【3つのお題でファンタジー】
「森の巨人の秘密」
森の巨人には秘密があります。普段は大樹の姿で過ごし、一年に一度、春分後の最初の満月の次週の夜だけ巨人の姿を現します。
大昔、豊かな平原と大きな森には巨人族とドワーフ族が共に暮らしていました。巨人族は力を誇りながらも優しく、橋を架け、教会を建て、互いに助け合っていました。
しかし平和を嫌う岩山の魔術師ダグロが両者の間に争いの種を撒きました。
混乱が広がる中、争いを望まぬ巨人族は森の神ファウヌスに祈り、大樹に姿を変えられました。ファウヌスはドワーフ族の記憶からも巨人族の存在を消しました。
数百年が過ぎ、ドワーフ族は再び穏やかな暮らしを取り戻しましたが、魔術師ダグロは平和を壊そうと再び悪い噂を流し、村々は争いに巻き込まれました。
その火種がリュスの村にも及び、両親は幼い彼女を連れて巨人の森へ逃げ込みました。大樹の洞にリュスを隠し「この子を守ってください」と祈ると、枝が震えて応えました。
両親は兵士に殺され、泣き疲れて眠るリュスを巨人が抱き上げ、森の奥の古い城の玄関へそっと置きました。朝日が差す頃、巨人は再び大樹へと戻りました。
城の奥様はリュスを我が子のように育てました。

「魔法のドアをあけて」
18年が過ぎ、リュスは森を愛する優しい娘に成長しました。大樹たちは彼女が来ると葉音を鳴らし、動物たちも集まってきます。
城にはいつからか屋根裏へ続く踊り場に開かずの扉がありました。外から見えるはずのその扉は、なぜか外壁には存在しません。鍵穴もなくノブは回るのに開かないのです。
ある月夜、リュスが窓辺で月を眺めていると、月光がドアノブの下に差し込みました。近づいて触れると、扉は静かに開きました。中には鏡があるだけでしたが、鏡越しに月へ続く淡い光の階段が見えました。
「月の階段が消える時」
争いは再び激しくなり、ダグロは若者に姿を変えて城に現れ、リュスに求婚しました。しかし彼女が拒むと、奥様や召使を毒殺し、リュスを手に入れようとしました。
リュスは地下道から森へ逃げ、夜を待って巨木を伝い城の窓へ戻りました。月光が枝を照らし、彼女を導くようでした。
部屋に入るとダグロが待ち構えていました。リュスは階段へ走り、踊り場に飛び込みます。
月光が差し込み、開かずの扉のノブが輝きドアが開き、鏡の中の階段がはっきりと浮かび上がります。
リュスは迷わず駆け上がりました。後から追って来るダグロが迫ります。
あと少しで捕まりそうになった瞬間、巨木の枝が斧のように振り下ろされ、光の階段は根元からふっと消えダグロは闇の世界へと落ちて行きました。
リュスは枝に弾かれるようにして月の世界へと昇っていきました。

又しても、このような創作をさせて頂きました。
御目通し、有り難う御座いました。
