砕いた言葉で説明してくれた。

ああ、やっぱり、そういうことか。ようやく腑に落ちた。

ノーベル賞級の天才物理学者が完璧に正しいことを言っているのだけれど、何を言っているのか一般人には分からないので、普段授業で学生と接している説明上手な隣の准教授に通訳してもらう。まさにそういう構図だった。

AIの出力を理解するために別のAIが必要になる。もうこの時点でだいぶおかしいのだが、現実なので仕方がない。


AIが書いて、AIが読む未来


この「たぶん正しいんだけど、自分の直感的な理解をちょっと超えている」感覚。

これがきっと、これからの日常になっていく。

たぶん、というか、確実にこうなるだろう。

A「うちのAIがこう言ってるよ。よく分からんけど、よさげだから送るね」

B「あいよ。よく分からんから、うちのAIに読ませとくわ」

で、つつがなく仕事が進んでいく。

人間は「なんか解決したっぽい」という感触だけを頼りに、次のタスクへ向かう。誰も中身を完全には理解していないのに、プロジェクトは前に進む。

なんなら、以前よりずっと速く。


寓話(Fable)のはじまり


そして10年がたち、20年がたつ。

AIが書いた文書やプログラムをAIが読み、AIが出した結論をAIが検証する。

人間はその間で「よろしく」と「ありがとう」だけを言う存在になる。内容は正しい。たぶん。誰も検証できないけれど。

そして気がつけば、誰も何も分からなくなった。

おしまい。

そういう寓話(Fable)が、いま静かに始まろうとしている。

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