第52回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「寝坊した桃太郎」
🐾お題②:「鬼のアルバイト」
⏳お題③:「方向オンチの天狗」
お題④イラストから空想した世界
片桐みかん様の企画参加作品で御座います。
「寝坊した桃太郎」+御サルの籠屋

今日は、桃太郎が山の仲間たちと鬼ヶ島まで大切な用事で出かける日。
朝の六時に起きて港へ向かわねば、船に間に合いません。
ところが桃太郎は、揺すっても叩いても耳元で叫んでも起きません。それどころか寝言で「鬼は外〜鬼は〜外」と、季節外れの節分を始める始末。
家来のワン吉、サル彦、キジ助は困り果てました。
「仕方ないなあ。籠屋をやってる兄弟を呼んでええか?」 サル彦が言うと、
「おお、それは名案や」とワン吉
「桃太郎を籠に乗せて運んでしもたらええやん」
「ほな、きび団子はワシが背負うわ。サル彦はおむすび頼むで」
キジ助は「ほな、俺は籠の屋根で旗持ちしてるわ」
やがてサル彦が呼んだ兄弟が籠を担いで到着。
眠ったままの桃太郎を乗せ「エッサホイサッ」と威勢よく出発しました。
「鬼のアルバイト」+夏祭りの準備

その頃、鬼ヶ島では明日の「鬼ヶ島の夏祭り」に向けて大忙し。
鬼ヶ島商店の女将さんが声を張り上げて
「さあさあ、鬼はんら、せいぜい気張っておくれやす」
山からアルバイトに来た鬼たちは、納屋に放り込まれていた幕や衣装の点検をしたり皺を伸ばしたり、 神輿の修理や見世物小屋や屋台を組み立てたり、てんやわんやの忙しさです。
昼休みには、喫茶部の板場・尾二金兵衛が特別賄いランチ 「エビの鬼がら焼き添えスパゲティボンゴレ」をふるまいました。
鬼たちは「鬼がラ、鬼がラ」と大喜び。
祭りの準備は、島中が揺れるほどの活気に満ちていました。
「方向オンチの天狗」+桃太郎一行

一方、山の天狗は噂を聞きつけて
「長いこと山に籠っとったけど、鬼ヶ島の夏祭り、一度は観たいもんや。
せやけどワシは方向オンチやし、行けるやろか」
狸のポン太、兎のピョン子、鴉のカン吉が励ましています。
「大丈夫や、道しるべ見て行ったら楽勝や」
しかし天狗は、先祖伝来の地図を見ても「???」。
道しるべを見ても「たぶんあっち」「えっどっち」「こっち?」。
東西南北の印すらありません。
山を下りるにも同じ場所を堂々巡り。
カン吉が木の上から見回していると――
「エッサホイサッサ!」「エッサホイサッサ!」の掛け声が聞こえてきて
御サルの籠屋が、桃太郎を乗せて走ってくるではありませんか。
勿論、ワン吉、サル彦、キジ助も一緒です。
カン吉が籠を覗くと、桃太郎は鼻ちょうちんを膨らませて爆睡中。
「何してはりますねん」と聞くカン吉に
「桃太郎はんの大切な用事で鬼ヶ島まで出掛けなあかんのに起きひんから、
籠で船着き場まで運んでるんや」とサル彦。
「ほな、うちの天狗はんも一緒に連れてったってえな。方向オンチで困っとるんや」
「天狗が方向オンチ? 羽うちわでひとっ飛びちゃうんか」
「いや~ウチの天狗はん、若い頃にやんちゃばっかりしとったもんで、修行が足りまへんのや」と言う事で、天狗一行は天狗の羽ウチワ任せで先に行く事にした。
自信なげな天狗も、一扇ぎしては一枚歯の下駄で器用に中継地点へ着地を繰り返し一行は鬼ヶ島へ到着しました。
途端に「天狗はん、そんな所にボーっと突っ立ってんと何か芸は出来まへんのか」と、 鬼ヶ島商店の女将さんに言われた天狗は羽ウチワ片手に「綱渡り」のリハーサルを始めた。
そこへ、正午の船でようやく到着した桃太郎一行が合流。
「はあ〜疲れた」と座り込む桃太郎に、女将さんは容赦ありません。
「こら桃太郎、眠りこけて籠で来たくせに何が疲れたや」
「ボヤボヤしてんと早よう手伝いなはれ」
桃太郎以外の皆は、お八つに桃太郎が持って来た「きび団子」を食べて一息つきました。
まとめ「鬼ヶ島の夏祭り」
翌日、夏祭り本番。
桃太郎は、お婆直伝「日本一のきび団子」の屋台を出し、 サル彦が威勢よく宣伝しています。
「旨い旨い、日本一のきび団子どうですか〜!」
神輿には、特別参加で竜宮の御姫様が乗り、鬼の若衆が「わっしょい、わっしょい」と掛け声勇ましく通りを駆け抜け、 天狗は広場で綱渡りを披露。
鬼たちも山から下りて来た熊と力比べをしたり、赤鬼は目から火花を出したりと夫々の得意技を披露します。
そこへ青鬼がひょっこり現れ、屋台の桃太郎に耳打ちします。
「桃太郎はん、あんさん鬼退治に来たんと違いますのか」
「いや、鬼は本当に悪い事をしているのか調査に来ただけだよ」
「だけどさ、みんな仲良しだ。鬼が悪いなんて思えないな~」
青鬼は胸を張って答えました。
「我ら悪いことなんかしてまへん。島のみんなが証明しまっせ」
「そうか、だったら安心だ。お上への報告書に書いて送る事にしよう。
じゃ、みんなで祭りを楽しもうじゃないか」
こうして、人も鬼も山から下りて来た動物も入り混じった夏祭りは、 夜更けまで賑やかに続いたのでした。
其の後、噂を聞いた人々も鬼ヶ島の御祭りに参加するようになりました。
3つのお題から外れた終わり方になりました。
片桐様、今回も御世話になりました。
有り難う御座いました。
