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2.2mmの極太麺で「背徳のナポリタン」

普段の私なら、あの真っ赤に染まった少し胃もたれのするそれには、きっと眉をひそめていただろう。

小麦の香りが立ちのぼる細めのパスタに、乳化したソースが完璧に絡んだ一皿を信仰する私にとって、ケチャップという強烈な赤で塗りつぶされたスパゲッティ。

それは、昭和の昼下がりの匂い。
そして娘たちにせがまれて作り、口からあご、袖口まで赤く染めた記憶。

けれど、昨日からどうしても抗えない衝動が、私を支配していた。

「あの、懐かしい味を思い出したい」

衝動的に2.2mmの極太パスタをカゴに放り込んだ。
塊のベーコンとマッシュルームも。
やるからには中途半端な再現で済ませるつもりはない。
それをカゴに落とした瞬間、私の脳はすでに台所に立っていた。
手抜きとしてのナポリタンではなく、一人の料理好きとしての誇りと、今の私が導き出せるベストな工程を追いかける。 ​

これは、私という人間が、私の欲望のためだけに作り上げる「究極の背徳」の記録である。


1人分の材料

一人分の麺は100g。
けれど、この2.2mmの太麺のパッケージをどうしても見せたかったので袋ごと。
衝動の証拠として。

さて、と材料を並べたところで、背後から欠伸混じりの声。

代休で休みの次女が、ぼんやりした顔で現れた。

「おはよぉう」

「おはよう。ナポリタン食べる?」

起き抜けにナポリタンは重いだろうと高をくくっていた私の予想を裏切り、即答だった。

「食べる!」

─​─そう来たか。

ということで、レシピは二人分に増量。

材料(2人分)

・2.2mmの太麺 200g
・ベーコン(塊) 100g 拍子切り
・マッシュルーム 6個 3mm厚にスライス
・玉ねぎ 1/2個 5mm幅に切る
・ピーマン 1個 5mm幅に切る
・人参1/4本 2mm厚の短冊切り
・ケチャップ大さじ4
・ソース小さじ2
・バター大さじ1
・ オリーブオイル大さじ1
・塩
・胡椒

作り方
①たっぷりの湯を沸かして0.5%の塩を加え、スパゲッティを規定時間+1分茹でる。
ナポリタンはケチャップの味が濃い。だから茹で湯の塩は0.5%ほどに抑える。

茹で上がったら水気を切ってバターを麺全体にまぶす。

熱々にバターを絡めてほぐれやすく

②フライパンにオリーブオイルを少し垂らし、ベーコンをじっくり焼く。
こんがり焼けたら一旦取り出す。
ベーコンの存在感は食欲の要。最後に加えて強い味わいを残す。

じわじわと脂が染み出るまでじっくり焼き付ける

③玉ねぎ、人参、マッシュルーム、ピーマンと火の通りにくい順に炒めていく。
ピーマンは真っ赤なうねりの中の緑一点。炒めすぎに注意し、鮮やかな色を保つ。

④ケチャップは“入れてから炒める”。
ここが勝負。酸味を飛ばし、甘みを引き出す。縁を少し焦がす。

⑤茹で汁を大さじ2ほど加えて伸ばす。
迷っている暇はない。
麺とベーコンを素早く絡める。
ここで躊躇すれば、ただのケチャップ炒めに戻る。

2.2mmは正解。
ケチャップの濃い味を受け止める弾力。
肉肉しさを保ったベーコンが、甘く傾きがちな味を引き戻す。

ああ、コーラも買うべきだった。



─キャンパーの寄り道日記vol.9─


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