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冷蔵庫の住所決めと、一枚のレシート

かつての私は神だった。いや、デキる主婦だった。

冷蔵庫で食品を腐らせることなんて、ほぼ無かった。

しかし、50歳を超え、娘を社会へ送り出し、心に余裕が出来た今、なぜだか「捨てる女」へ格下げしてしまった。ちょっとしたバーンアウトか。

5月のあの日、私は冷蔵庫の奥からひと月前の日付の豆腐を発掘した。愕然とした。かつての自分なら絶対にあり得なかった事態だ。

だが、あれからちょいちょい事件は起きる。きゅうりを切ったら中が黄変していたり、萎んだ人参と目が合ったり。好物のパクチーがしなびていたり、パセリの緑が怪しくなっていたり…。買った物を無駄にしてしまっていた。家計にも地球にも優しくないじゃないか!

​そこで私は立ち上がった。無駄を無くすにはまず冷蔵庫を片付け、住み分けをしよう!

一段ずつクーラーボックスに小分けで一時預かりして掃除し、食品の住所を決めた。最上段の奥には使用頻度の少ないパン粉やお好み粉。その手前にはカゴを置き、ハムやソーセージを取り出しやすく配置した。二段目もカゴを活用し、煮干しや開封済みの天ぷら粉、日持ちする漬物などを整理。その下は余ったおかずなどのために空けておく。

ドアポケットにあったワケのわからない小袋の調味料は一旦処分し、次回からは日付と中身の名前をマスキングテープに書いて貼ることにした。野菜室にも「使いかけコーナー」を作り、迷子を防いで使い切る。

​次に工夫したのは買い物だ。
献立はスーパーの売り場で決めるタイプなのでいつもメモは持たないが、前回のレシートを冷蔵庫に貼っておき、使ったら線で消すことにした。買い物の際は、そのチェック済みのレシートを持ってスーパーへ向かう。これだけで重複買いが激減した。しかも無駄に冷蔵庫を開けなくても中身が把握できるので、ちょっとだけ節電にもなる。

調味料などのストックは、新しいボトルに手を付けたらスマホのメモに記入する。それを特売のときに買うのだ。結果、確実に無駄が減り、食材を捨てることはほとんど無くなった。

とはいえ、冷蔵庫改革をしても、パクチーが突然こちらの想像を超える速度で液体化することはある。

食品ロスを減らすといっても、私にできることは、まず自分の冷蔵庫の中を変えることだった。SDGsの「つくる責任、つかう責任」も、特別なことを始めるのではなく、こうした毎日の小さな見直しから始まるのかもしれない。

左上が使いかけ野菜コーナー

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